夜のわたしと昼間のわたし〜シンデレラは変装をする〜

鳴宮鶉子

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夜の顔⑵ 見返りに抱いて下さい

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「素敵な遊園地になりそうですね」

水曜日の夜に、佐藤様が久我専務と篤志兄を連れて高級クラブ 蝶々に来店される。

そして、久我専務と篤志兄が人気絶頂しそうなアトラクション開発の話をし、開発するために資金が足りないからと融資の金額を上げて貰う交渉をする。

「……わたし、乗ってみたいです」

佐藤様の両手を取り、わたしが微笑みながら見上げたら、

「……わかった。500万追加しよう」

佐藤様は融資を追加する。

佐藤様は性交渉でわたしを満足させる事ができない事を申し訳ないと思ってた。
だからか、若くて将来有望な男性を連れてきてはわたしに紹介して、アフターで出す。

『馬場常務とのアフターに出てみないか?』

『遊んでると伺ったので……すみません』

篤志兄の下衆な話を聞き、酔わされてホテルに連れ込まれてやられたら、流石に兄弟だから嫌だから、即拒絶した。
わたしが篤志兄を拒絶したのをみて、佐藤様はわたしが久我専務の事が好きなのではと勘違いしたようだった。

昼間のわたしと夜のわたし、同じ女だけど、久我専務と篤志兄は気づかないようだった。
地味か派手か、メイクをしてるかしてないか、つけてる香水で、女は変身できるんだと知った。

とは言え、バレたら怖いからいつも発言を慎み、バーでカクテルを1杯だけら頂いたらタクシーまで送り届けて貰う。



「ムーンバードランドが完成したらプリンセスホテル&リゾートを辞めて、TATAの常務秘書になれ」

年始の挨拶で父から言われた。
わたしと兄は小さい子からなんでも父の言いなりだった。
母が馬島建設よりかなり格下の建材メーカーの御令嬢で母が父と結婚したから実家が潰れずに済んだという経緯から、父に頭が上がらなかった。
それもあり、わたしも兄も父が選んだ候補から結婚相手を決める事が嫌だった。

篤志兄はかなり遊んでる。
結婚してからも女遊びは辞めないと思う。
父もいまだに女遊びをしてる。
わたしも高級クラブ 蝶々 で既婚の一夜限りの関係から佐藤様みたいに何度か性交渉をする男性がいる。

父への反発行為だった。
家庭は壊してない。
ただ、自分を穢したかった。

ちなみに、処女を捧げたのが佐藤様で、佐藤様は驚かれてた。
高級クラブのホステスがアフターで性交渉したら処女なのは、かなり痛いと思う。
でも、性交渉の知識だけは頭に入れていたから、挿入するまでは佐藤様に満足頂けたと思う。


*****

遊園地開発は順調に進み、1年半で完成した。
3月21日に、福岡の北九州に遊園地 ムーンバードランドがオープンする。

「宗司、俺の妹のどこが不満なんだ!!」

わたしがプリンセスホテル&リゾートを辞めて、TATAに転職する事を父の口から宗司さんの父でこの会社の社長に告げられた。

「好き同士で結婚しないと不幸になるだけだろ!!」

「俺らみたいな自由に相手が決められない身分では好き同士で結婚なんて無理な話だ!!
愛里なら俺の妹だし、仕事のパートナーとしても使える。
結婚相手としては最適だろ!!」

TATAの常務の事が嫌いらしい篤志兄は、久我専務にわたしと結婚しろと詰め寄って、よく喧嘩をした。

「椿……この関係は終わりにしようと思う」

3月14日のホワイトデーの日。
21日にオープンするムーンバードランドの関係者のみの公開デーに佐藤様ときて、夜に東京に戻っていつものグランドハリウッドで和食のコース料理を頂いてる時に告げられた。

「50歳になった。身体の衰えで椿の身体を楽しめなくなった。
椿もそろそろ結婚を考えた方がいい年齢になった。
蝶々 を辞めて女の幸せを見つけて欲しい」

わたし自身もTATAに転職するという事は九州に引っ越さないといけなくて、3月いっぱいで高級クラブ 蝶々を辞める事になってた。

3月26日金曜日が高級クラブ 蝶々に勤める最後の日。

佐藤様が久我専務と篤志兄を連れて来店して下さった。

82人の常連客が来てくださり、全員に別れの挨拶をしないといけなくて、3人と話す時間があまり取れなかった。

「椿、……最後の日を久我専務と過ごしなさい」

佐藤様が店を出られる際にわたしの耳元で呟き、グランドハリウッドのスイートルームーンのカードキーを渡してきた。

「店が終わったら、いつものBAR蒼月に来てください」

久我専務からも、店を出る際に小さな声で言われ、首を縦に振った。

わたしはこの時に、決断した。
久我専務の事が好きか聞かれたらわからない。
でも、1度抱かれたら気持ちがわかるかもしれないと。
久我専務もわたしへの想いが変わるかもしれない。

北九州にあるTATAの本社で勤めるのが嫌なのと、プリンセスホテル&リゾートでこのまま久我専務と一緒に仕事がしたかった。

いつものBARへ遅れて入店する。
久我専務から「お礼がしたい」と言われた。
だから、わたしは佐藤様から頂いたと一言先に伝えてからグランドハリウッドのスイートルームのカードキーを渡し、

『今夜だけわたしを抱いて下さい』

と、伝えた。
戸惑いつつも、久我専務はわたしを受け入れてくれた。


いつもは佐藤さんと入るスイートルーム。

わたしに腕を組まれ、銀座1の高級ホテルのスイートルームへ入り、仕事柄内装と間取りをチェックしていた久我専務。

そういえば、久我専務が童貞だった事を思い出す。
わたしに手を出そうとせず、距離を開けようとする久我専務に、わたしから近づき、唇を唇で塞ぎ、舌を差し入れ、舌を絡め合わせる。

「……触って下さい」

最後の日だから、露出度の高めの紫色のロングドレスを着た。

胸の2つの膨らみが山のようになって、見事な谷間を作ってる。
恐る恐るわたしの胸をタッチして赤面する童貞男……。
ベッドルームまで手を引き連れていき、キングサイズのベッドに押し倒す。
仕立てのいいブリオーニのブラックスーツを脱がし、スラックスを脱がせてからシワにならないようハンガーにかけて、タンスの中に片付ける。
そして、腕時計も外し、ヘッドデッキに置き、靴下を脱がせてネクタイを外す。

ワイシャツのボタンを外し、耳たぶから首筋、広い胸とキスを落し、それに反応してそそり勃った男をトランクスから出し、口に含む。

舌で筋をゆっくり舐め口の中に入れて手でしごきながら軽く吸引しただけで、久我専務は果てた。
口の中に広がる苦味を飲み干し、そのまま、男をしごいていく。

されるだけが嫌になったのかわたしを押し倒し、ドレスから胸を取り出し、左胸は手で感触を楽しみ、右は口の中に含み、頂きを吸われたり歯で刺激されて堪らず甘い声が溢れた。

わたしが感じてるのが嬉しいのか、わたしのドレスを一気に脱がし、パンティーだけにし、パンティーもすぐに剥ぎ取り、仕返しのようにわたしの恥部の中に舌と指を入れて、溢れる蜜を吸う。
童貞なのにテクニシャンでたじろぐ。
気持ちい所を指で刺激され、わたしも達してしまった。

いつのまにかそそり勃ってた男に新品のゴムの箱を開けて1つ取り出し、開けて装着する。
騎馬位でわたしが動いてたら、押し倒され、いろんな体位で中を突かれ、あまりの快感に翻弄されてた。

「……もう無理だ」

とフィニッシュは口を塞がれ舌を絡め合わせながら、中深くを突かれ、一緒に達した。

「……少し休憩して、もう1度してもいいですか?」

童貞なのは間違いない。
今まで女の身体を知らなかった反動なのか、12個入りのゴムを使い切るまでわたしとの性交渉を続けた。

最後は一緒に入浴し、広い浴槽内でバックの体勢で恥部中に生で男を挿れ、出る寸前に抜いたりというやらかしをおかしつつ行為を続け、明け方に疲れ果て、そのまま眠りについた。





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