上 下
6 / 7

結婚と新生活

しおりを挟む
天神での夜は、紬さんとマサくんも一緒にもつ鍋を突きながら今後についてを話した。

私がLIVING&LIFEの現社長の隠し子だという事実はショックだった。
紬さんはLIVING&LIFEで活躍していた住宅機器のデザイナーだったから、社長と親しく、社長と不倫関係になり、私を身ごもり悩み苦しんだ。
デザイナーとしてLIVING&LIFEで働き続ける事を求められたけど、社長との関係を終わらせたいのと副社長をしてる奥さんに社長の子を身ごもった事がバレないよう仕事を辞めた。
退職後も当時大学生だったマサくんは毎日のように紬さんの住むマンションに顔を出し、紬さんを支えた。
自分の父親の不倫相手で10歳も年上の女性を好きになってしまったマサくん。

「遥に打ち明けるとは言ったけど、そこまでは話すつもりはなかったんだけど……」

紬さんに頭が上がらないマサくんは、もつ鍋の鍋奉行というパシリをしながら、怒られてた。

モツが噛みきれないからラーメンと明太卵焼きをマサくんに食べるよう皿に盛られ、大輝は大人しく昂輝の膝に座って食べてた。
昂輝もワンコソバのようにマサくんにひたすらモツ鍋をよそわれ、2人の会話に口を挟まず口を動かしてた。

2歳児の前でする話ではないと思いつつ、2人の喧嘩を静観し、マサくんの奢りだからと幻の芋焼酎の森伊蔵を口に含んだ。

「……気持ち悪い」

いきなり吐き気がきて、WCに駆け込む。最近、胃もたれに悩まされてた。ストレスのせいだと思ってたけど、違う気がする。

「……匂いが無理だから、先にホテルに戻っていい?」

WCから戻ってきて、部屋に入ろうと思ったら、もつ鍋の匂いが受け付けずに入り口で立ち竦んでしまう。

「僕もママと先に帰る!!コウくんも帰ろう!!」

マサくんに盛られすぎてお腹がいっぱいになった大輝は、もう帰りたいオーラを大輝は出す。

「将生さん、紬さん、ごちそうさまでした。お先に失礼します」

昂輝も不機嫌な紬さんと恐縮してるマサくんに居づらさを感じ、ひたすらマサくんに4人前のモツ鍋を食べさせられてた。

20時過ぎ。昂輝に抱っこされて店の外に出てホテルまでの道を歩いてる間に大輝は夢の中。

「……ビックリした。将生さんと紬さんが恋人関係だというのは初対面でわかったけど、まさか、遥がLIVING&LIFEの社長の隠し子で、異母兄弟の兄の義娘になるなんて」

マサくんは将来的に私の息子にLIVING&LIFEを託したいと考えてる。

「瀬戸工とLIVING&LIFEとHealing Homeを継ぐ子を育てないとな」

生理が3週間遅れているから、私はたぶん妊娠してる。
昂輝もたぶん、気づいてる。
先週ぐらいから回数が減り避妊具をつけてた。
仕事が多忙になるから、私を妊娠させないようにしたのではなく、たぶん流産させないために気をつけてた。


「遥、将生さんからこれ渡された」

ポケットから茶封筒を出して、私に渡してきた。
中にはマサくんと昂輝のお父さんが保証人欄に署名した婚姻届が入ってた。

「先に紬さんと将生さんが籍を入れて、遥を養子縁組してから俺達に籍を入れろだって。紬さん、遥には出生に関してバラした事に対して怒り心頭だから、将生さん、籍入れ許して貰えるのかな?」

平日の夜に、昂輝はマサくんとこの頃よく飲みにいってた。
それもあり、2人は仲がいい。

「マサくん、紬さんに昔から頭あがらないから。いつもあんな感じだよ。だから、来期から籍を入れてLIVING&LIFEの副社長を務めると思う」

4月からは私がHealing Homeの社長兼設計士を務める。
住宅のリフォームとカフェやレストランの内装設計とインテリアコーディネートをする。

「……遥に瀬戸工に戻ってきて貰って、俺の片腕として内装設計をして欲しかったが仕方がないな。もう1人、子供が産まれるし、子育てしながら内装デザインの仕事を楽しんで欲しい」

私が結婚を受け入れたと思い、今後についての話を昂輝はする。

「……私、昂輝と結婚するとは言ってないよ?」

「はっ、遥が気にしてた身分差は問題ないし、俺の親父が結婚認めてるのに、まだ結婚しないって言うのか!!遥、俺、浮気なんて1度もした事ないししようと思わないし、遥だけを愛して大切にするから、だから俺の奥さんになって!!」

立ち止まり昂輝が私を見つめながら、私にプロポーズをしてくれた。

「昂輝、私を奥さんにして下さい」

昂輝と別れた天神で、一生を共にする約束をした。

仕事の関係で週末婚状態で、悪阻が始まって吐き気との闘いで、キスすら拒絶してしまう。
土曜日と日曜日に昼間大輝を連れて遊びに出てくれて、夕ご飯も身体に良さそうなご当地料理を買ってきてくれたから助かった。

私が妊娠してるのもあり母子手帳取得しないといけなくて、マサくんが土下座して紬さんと籍を入れ、養子縁組などの手続きをした後に私と昂輝は夫婦になった。

だけど、3月末の株式総会までは公にしなかった。
結婚し子供もいる事から、昂輝も専務取締役になる。

「大島に80坪土地を買収したから、そこに一軒家を建てる事にした。3階建の豪邸を建てよう!!」

実家の側にある工場跡地を交渉して買収し、そこに一軒家を建てる事にした昂輝。

夜な夜な夫婦でどんな家を建てるかを話し合い、設計図を書いた。
子供達がある程度大きくなったら、芝のタワーマンションに戻るつもりだから、庭に滑り台やブランコを置き、家庭菜園のスペースも広くとった家。

幸せを噛み締めてた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

強面騎士は、可憐な婚約者の暗躍に気付かない

楽歩
恋愛
強面で無骨な騎士団長スヴェイン。その隣にいるのは、10歳年下で可憐な婚約者レティシア。 一見お似合いの二人だが、その愛情の温度はレティシアの方が驚くほど――いや、かなり高い! スヴェインを一途に思い、全力で愛するレティシア。彼女の行動はときに大胆、そして過剰!? スヴェインはまだ知らない。愛する婚約者を守るため、影で暗躍するレティシアのもう一つの顔を――。 彼女の秘策と献身に気づかないまま、鈍感なスヴェインはただ彼女との幸せな日々を謳歌する。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))6万字ほどの中編です。

同居人以上恋人未満〜そんな2人にコウノトリがやってきた!!〜

鳴宮鶉子
恋愛
小学生の頃からの腐れ縁のあいつと共同生活をしてるわたし。恋人当然の付き合いをしていたからコウノトリが間違えて来ちゃった!

Re_Love 〜婚約破棄した元彼と〜

鳴宮鶉子
恋愛
Re_Love 〜婚約破棄した元彼と〜

crazy Love 〜元彼上司と復縁しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
crazy Love 〜元彼上司と復縁しますか?〜

処理中です...