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プロローグ

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5年間付き合ってた恋人からの呼び出しに、ウキウキ気分で向かう足は弾んでた。
お互い仕事が多忙で、気づいたら3ヶ月もの間、プライベートでは会えてなく、そんななか『大事な話がある』と電話で言われたから、次の日、なんとか仕事を調整して、指定されたグランドプリンセスホテル銀座の最上階にある三ツ星フレンチレストランに、私は駆けつけた。

胸は期待に膨らむ。
遂に、彼から『結婚して下さい』とプロポーズされるのかもと思うと、頬がみっともないぐらい緩んで、鼻歌歌いながらスキップしちゃいたいぐらい、私は幸せの絶頂にいた。


それが3時間後に見事に粉砕する。

『結芽、俺、政略結婚する事になった。だから、別れて欲しい』

尊敬していて、心底愛し陶酔していた大学時代の先輩で直属の上司、それだけでなく勤めてる大企業の次期社長なハイグレードでハイスペックな恋人だと思ってた彼から、高級フレンチのコースを食べ終わった後に別れを告げられた。

机に両手をつき、頭を下げられた。
大手電気機器メーカー オリパスの御曹司で次期社長な立場がある人だから、企業を維持し安泰するために政略結婚をしないといけなかった。

『僕の結婚相手は、物心がついた時には決まってた。なのに、君の事が好きになり、結婚できないのに5年も付き合って済まなかった』


婚約者がいる事を知らされず、私は彼から告白され付き合い始め、大学院進学を蹴って、彼が次期社長を務める会社に就職した。
そして、社畜化して汗水垂らして日々業務に邁進してた。

『……ですよね。オリパスの御曹司だから、政略結婚しないといけないですよね。分かりました。今までありがとうございました』

愚かな私は彼とオリパスを共に守り、大きくする事を考えてた。
それだけでなく、子供は2人、多忙ななかでも夫婦助け合い温かい家庭を築く未来を思い描いてた。

別れを告げられた次の日。
彼は医療機器開発部部長就任と共に、アメリカ留学から帰ったきた幼馴染の婚約者との結婚を公にした。

そして、社長秘書として勤める事になった婚約者とらぶらぶな所を見せつけられ、耐えられなくて、その日のうちに退職届を提出した。

母が危篤という嘘の理由で溜め込んだ有給消化で、仕事の引き継ぎ不十分なままオリパスを去った。

私と彼は秘密の恋愛をしていた。
彼が立場ある人だから交際してる事がバレたら、妬み僻みで私が危害を加えられるかもしれないという理由でだったけど、婚約者がいるから公にできなかったのかもしれない。

大学の先輩と後輩の立場で、バリキャリなリケジョを演じてたイタくて愚かだった私。

2度と御曹司という立場の男とは付き合わない。
恋自体しない、仕事に生きる。

そしてライバル会社のオメガルに転職し、仕事で元彼 東條遼佑《とうじょうりょうすけ》に復讐する事にした。

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