上 下
9 / 12

結婚式をあげよう

しおりを挟む
『橘先輩、プラトニックな関係にこだわってるの、ウケる!!』

週明けにお互い彼氏が現場視察でいない事をいい事に、愛里ちゃんと仕事をサボってスマホのLINEビデオ通話で話す。

愛里ちゃんがzoomでマズイ現場を見られた事に焦って連絡してきて、ディスってきた。

『橘先輩って、そういうとこあるよね。真面目だもん。美羽ちゃんもそうだけど保身的っていうか人間の三大
要求の性欲が欠如してるよね』

大学のゼミに入り、私は橘先輩につき愛里ちゃんは大島先輩についた。
愛里ちゃんと大島先輩は研究以外に熱い恋情を育み、私と翔琉さんは淡々と建築設計に勤しんでいた。

『橘先輩、美羽ちゃんの事を溺愛してるのは確かだし、性欲発散で遊んでるタイプではないから様子見でいいんじゃない?監禁したら……ヤバそう。1週間ぐらい部屋にこもってやり続けるんじゃない?』

大手ホテルグループの御令嬢らしくない言葉に固まる。
同棲していて同じベッドで寝ていて常に傍にいるのに手を出して貰えなくて、女として見られてない気がして相談したのに、軽くあしらわれた。

『美羽、処女じゃん。だから、初めての日をロマンチックに演出したいんじゃない、橘先輩。大島建設以外の依頼でも大きな案件受けてるんでしょ?』

橘先輩が私の事を妹かペットとしか思ってない気がしてならなかった。
愛情は感じても、抱きしめるこしかしない。
恥を承知にスケスケのベビードールを通販サイトで購入して身につけてもスルーされた。



「翔琉さん、私の事、本当に好きですか?」

恋人同士になって3ヶ月が経ち、月記念日として祝う翔琉さんに不満をぶつける。

「美羽の事を大切に思ってるよ。だから結婚するまではこの関係を続けたいと思ってる。美羽と挙式を挙げる結婚式場ができたら1番手で挙式を挙げて結婚しよう」

本能より理性が優る翔琉さんだから、納得がいく結婚式場を建築設計するまでは私に手を出す気はないようだった。

6月初旬に行われた大島先輩と愛里ちゃんの結婚式。

龍恋の丘で延々の愛を誓う鐘を鳴らし、金網に南京錠をつけるパフォーマンスに涙した。

緊急事態宣言を理由に私と翔琉さん以外は立ち合わなくて、2人の門出を見守る中、焦燥感に浸る。

緊急事態宣言が発令しているのもあり新規で建築開発の案件は減る。

「美羽、4月21日に小樽で結婚式をあげよう!!」

翔琉さんは水面下で私と挙式を行う結婚式場を設計していた。

「なんで4月21日?」

「美羽が藤嶋ゼミに入ってきて俺のサポートについた日。建築に関する事を大学で全く履修してないのに独学で設計デザインを描いて設計図作成できたから驚いたのを覚えてる」


翔琉さんと初めて会った日の事よく覚えてる。
1、2年次の教養学履修の前期課程を終え専門課程に入り、憧れの藤嶋教授のゼミに入れる事ができ、興奮してた。
修士課程2年で1級建築士試験を合格し活躍している翔琉さんのサポートにつかせて貰い、父に教えて貰って作成したカフェやレストランの建築デザインと設計図を見て貰った。
強度計算とか頭に入ってない不完全なものだったけど、翔琉さんがすごく誉めてくれて訂正を入れて実現できる設計図に仕立てくれた。

修士課程に入ってから2級建築士として仕事を請け負うようになり、クライアントに提案して実現し、感動した。

翔琉さんがサプライズと言ってドレス合わせ以外は極秘で計画したから、結婚式場と披露宴をどこでどんな感じで行うか、全くわからない。

「美羽、楽しみにしてて、最高の結婚式にするから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

10 sweet wedding

国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。

秘密の二足の草鞋

鳴宮鶉子
恋愛
秘密の二足の草鞋

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました

瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。

crazy Love 〜元彼上司と復縁しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
crazy Love 〜元彼上司と復縁しますか?〜

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...