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いつになったら恋人同士に戻れるのか side結翔  1

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「堀田総括部長、今日も美味しそうなおにぎり食べてますね。羨ましいです」

萌花が作ってくれたトンカツとレタスと目玉焼きが挟まったおにぎらずを口に頬張りながら、部下が送ってきた仕様書のデータを確認をする。

「Googleにメールして」

コンビニのおにぎりかサンドイッチを朝食にしていた俺が、手作りのおにぎらずを食べてと、若い部下が羨ましがる。
アルミ箔で包まれたおにぎりらず。
夕方も美味しく食べられる。

「堀田、彼女と仲直りしたんだ?」

「仲直りって、喧嘩してないし!!」

俺と萌花の仲を知る大学時代からの友人、久保田篤。
優秀な男だからソミーにスカウトし、俺の右腕として働いて貰ってる。

「大学卒業してから同棲解消してただろ。萌花さんの仕事軌道に乗って、やっと結婚に向けて同棲再開したか!!」

萌花がアプリ会社の運営に集中したいから俺との同棲を断ったと、久保田に話していた。

萌花の仕事は上手くいってる。
アプリ開発はそれなりのスペックのパソコンと技術者がいればできる。

リビングでリモートミーティングしている姿から、社員に恵まれ楽しく仕事をしているようだった。

「俺、明日から1ヶ月間、育休取るから宜しくな!!」

「あぁ。ゲームせずに赤ん坊の世話をしろよ!!」

昨日第1子の娘が誕生した久保田。
コンパで出会ってすぐのワンナイトで子供を授かったらしく、スピードデキ婚をした。


「萌花ちゃん連れて、俺の娘、見に来いよ!!」

「……あぁ」

萌花と久保田は面識がある。
だから、一緒に出産祝いに訪問するつもりではいる。

「萌花ちゃんに堀田といい加減結婚してやれって言ってやるよ!!」

恋人から同居人に格下げされた今の俺の立場。

「計画的に孕ませて結婚にもっていったらどうだ?生理周期を計算してその真ん中を狙えばできやすい」

萌花と結婚したくて、2年以上排卵日と思われる日に狙ってやったが妊娠しなかった。
女性器特有の病気があるのかはたまた不妊症体質なのか、萌花の身体の事が心配になった。
婦人科検診を受けてるか聞くと年に2回受けていて、今のところ問題ないと医師から言われたと聞きほっとした。だが、婦人科から薬を処方されていて、やっぱり病気を隠してるのか気になりその薬をSafariで検索したら、緊急避妊薬だった。

子供ができないはずだ。

「俺と萌花のタイミングで結婚する。萌花に余計な事を言うなよ。仕事の引き継ぎをさっさと終わらせ、奥さんと子供の所に行ってやれ」

目を通さないといけない仕様書と設計書が溜まっている。
iPadを手に取りチェックを入れていく。

「萌花ちゃんと3週間後の土曜日に俺の家に来いよ!!」

久保田は訪問日を指定して去って行った。


「3週間後の土曜日?産後1ヶ月経ってないよね。奥さんに許可得てるのかな?」

ウザいぐらいに送られてくる久保田からのLINE。
娘自慢画像がなんまか添付されている。
訪問日に関して奥さんに許可を得てるからメッセージで訊くと、秒で“許可貰ってる”と返ってきた。

「出産祝いどうしようか。奥さんにお菓子と娘さんの服かな。銀座千疋家のゼリーの詰め合わせとめぞぴあのの80cmのワンピースはどうかな」

「それでいいと思う」

萌花がネットショッピングで購入した。

「……萌花は子供欲しいって思うことある?」

「……あるけど、今じゃないという気持ちが強い」


3週間後。
萌花と久保田邸を訪ねた。

「おい、久保田、大丈夫か?」

「娘がぜんぜん寝てくれないんだ!!」

目の下に隈ができ、疲れ果てている久保田。
生後3週間の娘が、立って抱っこし続けないと寝なくなったらしい。
布団に降ろすと気づいて直ぐに泣き出し、小さな物音で目が覚めてしまうから寝が足りないのか、1日中ぐずって大変らしい。

「奥さんは?」

「疲れ果てて、寝てる」

久保田に抱っこされてにこにこ笑ってる赤ん坊。

「堀田、抱っこ変わってくれ!!」

首がぐらぐらする小さな赤ん坊を俺の腕に乗せてきた。

「……ち、ちっちゃいな」

泣かれなかった事にほっとする。
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