Substitute lover

鳴宮鶉子

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戻れない関係 side翔琉

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瀬坂将生がセレナに殺害されて2年が経った。
双子の将也と翔太も、もうすぐ3歳になる。

将也は櫻井将輝の血が濃いだけあり、1歳過ぎた頃には大人と対等に会話ができるようになり、すぐに字を覚え、かたっぱしに書物を読み漁るようになり、暇つぶしにナンプレをやるような賢すぎる男の子になった。
そして、翔太も将也ほどではないが流暢にお喋りをし、俺がスマホでゲームアプリをしていたらちょこんと膝に座り一緒にゲームするような子になった。
自分の血を引くから翔太の事が可愛くてならないが、将也の事も可愛い。

甥っ子2人に親父と一緒に貢ぎまくり、なぜか心愛でなくお袋に怒られる。

「まさ、しょう、遊園地に行くか!!」

心愛は外科医として東京大学病院から週末も呼び出されるから、双子の世話は俺とお袋、親父がしてた。

言葉を理解し口も達者で意思疎通ができるから双子の相手をするのが楽しくてならない。

「遊園地に行っても身長が足りないから乗り物に乗れないし、人が多いだけで楽しくないから行きたくない」

「遊園地に行くより、このLEGO作るの手伝って!!」


翔太がモーター・歯車・車軸・タイヤなどを使った、メカニックな要素満載のLEGOテクニックを持ってきた。

1ヶ月前に、双子にモーターを備えられているブロックにプログラムが組み込んだり、さまざまな部品を組み合わせてロボットを作れるプログラミングやロボット工学的な要素を含んだLEGOマインドストーンを買い与えた。
まだ早いかなと思ったが、設計図を見ながら2人が仲良くあれこれ議論しながら完成させ、それがきっかけでハマってしまい、現在LEGOブームで家に引きこもっている。

「マサ、ショウ、私もいくから、ネズミーランドマウンテンに行かない?」

今日は絶対に呼び出しがない日らしく、朝の回診後に戻ってきて、双子に心愛が話しかけた。

「心愛が行くなら行く!!」

母親に甘えたいのに、心愛は命の現場で働いてるのもあり、緊急で呼び出しがかかったりする。

子供が小さいから予定オペのみを基本的にこなしているが、週末や夜間に緊急オペで呼び出されるが日常茶判事になっている。

たまに夜中に心愛がいない事に気づいて、双子が俺の部屋にきて、ベッドに入ってきて川の字で寝たりする。

「翔琉、行くぞーー!!」

双子がリュックサックにハンカチティッシュとiPhoneを入れ、キャップの帽子をかぶってから俺を急かす。

久しぶりに心愛とお出かけするのが嬉しい双子。
駐車場が混んでたらいけないから、すぐに出発をした。

麻布十番からネズミーマウンテンがある舞浜は有料道路を使ったら30分もかからず到着する。
9時半に到着したからギリギリ車を駐車場に入れる事ができた。

「翔琉、心愛と待ってるからアトラクションに乗ってきていいよ!!」

ネズミーシーには身長制限がない幼児が体を動かして遊べるアトラクションはある。
だが、3歳になってまもない双子は冷めた性格で1度遊ぶと『もういい』と拒絶し、昼前に飽きてしまった。
ショーを観て、もうやる事もなくて暇そうにしはじめた。

90㎝満たない双子は抱っこされたがらないから、館内を連れ回し過ぎて疲れたのかもしれない。

週末は昼寝はあまりしないが、平日はしっかり昼寝をしてるらしい。

「翔琉、ネズミーマウンテンを出よう」

そういえば、心愛もレジャーやアウトドアは好きじゃなかった。
将也と同じで1人で本を読むのが好きだった。

ネズミーマウンテンを出て、ぐるなびで海鮮丼の有名な店を調べる。
葛西臨海水族園の近くの定食屋に連れていき、特上海鮮丼を食べさせた後に水族館に入る。

ご飯を食べながら疲れてうとうとしていた双子が大興奮で水槽の中で泳いでる魚をみていた。
図鑑全て記憶してる将也のマニアックな魚の名前と説明を聞きながら館内を回る。
サカナくんもビックリしそうな知識に、子連れの夫婦が目をパチクリしてた。

帰りの車の中で寝てたけど、疲れた双子は夜ご飯を食べてお風呂に入った後、リビングのソファーで本を片手に眠ってしまった。

「心愛、マサとショウ、寝た」

いつもは8時半に3階の寝室へ行き、双子用のダブルベッドに2人くっついて寝るのに、8時前に2人で力尽きてしまった。

「翔琉、ショウをお願いしていい?」

マサを抱き上げて心愛が言う。
双子とお風呂に入ってた心愛。
先に2人を出してからゆっくりバスタブに浸かってたようで、湯上りで白い肌が桃色に火照っていて色っぽく、思わず魅入ってしまった。

翔太を抱き上げて、3階にある心愛と双子の寝室へ入る。
翔太をベッドに下ろすとすぐに将也にくっついていく。
仲良くすやすや眠る双子の姿を心愛としばらく眺めてた。

ダボっとしたトレーナーに黒のレギンスを室内着に着てる心愛。

常に女医としてシステム開発エンジニアとして働いてるからか、33歳になっても若々しい。

38歳になった俺も仕事あがりにスポーツジムで1時間汗を流してるから中年太りせずに済んでるが、最近、老けたなと思う。

俺に政略結婚しろと煩かった祖父が亡くなり、愛美と世間体を気にして結婚をするのを辞め、独身な俺。
男女を問わずつるむ友人は何人もいるが、恋人という存在はいない。
俺は男としては干からびた生活を送ってる。

「翔琉、癌の画像診断プログラムなんだけど、データ的にこれでいいと思うの」

自動手術機能が搭載された医療ロボット竜馬は完成間近で、心愛は画像診断させるためにデータの確認をしてた。

内視鏡システムにも起用してる癌細胞画像診断機能。

オペの術式はcase-by-caseで、医師によってやり方は違う。
AIが最善の選択をし、自動手術するシステムを心愛は作ろうとしていた。

「……俺、医者じゃないからわからな」

俺は医療機器開発に関しては知識あっても、医学についてはさっぱりわからない。
医療機器の開発は心愛に全て任せてる。

「追加データはアップデートできるようにし、シミュレーションで確認して執刀するようにした。これで新型医療手術ロボット 竜馬のシステムは完成」
初期研修医時代から9年間かけ、仕上げた。
オペのデータを収集をし整理し、実際に医療手術ロボット総司で執刀した経験を元に自動手術システムを開発した。

「私、救命救急の外科医として患者の命を救いたい。それで、来週末に将也と翔太を連れて、本郷のマンションに引っ越す事にした」

双子を本郷にある医者の子供が多く通う知育系幼稚園に入れる事を決めてた心愛。
預かり保育を24時間対応してるとか言っていたが、まさか本郷のマンションに戻る事を考えてるとは思わなかった。

「お父さんとお母さんにはもう許可を貰った。テルパスの仕事もできる範囲で手伝うつもり。週末は将也と翔太と顔を出すから」

親父とお袋に許可を貰ったという事は家を出ていく事は決定事項で、俺に対しては反対すると思ったのか心愛は事後報告で1週間前に伝えてきた。

「家でのびのび育ってるのに、2人を幼稚園に長時間預けるのは反対だ。今まで通り、ここから通えばいいだろ!!」

「麻布からだと通勤に40分かかる。救命救急は1分1秒でも遅れると救える命も救えなくなる」

「人命救助も大事だが、双子が可哀想だろ!!仕事ばかり優先せずに、双子の相手をもっとしてやれよ!!」

心愛と双子と離れたくなく、心愛と言い合いになってしまった。





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