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仮初め夫婦からお試し夫婦へ
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総司さんと結婚をしてから、プリンセスホテルグループの建物の内装デザインの仕事が全てわたしに回ってきた。
プリンセスホテルグループの次期社長夫人として社内でみられ、仕事がやりにくい。
立場上、今はプリンセスホテルグループの次期社長夫人かもしれないけれど3ヶ月ぐらい経ったら、わたしは一般人に戻る。
婚姻届を提出する際に離婚届を2通貰ってきた。
総司さんは離婚届をお互いがサインして持つ事に対して苦言してたけれど、総司さんが社長に就任したら離婚をすると初めに約束をしてた事から、強く言ってサインをさせ、わたしがサインした物を総司さんに渡した。
総司さんと離婚するつもりなのに、わたしが請け負ってる仕事の大半がプリンセスホテルグループの内装デザインになり、離婚後の仕事がどうなるかを考えると頭が痛くなった。
さすがに、プリンセスホテルグループの社長と離婚した元妻が、プリンセスホテルグループの建物の内装デザインを引き受けるのはまずいと思う。
「課長、あのですね、プリンセスホテルグループの仕事は他の方にお願いできませんか?」
新規で7件もプリンセスホテルグループ関係の仕事が回ってきて、ダメ元で課長にお願いしてみた。
「プリンセスホテルグループからの指名だからね、他の人に回せないんだよ。だから、天沢さんじゃなく久我さん引き受けてくれ」
まさかのプリンセスホテルグループからの指名……。
経営企画部の部長をしている総司さんが手を回してる気がしてならない。
帰宅後、珍しく総司さんが家にいた。
「わたしをプリンセスホテルグループの内装デザインの専属にするの辞めて!!」
帰宅早々に、総司さんに文句を言った。
「俺、愛里が手がける内装が好きだから愛里を専属で指名してるだけ。俺の奥さんという理由でしてるわけじゃない」
総司さんは、リビングのソファーに座り、経済新聞を読みながらわたしに言った。
「総司さんが社長に就任したら離婚するから、わたしを専属にするのは辞めて欲しいんだけど。離婚した妻に大切な新規ホテルやリフォームで内装デザインを継続的に任せるとか普通無いでしょ?」
リビングのソファーまで行き、総司さんに近づくと、総司さんは経済新聞を読むのを辞めて立ち上がり、わたしの真ん前までやってきて真剣な表情でわたしを見てきた。
「俺は離婚するつもりは無い。だから離婚しなければいい話だろ。離婚したら愛里の仕事に関して支障が出るだろうな。うちの系列の仕事はもちろんの事、他のクライアントのプリンセスホテルグループの社長と離婚したらインテリアプランナーと愛里に対してマイナスのイメージを持ちそうだ」
結婚を承諾した時も、
『貴方が今度請け負ううちの仕事、貴方が粗相をしでかしたなどの理由をつけてインテリアデザインを他社に委託しましょうか……。そんな事をしたら、貴方が今まで築いた実績と地位は水の泡になりますね』
と、総司さんはわたしを脅して結婚を迫ってきた。
わたしは総司さんが社長に就任するまでと思い結婚を承諾したのに、総司さんはわたしとはなから離婚する気がなかったようだった。
離婚するとわたしが今まで築いてきたインテリアプランナーとしての信頼を失う気がし悪魔のような総司さんと仮面夫婦として結婚生活を続けていくべきかと思いつつも、今すぐにでも離婚して総司さんから離れたいと思うわたしがいた。
「これからしばらくは出張に出る事は無い。愛里と一緒に過ごしてお互いを知って夫婦として距離を縮めたい。祖父から社長になるための条件として愛里との結婚を言われたが、俺はそれ以前から愛里がうちの仕事を初めて請け負った時から気になってた。愛里は覚えてないと思うけれど、2年前に札幌と福岡で俺たちは会ってる」
総司さんは真剣な表情でわたしを見つめてくる。
2年前のグランドプリンセスホテルの完成後、視察で現地に行った日の事を思い出す。
初めて1人で内装デザインを任せられ、完成した空間を見て、ただ感動してた。
そこに総司さんがいた。プリンセスホテルグループの経営企画部長をしているなら居てもおかしくない。
「……一目惚れだった。愛里を欲しいと思った。君がお見合い相手と知ってどれだけて嬉しかったか。こうやって結婚ができた事がどんなに嬉しかった事か。どんな手を使っても愛里が欲しかった」
総司さんがわたしに手を伸ばしわたしを抱き寄せ、そして、わたしの頭を撫でた。
「愛里、このままだとたんなる同居人でしかない。俺が社長に就任するまで俺と夫婦として接してくれ。それで俺がどうしても嫌なら離婚しても構わない。その際は愛里が仕事で不利益が出ないよう俺が原因で別れたと公表する」
抱きしめられてる状態で総司さんを見上げたら、総司さんは切なそうにわたしを見てた。
「わかりました。でも、具体的にどう接したら良いんですか?」
「お互い仕事ですれ違い生活だから家にいる時は愛里のそばにいたい。そして、抱きしめて眠りたいいたい。そして、時間がある時は恋人同士みたいに旅行に行ったりしたいな」
「わかりました。総司さんが社長に就任するまで夫婦として接します。なので、3か月経ってもわたしの気持ちが貴方に向かなかったら、必ず離婚して下さい」
プリンセスホテルグループの次期社長夫人として社内でみられ、仕事がやりにくい。
立場上、今はプリンセスホテルグループの次期社長夫人かもしれないけれど3ヶ月ぐらい経ったら、わたしは一般人に戻る。
婚姻届を提出する際に離婚届を2通貰ってきた。
総司さんは離婚届をお互いがサインして持つ事に対して苦言してたけれど、総司さんが社長に就任したら離婚をすると初めに約束をしてた事から、強く言ってサインをさせ、わたしがサインした物を総司さんに渡した。
総司さんと離婚するつもりなのに、わたしが請け負ってる仕事の大半がプリンセスホテルグループの内装デザインになり、離婚後の仕事がどうなるかを考えると頭が痛くなった。
さすがに、プリンセスホテルグループの社長と離婚した元妻が、プリンセスホテルグループの建物の内装デザインを引き受けるのはまずいと思う。
「課長、あのですね、プリンセスホテルグループの仕事は他の方にお願いできませんか?」
新規で7件もプリンセスホテルグループ関係の仕事が回ってきて、ダメ元で課長にお願いしてみた。
「プリンセスホテルグループからの指名だからね、他の人に回せないんだよ。だから、天沢さんじゃなく久我さん引き受けてくれ」
まさかのプリンセスホテルグループからの指名……。
経営企画部の部長をしている総司さんが手を回してる気がしてならない。
帰宅後、珍しく総司さんが家にいた。
「わたしをプリンセスホテルグループの内装デザインの専属にするの辞めて!!」
帰宅早々に、総司さんに文句を言った。
「俺、愛里が手がける内装が好きだから愛里を専属で指名してるだけ。俺の奥さんという理由でしてるわけじゃない」
総司さんは、リビングのソファーに座り、経済新聞を読みながらわたしに言った。
「総司さんが社長に就任したら離婚するから、わたしを専属にするのは辞めて欲しいんだけど。離婚した妻に大切な新規ホテルやリフォームで内装デザインを継続的に任せるとか普通無いでしょ?」
リビングのソファーまで行き、総司さんに近づくと、総司さんは経済新聞を読むのを辞めて立ち上がり、わたしの真ん前までやってきて真剣な表情でわたしを見てきた。
「俺は離婚するつもりは無い。だから離婚しなければいい話だろ。離婚したら愛里の仕事に関して支障が出るだろうな。うちの系列の仕事はもちろんの事、他のクライアントのプリンセスホテルグループの社長と離婚したらインテリアプランナーと愛里に対してマイナスのイメージを持ちそうだ」
結婚を承諾した時も、
『貴方が今度請け負ううちの仕事、貴方が粗相をしでかしたなどの理由をつけてインテリアデザインを他社に委託しましょうか……。そんな事をしたら、貴方が今まで築いた実績と地位は水の泡になりますね』
と、総司さんはわたしを脅して結婚を迫ってきた。
わたしは総司さんが社長に就任するまでと思い結婚を承諾したのに、総司さんはわたしとはなから離婚する気がなかったようだった。
離婚するとわたしが今まで築いてきたインテリアプランナーとしての信頼を失う気がし悪魔のような総司さんと仮面夫婦として結婚生活を続けていくべきかと思いつつも、今すぐにでも離婚して総司さんから離れたいと思うわたしがいた。
「これからしばらくは出張に出る事は無い。愛里と一緒に過ごしてお互いを知って夫婦として距離を縮めたい。祖父から社長になるための条件として愛里との結婚を言われたが、俺はそれ以前から愛里がうちの仕事を初めて請け負った時から気になってた。愛里は覚えてないと思うけれど、2年前に札幌と福岡で俺たちは会ってる」
総司さんは真剣な表情でわたしを見つめてくる。
2年前のグランドプリンセスホテルの完成後、視察で現地に行った日の事を思い出す。
初めて1人で内装デザインを任せられ、完成した空間を見て、ただ感動してた。
そこに総司さんがいた。プリンセスホテルグループの経営企画部長をしているなら居てもおかしくない。
「……一目惚れだった。愛里を欲しいと思った。君がお見合い相手と知ってどれだけて嬉しかったか。こうやって結婚ができた事がどんなに嬉しかった事か。どんな手を使っても愛里が欲しかった」
総司さんがわたしに手を伸ばしわたしを抱き寄せ、そして、わたしの頭を撫でた。
「愛里、このままだとたんなる同居人でしかない。俺が社長に就任するまで俺と夫婦として接してくれ。それで俺がどうしても嫌なら離婚しても構わない。その際は愛里が仕事で不利益が出ないよう俺が原因で別れたと公表する」
抱きしめられてる状態で総司さんを見上げたら、総司さんは切なそうにわたしを見てた。
「わかりました。でも、具体的にどう接したら良いんですか?」
「お互い仕事ですれ違い生活だから家にいる時は愛里のそばにいたい。そして、抱きしめて眠りたいいたい。そして、時間がある時は恋人同士みたいに旅行に行ったりしたいな」
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