天才小児外科医から溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子

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染色体異常がある子の妊娠 1

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“倉沢さん、助けて”

“赤ちゃんが殺される”

“安達病院に来て”

日曜日の昼過ぎ、一輝先生とNICUに入院してる患児の回診をしてランチでもして帰ろうと思ったら綾音先生からLINEがきた。

「とにかくかけつけようか」

一輝先生とタクシーを拾い、安達病院に急ぐ。
母に“安達病院に来て”とLINEでヘルプ要請を送った。

日曜日で休診日だから、病院の入り口は開いてなく、一輝先生が涼真先生にLINE通話かけるも出なくて、焦る。


****

「瀬戸と心愛さん?」

「お前、どこ行ってたんだよ!!」

「スポーツジム。何かあった?心愛さん、また粘膜下筋腫できて手術しに来た?」

「違う!!綾音先生からLINEきたから来たの」

「綾音?今日は呼んでないはずだけど……」

「とにかく、院内に入れろっ!!」

一輝先生が涼真先生を脅し鍵を開けさせ院内に入る。
診察室には誰もいなく、3階の婦人科病棟に向かう。

「ウッ、グッ!!」

病棟の診察室から声にもならない小さい唸り声が聞こえ、一輝先生と涼真先生と急いで駆けつけた。

「か、母さん、何やってるんだよ!!」

綾音ちゃんが産婦人科診察台に座らされ、ロープで体をぐるぐる巻きにされ逃げられなくされ、口を包帯で塞がれ、涙を流していた。
左腕を見ると点滴の針が刺さっていて、高濃度と思われる陣痛促進剤が入ったブドウ糖液注射点滴をされていた。

「……羊水検査の結果、お腹の中の赤ちゃん、21トリソミーだったの。21週と6日以降は中絶できなくなるし、猶予が無いのよ」

脚が開脚され、綾音先生は子宮頸部を開く処置がされている途中だった。

綾音先生の腕から針を抜き、包帯とロープを外して、婦人科診察台から下ろした。

「真弓、貴女って人は!!」

私のヘルプ要請で瀬戸父先生を連れて急いで駆けつけくれた母。
肩で息をしながら、真弓副院長を睨みつける。

「綾音、大丈夫か!!」

点滴を落とす速度も早く、綾音先生の体が小刻みに震え呼吸困難を起こしていた。

「涼真先生、綾音先生を特別個室に連れて行って、血液内のプロスタグランジンの濃度を下げるための点滴する」

投与された陣痛促進剤で綾音先生は軽い陣痛が起きている。

涼真先生は空気読めない所があるけれど、悪い人ではないと思う。
だけど、涼介院長と真弓副院長の血を引いてるから警戒してしまう。
涼真先生が綾音先生を抱き上げ特別個室のベッドまで連れていき寝かし心配そうに見つめる姿を見ると、子供目当ての結婚ではなく綾音先生の事が好きなんだと思った。

「CRL(頭殿長)が16.8cm、が子宮底長が20.3cm、体重は198g。あくびしたり手足をバタバタしてるし赤ちゃんは問題無しだね」

最新の4D超音波検査機器で経腹エコーをし、赤ちゃんの様子を念入りに確かめる。





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