ギフテッドな外科医からの策略的求愛

Prologue

『大学なんて適当なところに通えばいい。澪は蓮くんのお嫁さんになればいいんだから！！』

頭のネジが足りない事は認める。
でも、自称恋人の幼馴染のアイツが家庭教師をしてるフリして勉強の邪魔をしてくるから、模試で志望校のA判定が取れなかった。

嫌、高校1年で東大模試理科Ⅲ類でA判定取れっていうのが無理なんだ。
アイツは涼しい顔して、3年間ずっと満点A判定を取ってたかもしれないけど、それがおかしいんだ。

いつのまにかアイツの婚約者にされ、両親から『身の丈にあった女子大に進学して、卒業後、蓮くんと結婚して、子供を産んで子育てしながら専業主婦をして過ごせばいい』と言われ、それが悔しくて、死ぬ気で勉強をして、ギリギリなんとか理科Ⅱ類にギリギリ合格した。

ギリギリ合格故に入学後はハイスペースな授業についていくのに必死だった。
授業以外の時間は、ずっと駒場キャンパスの図書館にこもって勉強の日々を送る。

私はある野望を抱いてた。
理科Ⅲには留年して勉強漬けの生活を送っても到底合格する事は不可能。
理科Ⅱ類から毎年 10 人の学生が医学部医学科に進学することができると知り、私はそれにかけて理科Ⅱ類で進学をした。

身内から東大医学部には絶対に入れないと決めつけられてた。
私は医学部に進み医者になってやると闘志を燃やしてた。

入学後の2年間は全員が教養学部の学生としてスタートする。
そして、希望する学部に進むために必須科目と選択科目を死にものぐるいで勉強する。
成績で学部を振り分けられるから、皆んな必死だ。

理科Ⅱで進学した生徒が医学部に進むには、理科Ⅲで合格するよりかなりハードルが高い成績を取らないといけない。
だけど、大学受験で理科Ⅲ類を目指すより、進学振り分け制度を利用して医学部を目指す方が私にとっては効率がよかった。

理由は……ギフデットなアイツの、教授が唸るぐらい完璧なノートとレポートと論文が手元にあるから。
アイツには頼りたくなかったけと、ヨイショしたら丁寧に教えてくれるから、おかげさまで私は無事に医学部に進む事ができ、医学部をオールAの成績で卒業する事ができた。

医学部を卒業後はアイツとおさらばするつもりだった。
そのために初期研修でマッチングで、遠方にある病院に願書と応募書類を送ったはずなのに、なぜか如月総合病院に決まった。

不本意だけどアイツの一族が経営している病院で初期研修医として入局する事になり、私は絶望した。