鬼畜社長からのまさかの溺愛

鳴宮鶉子

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鬼畜社長登場で問題解決も叱られた  1

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こんな時に限って、葛城社長はドイツに長期出張。
リモートで不具合に関しての報告と改善策についてお伺いするも、セキュリティ上、システムプログラムのデータの確認はできず、解決策が見つからない。

『……システムプログラムが原因か?』

「……だと思います」

走行実験で測定したあらゆるデータから、システム停止による不具合と思われる。

***

走行実験立ち合い出向10日目。
休日返上してEV開発走行実験事務所でデータの分析とシステムプログラムを組み直す。

「杉瀬、システムプログラム見せて」

ドイツ出張から帰国後、そのまま葛城社長が駆けつけてくれた。

「回路は繋がってるし、半導体の制御プログラムには問題無い」

葛城社長がシステムプログラムのコードを真剣な眼差しで確認し、電話の受話器を取った。

「冨田さん、試験車の足回り、見せて貰えますか?」

早朝から深夜まで休みなく不具合対応で出社している冨田室長に内線をかけた。

「杉瀬、試験車の状態を確認しに行く。走行発電で不具合起きてるからサスペンションにつけてる発電機が故障してるかもしれない。

「……走行発電で得られる電力はたかがしれてるが、駆動系はモーターに異常をきたすからな」

スーツのジャケットを脱ぎ、フロントジャッキで車を持ち上げ、車の下に入り込み、10台の試験車全ての四輪のサスペンションを確認して行く。

「冨田さん、走行発電用のモーターの位置が悪くないですか?」

「……た、確かに」

小学生の頃、兄がペットのハムスターの回し車の内側に輪ゴムをかけ、ここから輪ゴムで発電機(モーター)に回転を伝え豆電球を光らせてた事を思い出す。

「全固体電池は電極間のリチウムイオンの移動抵抗が高いから電池として出力が上がりにくいのは仕方がないですが、最低出力量に達してないと思われる時に走行停止が起きてるのではないですか?」

事務所に戻り、葛城社長が走行実験中のバッテリーデータに目を通して冨田室長に意見した。

ハイエリートなALICEのエンジニアの中で、私だけが電子工学系の高専専攻科卒。

中学生の頃に祖父が亡くなり、家族経営していた機械設計事務所が不当たりが多発して赤字になり、信用していた人に裏切られたショックで両親が自殺し、家族経営していた機械設計事務所を立て直したいと専門的な事を重点的に学べる高専に進んだ。




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