鬼畜外科医から溺愛求愛されちゃいました

鳴宮鶉子

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健康な体ではないから

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私の心臓は、メスで切り開いて正常な形に縫合し形を作り変えてなんとか動いてる。

心室中隔欠損症、心房中隔欠房室症、完全大血管転位症、動脈管開存症。

5度のオペで正常な形に仕上げて貰ったけど、切って縫って作ってるから、形は正常に近くても、大きさが小さい。

156cmで38kgとちびでガリガリだから、小さな心臓でも機能してる。

「……問題ないね。正常、正常」

3ヶ月に1度になった定期健診。副院長が聴診器で音を聞いてから超音波検査で心臓の形を確認した。

「芽生ちゃん、最近顔色が悪いからちょっと心配してたのよ。心拍があがるような激しい運動はしてないよね?」

激しい運動……私自身はされてるだけで動いてはない。でも、心拍がまずい気はする。

「……将生が無理させてる?心臓はもう大丈夫だとは思うけど。芽生ちゃん、ちょっと尿検査してみようか」

副院長に紙コップを渡される。
女子トイレから戻り、副院長がいる診察室へ戻る。
還暦を迎えた副院長は医師の指導に回り、私以外の患者は受け持ってない。
私が診察室で副院長を待ってると、副院長が満面の笑みを浮かべて入ってきた。

「芽生ちゃん、顔色が悪い原因がわかったわ。妊娠ね。タイミング的にいい時期にできたわ。院長と将生には報告しないと!!喜ぶわ!!」

食欲がわかず、胃がムカムカしてた。
そして、眠気が酷くここ1ヶ月ぐらいは定時で帰らせて貰って先に休んでた。

「……芽衣ちゃん、将生のプロポーズを受けないの先天性心疾患を持って産まれたからだよね?
先天性心疾患は原因は解明されてないけど、遺伝する病気ではないって知ってるよね。
後、お産に心臓が耐えれるかに対して不安なのかもしれないけど、大丈夫。お産には私も院長も将生も立ち会って、心臓に負担がかかるなら緊急帝王切開にするから、何も心配しないでいい。子育ても私、手伝うから」

副院長は私が将生との結婚に前向きに考えられない理由をわかってくれてた。

将生には私から妊娠した事を伝えるよう副院長から言われた。

私のお腹の中で芽生えた命を堕ろす事はしたくない。
私と同じで先天性心疾患を持って産まれてくるかもしれない。
そして、お産によって私の心臓にダメージがきて命を落とすもしくは寝たきりになるかもしれない。

「芽生、心臓は問題なかっただろ?後期研修で循環器系の専門医を全て取得したし、残り3ヶ月はのんびり過ごせばいい」

ここ2ヶ月、体調不良の私を将生は気づかい労わり甘やかしてくれた。

生理が3ヶ月きてないから、もしかしたら私が妊娠している事を気づいてたのかもしれない。

「……将生、あのね、私……」
妊娠した事をどう将生に伝えたらいいか悩む。

目尻を下げて将生は私を見つめてくる。
午後から半休をとり、国立循環器センターにきた私。
将生も半休をとって着いてきた。

「4時過ぎだからまだ夕ご飯には早いな。どうする?京都に戻る?」

副院長が国立循環器センターの近くにある大阪府立総合病院の産婦人科医  水野先生に直接アポを入れてくれたから、今から診察を受けに行かないといけない。

「……あのね、私、赤ちゃんができて、それで今から診察を受けに大阪府立総合病院に行かないといけないの」

将生は私と結婚したがってた。子供も熱望してたと思う。
私を妊娠させようと避妊具をつけずに抱いてた。
だから、喜んでくれるとは思う。

「……芽生、産んでくれるよな?堕すんじゃないよな?」

「……産むよ。芽生えた命を堕ろせないよ。ただ、私、重度の先天性心疾患を持って産まれてきて、今生きてる事自体が奇跡的なの。だから、産まれてくる子が健康かとか、お産で私、死ぬんじゃないかとか、色々頭によぎって、すごく……」

「大丈夫。俺がついてる。子供の心臓に先天性心疾患があったとしても、俺が治すから。
それにお産に立ち合って芽生の心臓を守るから、だから安心して産んで。
芽生、結婚しよう」

将生に対して、遊び人だの最低男だと思ってた。
でも医師としては尊敬できる人で、私と体関係を持ってからは私だけをひたすら愛してくれた。
常に側にいたからいつのまにか私は、将生の事を受け入れ、好きになってた。

「宜しくお願いします」

ずっと断り続けてたプロポーズを受け、私は将生と結婚する事にした。
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