6 / 7
健康な体ではないから
しおりを挟む
私の心臓は、メスで切り開いて正常な形に縫合し形を作り変えてなんとか動いてる。
心室中隔欠損症、心房中隔欠房室症、完全大血管転位症、動脈管開存症。
5度のオペで正常な形に仕上げて貰ったけど、切って縫って作ってるから、形は正常に近くても、大きさが小さい。
156cmで38kgとちびでガリガリだから、小さな心臓でも機能してる。
「……問題ないね。正常、正常」
3ヶ月に1度になった定期健診。副院長が聴診器で音を聞いてから超音波検査で心臓の形を確認した。
「芽生ちゃん、最近顔色が悪いからちょっと心配してたのよ。心拍があがるような激しい運動はしてないよね?」
激しい運動……私自身はされてるだけで動いてはない。でも、心拍がまずい気はする。
「……将生が無理させてる?心臓はもう大丈夫だとは思うけど。芽生ちゃん、ちょっと尿検査してみようか」
副院長に紙コップを渡される。
女子トイレから戻り、副院長がいる診察室へ戻る。
還暦を迎えた副院長は医師の指導に回り、私以外の患者は受け持ってない。
私が診察室で副院長を待ってると、副院長が満面の笑みを浮かべて入ってきた。
「芽生ちゃん、顔色が悪い原因がわかったわ。妊娠ね。タイミング的にいい時期にできたわ。院長と将生には報告しないと!!喜ぶわ!!」
食欲がわかず、胃がムカムカしてた。
そして、眠気が酷くここ1ヶ月ぐらいは定時で帰らせて貰って先に休んでた。
「……芽衣ちゃん、将生のプロポーズを受けないの先天性心疾患を持って産まれたからだよね?
先天性心疾患は原因は解明されてないけど、遺伝する病気ではないって知ってるよね。
後、お産に心臓が耐えれるかに対して不安なのかもしれないけど、大丈夫。お産には私も院長も将生も立ち会って、心臓に負担がかかるなら緊急帝王切開にするから、何も心配しないでいい。子育ても私、手伝うから」
副院長は私が将生との結婚に前向きに考えられない理由をわかってくれてた。
将生には私から妊娠した事を伝えるよう副院長から言われた。
私のお腹の中で芽生えた命を堕ろす事はしたくない。
私と同じで先天性心疾患を持って産まれてくるかもしれない。
そして、お産によって私の心臓にダメージがきて命を落とすもしくは寝たきりになるかもしれない。
「芽生、心臓は問題なかっただろ?後期研修で循環器系の専門医を全て取得したし、残り3ヶ月はのんびり過ごせばいい」
ここ2ヶ月、体調不良の私を将生は気づかい労わり甘やかしてくれた。
生理が3ヶ月きてないから、もしかしたら私が妊娠している事を気づいてたのかもしれない。
「……将生、あのね、私……」
妊娠した事をどう将生に伝えたらいいか悩む。
目尻を下げて将生は私を見つめてくる。
午後から半休をとり、国立循環器センターにきた私。
将生も半休をとって着いてきた。
「4時過ぎだからまだ夕ご飯には早いな。どうする?京都に戻る?」
副院長が国立循環器センターの近くにある大阪府立総合病院の産婦人科医 水野先生に直接アポを入れてくれたから、今から診察を受けに行かないといけない。
「……あのね、私、赤ちゃんができて、それで今から診察を受けに大阪府立総合病院に行かないといけないの」
将生は私と結婚したがってた。子供も熱望してたと思う。
私を妊娠させようと避妊具をつけずに抱いてた。
だから、喜んでくれるとは思う。
「……芽生、産んでくれるよな?堕すんじゃないよな?」
「……産むよ。芽生えた命を堕ろせないよ。ただ、私、重度の先天性心疾患を持って産まれてきて、今生きてる事自体が奇跡的なの。だから、産まれてくる子が健康かとか、お産で私、死ぬんじゃないかとか、色々頭によぎって、すごく……」
「大丈夫。俺がついてる。子供の心臓に先天性心疾患があったとしても、俺が治すから。
それにお産に立ち合って芽生の心臓を守るから、だから安心して産んで。
芽生、結婚しよう」
将生に対して、遊び人だの最低男だと思ってた。
でも医師としては尊敬できる人で、私と体関係を持ってからは私だけをひたすら愛してくれた。
常に側にいたからいつのまにか私は、将生の事を受け入れ、好きになってた。
「宜しくお願いします」
ずっと断り続けてたプロポーズを受け、私は将生と結婚する事にした。
心室中隔欠損症、心房中隔欠房室症、完全大血管転位症、動脈管開存症。
5度のオペで正常な形に仕上げて貰ったけど、切って縫って作ってるから、形は正常に近くても、大きさが小さい。
156cmで38kgとちびでガリガリだから、小さな心臓でも機能してる。
「……問題ないね。正常、正常」
3ヶ月に1度になった定期健診。副院長が聴診器で音を聞いてから超音波検査で心臓の形を確認した。
「芽生ちゃん、最近顔色が悪いからちょっと心配してたのよ。心拍があがるような激しい運動はしてないよね?」
激しい運動……私自身はされてるだけで動いてはない。でも、心拍がまずい気はする。
「……将生が無理させてる?心臓はもう大丈夫だとは思うけど。芽生ちゃん、ちょっと尿検査してみようか」
副院長に紙コップを渡される。
女子トイレから戻り、副院長がいる診察室へ戻る。
還暦を迎えた副院長は医師の指導に回り、私以外の患者は受け持ってない。
私が診察室で副院長を待ってると、副院長が満面の笑みを浮かべて入ってきた。
「芽生ちゃん、顔色が悪い原因がわかったわ。妊娠ね。タイミング的にいい時期にできたわ。院長と将生には報告しないと!!喜ぶわ!!」
食欲がわかず、胃がムカムカしてた。
そして、眠気が酷くここ1ヶ月ぐらいは定時で帰らせて貰って先に休んでた。
「……芽衣ちゃん、将生のプロポーズを受けないの先天性心疾患を持って産まれたからだよね?
先天性心疾患は原因は解明されてないけど、遺伝する病気ではないって知ってるよね。
後、お産に心臓が耐えれるかに対して不安なのかもしれないけど、大丈夫。お産には私も院長も将生も立ち会って、心臓に負担がかかるなら緊急帝王切開にするから、何も心配しないでいい。子育ても私、手伝うから」
副院長は私が将生との結婚に前向きに考えられない理由をわかってくれてた。
将生には私から妊娠した事を伝えるよう副院長から言われた。
私のお腹の中で芽生えた命を堕ろす事はしたくない。
私と同じで先天性心疾患を持って産まれてくるかもしれない。
そして、お産によって私の心臓にダメージがきて命を落とすもしくは寝たきりになるかもしれない。
「芽生、心臓は問題なかっただろ?後期研修で循環器系の専門医を全て取得したし、残り3ヶ月はのんびり過ごせばいい」
ここ2ヶ月、体調不良の私を将生は気づかい労わり甘やかしてくれた。
生理が3ヶ月きてないから、もしかしたら私が妊娠している事を気づいてたのかもしれない。
「……将生、あのね、私……」
妊娠した事をどう将生に伝えたらいいか悩む。
目尻を下げて将生は私を見つめてくる。
午後から半休をとり、国立循環器センターにきた私。
将生も半休をとって着いてきた。
「4時過ぎだからまだ夕ご飯には早いな。どうする?京都に戻る?」
副院長が国立循環器センターの近くにある大阪府立総合病院の産婦人科医 水野先生に直接アポを入れてくれたから、今から診察を受けに行かないといけない。
「……あのね、私、赤ちゃんができて、それで今から診察を受けに大阪府立総合病院に行かないといけないの」
将生は私と結婚したがってた。子供も熱望してたと思う。
私を妊娠させようと避妊具をつけずに抱いてた。
だから、喜んでくれるとは思う。
「……芽生、産んでくれるよな?堕すんじゃないよな?」
「……産むよ。芽生えた命を堕ろせないよ。ただ、私、重度の先天性心疾患を持って産まれてきて、今生きてる事自体が奇跡的なの。だから、産まれてくる子が健康かとか、お産で私、死ぬんじゃないかとか、色々頭によぎって、すごく……」
「大丈夫。俺がついてる。子供の心臓に先天性心疾患があったとしても、俺が治すから。
それにお産に立ち合って芽生の心臓を守るから、だから安心して産んで。
芽生、結婚しよう」
将生に対して、遊び人だの最低男だと思ってた。
でも医師としては尊敬できる人で、私と体関係を持ってからは私だけをひたすら愛してくれた。
常に側にいたからいつのまにか私は、将生の事を受け入れ、好きになってた。
「宜しくお願いします」
ずっと断り続けてたプロポーズを受け、私は将生と結婚する事にした。
10
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる