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最後の最後に……。
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プリンセスホテルの事業企画部の戦士、葛城麗奈と、蝶々のホステス、さくらとして二足の草鞋なわたし。
3月12日に28歳になるから、蝶々のホステスからは退職を決め、マスターと相談し、許可を得た。
引き際が肝心
歳を重ねるごとに醸し出す色気もある。
でも、わたしみたいなタイプは、客が離れていく気がする。
「さくらちゃん、ここを辞めるの?」
「はい、今まで可愛がって下さり、ありがとうございました」
蝶々でさくらを演じるラストの日。
永瀬を率いる御曹司グループは、6月に初来店をしてから、毎週1~2回、訪れ、わたしを指名してくれた。
他にも、わたしを指名して下さるお客様はいる。
でも、毎週のようには来てくれない。
高級クラブだから、1度で3~5万円が飛んじゃうから。
固定客として、来店してくれた事、感謝してる。
「創志が残念がるな。創志、さくらちゃんに、マジで熱をあげてたから。俺たち、創志のお供でここに集まってたようなものだからね」
大島建設の御曹司の大島さんが、本人不在な中、暴露する。
ここは、喜んだリアクションをするところだけど、固まってしまうわたしがいた。
「さくらちゃん、最後なら、アイツとアフターに付き合ってやってよ。
アフターに付き合ってくれるなら、さくらちゃんが辞めても、これからもここのクラブに足を運ぶからさ」
大島さんがとんでも無い事を提案したきた。
それを聞いたマスターが近づいてくる。
「さくらちゃん、最後だから、お客様に感謝の気持ちを伝えるためにアフターに応じてくれるよね?」
マスターから命令のような圧を感じる。
残業でちょうど今、店に到着した永瀬と、わたしは店を追い出された。
「今日で、わたし、蝶々を辞めるんです。……それで、わたしに逢いに毎週のように来店して下さった永瀬さんと最後なのでアフターで2人で時間を過ごす事を仰せつかりました」
店を追い出された、わたしと永瀬。
永瀬は意味がわからないといった表情をしていた。
「さくらちゃん、蝶々を辞めるの?まさか、結婚とか??」
「……違います。わたし、今月で28歳になるので、そろそろ引き際かなと思い、退職を決めました」
わたしが蝶々を辞めると知り、かなり驚いて、動揺した永瀬に、わたしは応えた。
「さくらちゃんに、逢えなくなるの、悲しいな……」
心底、残念がる永瀬。そこまで、蝶々のさくらなわたしにぞっこんだったと知り、複雑な心中になる。
「さくらちゃん、最後なら、今日はとことん付き合って」
金曜日の夜だから、永瀬が気がすむまで、相手をしようと、着いていく。
着いた場所がプリンセスホテルの最上階の会員制の高級BARで、夜景がよく見える席で、遅い時間なのに、乾杯からのちょっとしたコース料理を頂く。
お酒がメインだから、おつまみとフルーツ中心のコースだけど、有り難く頂戴する。
「さくらちゃん、本当に、可愛いよな。俺、さくらちゃんの笑顔にいつも救われてた。だから、さくらちゃんに会えなくなるの無理。さくらちゃん、俺と付き合って」
口説かれるわたし……。
どう、かわせばいいか、悩み、言葉が出てこない。
もし、永瀬が本業の同期じゃなかったら、付き合ってたかもしれない。
永瀬の事、嫌いじゃない。
LOVEかというと、そこまでじゃないけど、交際から好きになってるかもしれない。
永瀬の思いに応えられないわたしは、勧められるまま、ワインを体内に流し込んだ。
そして、最後の最後に、潰れてしまった。
蝶々で、さくらとして、ホステスをした期間は2年。
幕を閉じると自分で決めたけれど、本来の自分が出せ、それを受け入れてくれる蝶々の居心地の良さに、日頃の疲れを癒していたわたしは、その場を失う事に戸惑いを感じてた。
だから、ついつい、飲みすぎた。
永瀬に口説かれ、飲んで、誤魔化してたのもある。
いつもは、まずいと思ったら、蝶々では、ブランデーをかなり薄めたり、ノンアルに変えたりできたけど、それができなくて、最後の最後に意識をなくすというミスを犯してしまった。
しかも、その相手は、永瀬。
本業のプリンセスホテルの同期で、プリンセスホテルの御曹司。
目覚めたら、プリンセスホテル側の高級マンションの中層階の、たぶん、永瀬のマンションのベッドの上で目を覚ました。
しかも、全裸で、腰に鈍痛を感じたから、やらかしたみたい。
隣で、わたしを抱きしめて、裸で眠る永瀬を見たら、何が起きたか、さすがにわかる。
永瀬が起きる前に、 ベッドの下に落ちた下着の皺くちゃな、カクテルドレスを身につけ、永瀬のマンションから、そっと出て行った。
ちなみに、意識を無くしてたから、なんとも言えないけど、ホステスをしていたけど、男性と交際をした事が無かったわたしは、初めてをこんな形で同僚に奪われてしまった。
お酒で意識を飛ばしたわたしも悪い。
そして、ホステスをしていたのも悪い。
28歳になっても処女は恥ずかしいから、こんな形でも捨てれて、良かったと思う事にした。
その相手が永瀬なら、まだ救われてる。
見た目も人柄も問題ない人だから……。
3月12日に28歳になるから、蝶々のホステスからは退職を決め、マスターと相談し、許可を得た。
引き際が肝心
歳を重ねるごとに醸し出す色気もある。
でも、わたしみたいなタイプは、客が離れていく気がする。
「さくらちゃん、ここを辞めるの?」
「はい、今まで可愛がって下さり、ありがとうございました」
蝶々でさくらを演じるラストの日。
永瀬を率いる御曹司グループは、6月に初来店をしてから、毎週1~2回、訪れ、わたしを指名してくれた。
他にも、わたしを指名して下さるお客様はいる。
でも、毎週のようには来てくれない。
高級クラブだから、1度で3~5万円が飛んじゃうから。
固定客として、来店してくれた事、感謝してる。
「創志が残念がるな。創志、さくらちゃんに、マジで熱をあげてたから。俺たち、創志のお供でここに集まってたようなものだからね」
大島建設の御曹司の大島さんが、本人不在な中、暴露する。
ここは、喜んだリアクションをするところだけど、固まってしまうわたしがいた。
「さくらちゃん、最後なら、アイツとアフターに付き合ってやってよ。
アフターに付き合ってくれるなら、さくらちゃんが辞めても、これからもここのクラブに足を運ぶからさ」
大島さんがとんでも無い事を提案したきた。
それを聞いたマスターが近づいてくる。
「さくらちゃん、最後だから、お客様に感謝の気持ちを伝えるためにアフターに応じてくれるよね?」
マスターから命令のような圧を感じる。
残業でちょうど今、店に到着した永瀬と、わたしは店を追い出された。
「今日で、わたし、蝶々を辞めるんです。……それで、わたしに逢いに毎週のように来店して下さった永瀬さんと最後なのでアフターで2人で時間を過ごす事を仰せつかりました」
店を追い出された、わたしと永瀬。
永瀬は意味がわからないといった表情をしていた。
「さくらちゃん、蝶々を辞めるの?まさか、結婚とか??」
「……違います。わたし、今月で28歳になるので、そろそろ引き際かなと思い、退職を決めました」
わたしが蝶々を辞めると知り、かなり驚いて、動揺した永瀬に、わたしは応えた。
「さくらちゃんに、逢えなくなるの、悲しいな……」
心底、残念がる永瀬。そこまで、蝶々のさくらなわたしにぞっこんだったと知り、複雑な心中になる。
「さくらちゃん、最後なら、今日はとことん付き合って」
金曜日の夜だから、永瀬が気がすむまで、相手をしようと、着いていく。
着いた場所がプリンセスホテルの最上階の会員制の高級BARで、夜景がよく見える席で、遅い時間なのに、乾杯からのちょっとしたコース料理を頂く。
お酒がメインだから、おつまみとフルーツ中心のコースだけど、有り難く頂戴する。
「さくらちゃん、本当に、可愛いよな。俺、さくらちゃんの笑顔にいつも救われてた。だから、さくらちゃんに会えなくなるの無理。さくらちゃん、俺と付き合って」
口説かれるわたし……。
どう、かわせばいいか、悩み、言葉が出てこない。
もし、永瀬が本業の同期じゃなかったら、付き合ってたかもしれない。
永瀬の事、嫌いじゃない。
LOVEかというと、そこまでじゃないけど、交際から好きになってるかもしれない。
永瀬の思いに応えられないわたしは、勧められるまま、ワインを体内に流し込んだ。
そして、最後の最後に、潰れてしまった。
蝶々で、さくらとして、ホステスをした期間は2年。
幕を閉じると自分で決めたけれど、本来の自分が出せ、それを受け入れてくれる蝶々の居心地の良さに、日頃の疲れを癒していたわたしは、その場を失う事に戸惑いを感じてた。
だから、ついつい、飲みすぎた。
永瀬に口説かれ、飲んで、誤魔化してたのもある。
いつもは、まずいと思ったら、蝶々では、ブランデーをかなり薄めたり、ノンアルに変えたりできたけど、それができなくて、最後の最後に意識をなくすというミスを犯してしまった。
しかも、その相手は、永瀬。
本業のプリンセスホテルの同期で、プリンセスホテルの御曹司。
目覚めたら、プリンセスホテル側の高級マンションの中層階の、たぶん、永瀬のマンションのベッドの上で目を覚ました。
しかも、全裸で、腰に鈍痛を感じたから、やらかしたみたい。
隣で、わたしを抱きしめて、裸で眠る永瀬を見たら、何が起きたか、さすがにわかる。
永瀬が起きる前に、 ベッドの下に落ちた下着の皺くちゃな、カクテルドレスを身につけ、永瀬のマンションから、そっと出て行った。
ちなみに、意識を無くしてたから、なんとも言えないけど、ホステスをしていたけど、男性と交際をした事が無かったわたしは、初めてをこんな形で同僚に奪われてしまった。
お酒で意識を飛ばしたわたしも悪い。
そして、ホステスをしていたのも悪い。
28歳になっても処女は恥ずかしいから、こんな形でも捨てれて、良かったと思う事にした。
その相手が永瀬なら、まだ救われてる。
見た目も人柄も問題ない人だから……。
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