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平日は毎日、プリンセスホテルに8時に出勤し、19~20時に退社してるわたし。
蝶々には月・水・金の週3回、21
~22時に入店し、ラストの夜中の2時までいる。
あれから、永瀬創志の若手御曹司グループから指名をして頂き、困ってる。
このグループ、御曹司だからかヘルプにホステス達が入りたがる。
それを、『さくらさんだけでいいです』とメンバーが断るから、ホステス仲間から妬まれる。
日付が変わるぐらいの時間に、永瀬創志がやってきて、わたしの隣に座る。
プリンセスホテルでのわたしと、蝶々でのわたしは、見た目も性格も違う。
だから、バレないと思うけど、不安になる。
「創志、新しいホテル建築、決まったらしいな」
「ああ、やっと、仕事が落ち着く」
ネクタイを緩めながら、疲れた表情を見せる永瀬。
おしぼりを渡し、ブランデーの水割りを作り、彼の前に置く。
「ありがとう」
と、永瀬がわたしに笑いかけてくれたから、わたしもにこっと笑みを返す。
「さくらさん、本当に、一緒にいたら、癒されるわ」
永瀬にそんな事を言われると、複雑に感じてしまう。
昼間のわたしと夜のわたしを知ってる永瀬だからかもしれない。
ほぼ、毎週、水曜日と金曜日に、永瀬を率いる御曹司軍団が、蝶々に訪れてくれる。
永瀬は、わたしがプリンセスホテルの葛城麗奈とは気づいてない。
とはいえ、バレないかヒヤヒヤしながらのホステスの仕事に疲れてしまい、辞める事が頭によぎった。
もし、わたしがお客としてくるならまだしも、副業でホステスはまずいと思う。
ホステスの仕事は、できても、後、2年……。
本業をクビになる方がまずい。
そんな事を考えながらも、プリンセスホテルで戦士のように戦ってるわたしは、蝶々でお姫様みたいにお客様に可愛がって貰えるのが嬉しくて、蝶々を辞める事ができなかった。
永瀬を率いる御曹司グループが初来店してから、半年が経った。
彼らは、飽きずに、毎週、蝶々に来る。
さすがに、年末で多忙と忘年会シーズンなのもあり、週2回は来なくはなった。
でも、週1回は必ず来る。
来なくていいのに……。
プリンセスホテルでも、事業企画部と経営企画部が合同で忘年会が行われた。
ホテルから近い居酒屋の大部屋に、32名が入り、ビールや酎ハイで乾杯をする。
ブランデーやワインやシャンパンに慣れると、味気なく感じる。
「お疲れ様、葛城、隣いい?」
永瀬が、いつものようにわたしの隣に座る。
数少ない企画部の女性陣の、わたしに向ける目が、冷たい……。
「うん、……お疲れ様」
永瀬は、今、到着したようで、ビールを注文した。
「クリスマスのイベント、大成功して良かったな」
「ありがとう」
クリスマスのイベントに、ライトアップやホテル内にオルゴールの音を流すなどの演出をした。
お客様の声で、かなり、評判が良く、来年も計画する事が決まった。
「さすがだな、葛城」
グラスとグラスをカチンと鳴らし、乾杯をし、永瀬は、にっとはにかんだ笑顔をした。
カッコいい男に、これをされると、ドキッとして、照れてしまう。
お互い、今手がけてる仕事についてを、報告し合う。
人気者な永瀬だから、すぐに酔っ払った同期の男性陣に連れて行かれ、しこたま飲まされる。
だから、15分ぐらいしか、同席はしない。
わたしが梅酒ロックを飲んでると、永瀬がわたしをじっと見てきた。
「なに?」
「葛城って、……よく知ってる人に似てるなと思って。言葉遣いの丁寧さと気づかいができるとこと、お酒の飲み方」
バレたかと、胸がビクッと、冷や汗が流れる……。
でも、ここで動揺したらいけない。
シラを切らないといけない。
「……違うか、葛城は戦士系で、その子は姫系だから」
焦ったけど、永瀬が否定をしたから、ほっとした。
そうこう話していると、いつもの流れで、飲んだくれた男性陣に、永瀬は連れて行かれた。
戦士と姫なわたし。
永瀬は、姫なわたしを気に入ってくれてる。
会社でのわたしは、本当に、最近は、戦士だ。
企画のプレゼンで吠え、企画遂行について、スタッフに対して厳しく対応する。
そんな、自分に、疲れていた。
蝶々には月・水・金の週3回、21
~22時に入店し、ラストの夜中の2時までいる。
あれから、永瀬創志の若手御曹司グループから指名をして頂き、困ってる。
このグループ、御曹司だからかヘルプにホステス達が入りたがる。
それを、『さくらさんだけでいいです』とメンバーが断るから、ホステス仲間から妬まれる。
日付が変わるぐらいの時間に、永瀬創志がやってきて、わたしの隣に座る。
プリンセスホテルでのわたしと、蝶々でのわたしは、見た目も性格も違う。
だから、バレないと思うけど、不安になる。
「創志、新しいホテル建築、決まったらしいな」
「ああ、やっと、仕事が落ち着く」
ネクタイを緩めながら、疲れた表情を見せる永瀬。
おしぼりを渡し、ブランデーの水割りを作り、彼の前に置く。
「ありがとう」
と、永瀬がわたしに笑いかけてくれたから、わたしもにこっと笑みを返す。
「さくらさん、本当に、一緒にいたら、癒されるわ」
永瀬にそんな事を言われると、複雑に感じてしまう。
昼間のわたしと夜のわたしを知ってる永瀬だからかもしれない。
ほぼ、毎週、水曜日と金曜日に、永瀬を率いる御曹司軍団が、蝶々に訪れてくれる。
永瀬は、わたしがプリンセスホテルの葛城麗奈とは気づいてない。
とはいえ、バレないかヒヤヒヤしながらのホステスの仕事に疲れてしまい、辞める事が頭によぎった。
もし、わたしがお客としてくるならまだしも、副業でホステスはまずいと思う。
ホステスの仕事は、できても、後、2年……。
本業をクビになる方がまずい。
そんな事を考えながらも、プリンセスホテルで戦士のように戦ってるわたしは、蝶々でお姫様みたいにお客様に可愛がって貰えるのが嬉しくて、蝶々を辞める事ができなかった。
永瀬を率いる御曹司グループが初来店してから、半年が経った。
彼らは、飽きずに、毎週、蝶々に来る。
さすがに、年末で多忙と忘年会シーズンなのもあり、週2回は来なくはなった。
でも、週1回は必ず来る。
来なくていいのに……。
プリンセスホテルでも、事業企画部と経営企画部が合同で忘年会が行われた。
ホテルから近い居酒屋の大部屋に、32名が入り、ビールや酎ハイで乾杯をする。
ブランデーやワインやシャンパンに慣れると、味気なく感じる。
「お疲れ様、葛城、隣いい?」
永瀬が、いつものようにわたしの隣に座る。
数少ない企画部の女性陣の、わたしに向ける目が、冷たい……。
「うん、……お疲れ様」
永瀬は、今、到着したようで、ビールを注文した。
「クリスマスのイベント、大成功して良かったな」
「ありがとう」
クリスマスのイベントに、ライトアップやホテル内にオルゴールの音を流すなどの演出をした。
お客様の声で、かなり、評判が良く、来年も計画する事が決まった。
「さすがだな、葛城」
グラスとグラスをカチンと鳴らし、乾杯をし、永瀬は、にっとはにかんだ笑顔をした。
カッコいい男に、これをされると、ドキッとして、照れてしまう。
お互い、今手がけてる仕事についてを、報告し合う。
人気者な永瀬だから、すぐに酔っ払った同期の男性陣に連れて行かれ、しこたま飲まされる。
だから、15分ぐらいしか、同席はしない。
わたしが梅酒ロックを飲んでると、永瀬がわたしをじっと見てきた。
「なに?」
「葛城って、……よく知ってる人に似てるなと思って。言葉遣いの丁寧さと気づかいができるとこと、お酒の飲み方」
バレたかと、胸がビクッと、冷や汗が流れる……。
でも、ここで動揺したらいけない。
シラを切らないといけない。
「……違うか、葛城は戦士系で、その子は姫系だから」
焦ったけど、永瀬が否定をしたから、ほっとした。
そうこう話していると、いつもの流れで、飲んだくれた男性陣に、永瀬は連れて行かれた。
戦士と姫なわたし。
永瀬は、姫なわたしを気に入ってくれてる。
会社でのわたしは、本当に、最近は、戦士だ。
企画のプレゼンで吠え、企画遂行について、スタッフに対して厳しく対応する。
そんな、自分に、疲れていた。
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