記憶のかなた

みやち

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仏での出会い

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「着いた!!!」

24時間に渡るフライトを終え、やっと飛行機が陸に降り立った。身体を思う存分伸ばせることに幸せを感じる。

機内での入出国カード、入国審査共に無事にクリア出来て安心した…小学生レベルの英語しか分からないから、迷惑かけないようにカンペ作りと下調べをしておいたのがよかった。

ロビーで待ってなさい、お互い絶対分かるからって母さん言ってたけど…事前情報によると現在43歳で、とっても綺麗な男の人らしい。名前は高塚綾人(タカツカリョウト)さん…ちびっ子の時に1回会ってるらしいけど、俺の記憶にはない。

「Bonjour, peut-être un enfant du Japon?(こんにちは、もしかして日本から来た子?)」

「ぼ、ぼんじゅーる???いえす、あいあむふろむじゃぽん!」

急に後ろで括った金髪に、サングラスが良くお似合いのイケメンに話しかけられたけどボンジュールとジャポンしか聴き取れなかった…

咄嗟に答えたはいいけど、あってる?これ英語で答えてよかった?

「J'ai pensé ainsi! Vous ressemblez beaucoup à mon conjoint !(そうだと思った、君僕の伴侶にものすごく似てるよ!)」

「おー、あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ、あんどふれんち」

「Mon mari viendra bientôt (もう少しで僕の夫も来るからね)」

あ、このイケメン人の話聞いてない。
一方的に言葉を並べられて頭がこんがらがってきた…

「俺わからない!フランス語!」

「oh!ごめんネ、忘れてたヨ」

やけくそで叫ぶと驚く事に日本語で返事が返ってきた。心無しかイケメンさんがしょぼんとしてる…

「ボクはAndrée(アンドレ)ダヨ。いつもツマに言われるヨ…人の話を聞きなさイ!って…ごめんだヨ…」

「俺は奏多って言います!アンドレさんはどちら様?」

「君のおじさんのオットだよ!ちょうどおじさんキタネ!」

後ろを振り向くとかわいい顔をした、同い年くらいの男が居た。

「お前奏多だろ?大きくなったな!来て早々アンドレに絡まれて災難だったな」

「綾人おじさん?若くない?ほんとに43歳?」

口に出しちゃった俺超失礼じゃん、どうやってフォローしようかうだうだしていると

「アッハハハハ!お前俺と同じ遺伝子持ってんだから多分、童顔低身長細身の3段コースだぞ!」

「うわぁぁぁぁやめてぇぇぇぇ現実突きつけないでぇぇぇぇ」

自分のコンプレックスの中の、3個を突きつけられて辛い…おじさんと違って不細工で、尚且つ童顔とかもうお嫁さん貰えないよぉ…そりゃモテない訳だよ…

「2人とも仲良しダネ!リョウト車どこ停めてきたノ?」

綾人おじさんが車でお迎えに来てくれたから、家まで乗せて貰った。正直住所ひとつで電車に乗って家見つける自信はなかったからありがたい…

こうして俺のフランス生活が始まるのであった。
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