せな君とせらちゃん

11話 悪魔の無茶ぶり

　瀬那君の“嘘片思い宣言”から、早３日。
　男子も女子も、瀬那君と私をくっつけた方がいいのか、迷っているみたいでなんとなくギクシャクしている。
　ま、私はお断りだけど。
　あんな悪魔と天使の私をくっつけようだなんて、言語道断!
　でも、男子は私に女子は瀬那君に夢中だから、くっつけようとはしないはず。
　だって、ライバルは少しでも減った方ががいいもんね。




　………って、そんなことは、私の知ったこっちゃねぇんだけど。
　だけどね、今、この状況はパワハラと言ってもいい状況だ。
　なんで私が、瀬那君なんかのために、学校で一番遠い自動販売機に飲み物を買いに行かなきゃならないのよ！
　それにおまかせって！自腹って！
　おかしいでしょ？！
　私、瀬那君の好み、何にも分からないんだけど！
　とりあえず自動販売機の前まで来たけど、何を買えばいいのか……。
　うーん、炭酸系？コーヒー系？ジュース系？シンプルに水？スポーツドリンク？
　色々ありすぎだよ～……。
　本当は一種類ずつ買いたいところだけど、そんなことをしていたら、私のお金がなくなるし。
　どうしよう……適当に買ったら何されるか分かんないよな～。
　ふと、この前のキスを思い出し、顔が熱くなる。
　なんで思い出しちゃうかな？
　もう、あんなのキスじゃないのに。
　ただ、唇と唇が接触しただけだしっ！
　忘れよう、忘れよう！
　呪文のように繰り返していると、ピコンとスマホの通知音が鳴った。
　誰だろう……萌香かな？
　LINEを開くと＿＿＿

「瀬那君！？」
　
　なんで私のLINE知ってるのよ？！
　交換した覚えはないけど？
　メッセージを見ると、

　“早くしろ。お仕置きすんぞ”

「ひっ！」

　怖っ！脅迫文でしょ？！
　私は、震える指でメッセージを送る。

　“瀬那君の好みも知らないのに、買えるわけないでしょ！”

　やれやれとスマホを制服のポケットにしまおうとすると、

「へ、返信早っ！」

　まだ30秒もたってないよ？
　
　“あっそ。じゃあ、あと1分で戻って来なかったら、お仕置き決定な”

「あっ……！」
　
　私は思わず言葉を失い、立ち尽くす。
　ムリムリ！出来るわけないじゃん！
　でも、お仕置きはされたくない！
　やるしかないっ！
　私は、“えいっ”と勢いよくボタンを押した。