【R18】異世界で公爵家の教育係となりました〜え？教育って性教育の方ですか？〜

第7話

「はい？」

　私は執事長の言葉を再度聞き返していた。執事長はそんな私の様子にも丁寧に説明を重ねてくれる。

「ユキ様にはこのお屋敷にて住み込みで働いていただきす。契約書にも記載されていますよ」

　ここです、と契約書の項目を指差して教えてくれる。

　本当だ…住み込みで働くこと書いてる。

「そ、そうですか」

　一度頷いたけど、今のアパートはどうすればいいんだろう。

「私、異世界人の保護プログラムでアパートを用意してもらってるんですけど」

「はい、お聞きしています。異世界人保護プログラムでは、住む場所の指定はございませんので、こちらに住居を移していただいても問題ございませんよ」

　そうか、私こんな大きなお屋敷で暮らすんだ。

「わかりました。では一度荷物を取りに行ってもいいですか？」

「住所を教えていただけましたら屋敷の者に取りに行かせますよ。ユキ様は今後、公爵家の皆様との交流を最優先としてください」

　優しいが有無を言わせない威圧感に、思わず頷いてしまう。執事長はにこりと笑って「それでは」と先に歩いていってしまう。

「坊ちゃま方にご挨拶に行きましょう」

「あっ、はい。わかりました」

「この公爵家には旦那様と四人の御子息様がおられます。本日は学園もなく、皆様サロンにおりますのでご挨拶に伺いましょうか」

　なんだか今更緊張してきた。貞操の危機だった平民街から抜け出したい一心でやって来たけど、私に教えられることなんてたかが知れてる。

　あぁ、ここにスマホがあればなぁ。色んなこと調べて教えてあげることもできるのに。

　サロンに着くと、そこはもう別世界だった。

　なんだこの優雅な空間は。

　ティータイム中だったのか、各々紅茶を飲みながら新聞や本を読んでいる。ピアノを弾いてる人もいる。

　アイドルもびっくりなイケメンたちが、そこにはいた。

　そして何より驚いたのが、公爵家の子供たちが、全然子供じゃなかったことだ！

　勝手に小学校低学年くらいの男の子たちに家庭教師みたいなことをするつもりでいたけど、目の前の彼らはどう見ても十代後半か、長男にいたっては二十代かも。

　あらぁ、と目を見開いて固まってしまう。

　この世界の教育水準が相当低くないかぎり、私が教えられることなんてなさそうだ。

「失礼いたします。本日から皆様の教育係となりましたユキ・トウマ様です」

　みんなが手を止めてこちらを見る。こんなイケメン集団に注目されたことないから、一気に緊張してしまう。

　執事長に促されて前に出る。声が震えないようにするので精一杯だ。

「本日から教育係として働くことになりました。ユキ・トウマです。精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします」

　とりあえず挨拶してみたけど、頭の中はパニック状態。

　どうしよう。このままじゃ私、クビになっちゃう⁉︎