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——待て。
どうして突然あいつの話が出てくる。
そもそも何で誠が、白月と柏城の接点について尋ねてくるんだ。
誠が発したその一言によって、胸の奥で再び何かが蠢き出したのを、はっきりと感じ取った。
俺は一度息を整えてから誠に訊き返す。
「……それ、どういう意味だ?」
「いや、昼食食べた後、輝彦と一緒に3-5で型抜き大会に参加してたんだけどさ、途中でクラスのシフトがそろそろだったの思い出して、一度輝彦と別れて教室に向かったんだよ。で、その時3-3教室の前通ったんだけどさ、閉まった扉の小窓から、白月さんと例の転校生が2人で話ししてるところ見えたんだよね。急いでたし、何話してるかまでは確認できなかったけど、2人きりで話しするくらいだから仲良いのかなと思ってさ」
「…………そうか」
誠の話を最後まで聞いて、俺は掠れるようにそう呟く。
話から考えるに、俺がちょうどクラスの手伝いをしていたあの時間に、誠はその現場を目撃したのだろう。
俺はさらに深く思考する。
よりにもよって、俺や葉原がいない間に2人が接触していた。これは果たして偶然なのだろうか。
……いや、違う。
あいつは俺たちがいない間を狙って白月に接触したんだ。
そこまで誠の話を聞いて、2回目のプラネタリウムから白月の様子がおかしかった理由がようやく判明した。
間違いなく、俺のいない間に2人の間で何かが起こった。そして、白月はそれを俺や葉原に知られないように隠している。
白月は、俺や葉原に余計な心配はかけまいと、また1人で抱え込もうとしているのだ。
「馬鹿野郎が……」
輝彦と誠に聞かれぬよう、蚊の鳴くような小さな声でそう呟くと、俺は教室を見回して白月を探す。
しかし、どこを見ても白月の姿は見当たらない。
ついさっきまで、同じように教室でゴミ拾いを行なっていたはずなのに、いつの間にか姿を消してしまっている。
俺の中で、一気に不安が膨れ上がった。
***
全て良い結果で終わらせようなんて、都合のいい考えだった。
思い出に残る文化祭にしたい、なんとか成功させたい。
そう心から願いながらも、きっとこういう事態が起こるだろうと、俺は心の隅の方で分かっていた。
けれど、俺はそれを信じたくなくて、理解したくなくて、無意識のうちにその可能性から目を逸らしていたのだ。
そして今、「逃がさない」とでも言うかのようにその現実が突然降ってやってきた。
あいにく、俺が『それ』に気づいたということに、白月はまだ気づいていない様子だ。
白月は、まるで何事もなかったような顔をしながら、新しいゴミ袋を持って教室へと戻ってきた。
氷が溶けて蒸発するように世界から消えてしまったと思っていたから、白月の姿をしっかりと確認出来て、俺はほんの少しだけ安堵した。
***
そうして様々な感情と考えが行き交う中、片付けと明日に向けた準備を終えた俺は、輝彦や誠、他のクラスメイト同様に身支度を整え、昼間の喧騒が染み込む校舎を後にした。
どうして突然あいつの話が出てくる。
そもそも何で誠が、白月と柏城の接点について尋ねてくるんだ。
誠が発したその一言によって、胸の奥で再び何かが蠢き出したのを、はっきりと感じ取った。
俺は一度息を整えてから誠に訊き返す。
「……それ、どういう意味だ?」
「いや、昼食食べた後、輝彦と一緒に3-5で型抜き大会に参加してたんだけどさ、途中でクラスのシフトがそろそろだったの思い出して、一度輝彦と別れて教室に向かったんだよ。で、その時3-3教室の前通ったんだけどさ、閉まった扉の小窓から、白月さんと例の転校生が2人で話ししてるところ見えたんだよね。急いでたし、何話してるかまでは確認できなかったけど、2人きりで話しするくらいだから仲良いのかなと思ってさ」
「…………そうか」
誠の話を最後まで聞いて、俺は掠れるようにそう呟く。
話から考えるに、俺がちょうどクラスの手伝いをしていたあの時間に、誠はその現場を目撃したのだろう。
俺はさらに深く思考する。
よりにもよって、俺や葉原がいない間に2人が接触していた。これは果たして偶然なのだろうか。
……いや、違う。
あいつは俺たちがいない間を狙って白月に接触したんだ。
そこまで誠の話を聞いて、2回目のプラネタリウムから白月の様子がおかしかった理由がようやく判明した。
間違いなく、俺のいない間に2人の間で何かが起こった。そして、白月はそれを俺や葉原に知られないように隠している。
白月は、俺や葉原に余計な心配はかけまいと、また1人で抱え込もうとしているのだ。
「馬鹿野郎が……」
輝彦と誠に聞かれぬよう、蚊の鳴くような小さな声でそう呟くと、俺は教室を見回して白月を探す。
しかし、どこを見ても白月の姿は見当たらない。
ついさっきまで、同じように教室でゴミ拾いを行なっていたはずなのに、いつの間にか姿を消してしまっている。
俺の中で、一気に不安が膨れ上がった。
***
全て良い結果で終わらせようなんて、都合のいい考えだった。
思い出に残る文化祭にしたい、なんとか成功させたい。
そう心から願いながらも、きっとこういう事態が起こるだろうと、俺は心の隅の方で分かっていた。
けれど、俺はそれを信じたくなくて、理解したくなくて、無意識のうちにその可能性から目を逸らしていたのだ。
そして今、「逃がさない」とでも言うかのようにその現実が突然降ってやってきた。
あいにく、俺が『それ』に気づいたということに、白月はまだ気づいていない様子だ。
白月は、まるで何事もなかったような顔をしながら、新しいゴミ袋を持って教室へと戻ってきた。
氷が溶けて蒸発するように世界から消えてしまったと思っていたから、白月の姿をしっかりと確認出来て、俺はほんの少しだけ安堵した。
***
そうして様々な感情と考えが行き交う中、片付けと明日に向けた準備を終えた俺は、輝彦や誠、他のクラスメイト同様に身支度を整え、昼間の喧騒が染み込む校舎を後にした。
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