俺が白月蒼子を嫌う理由

ユウキ ヨルカ

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文化祭1日目の終了を告げるアナウンスが校内に鳴り響くと同時に、各団体の撤収作業が始まった。あれだけ人が横行していた廊下や教室も、一般参加者がいなくなるだけで少し寂しげに見える。

俺はオレンジ色のTシャツを着た文化祭実行委員が、明日の準備のために忙しない様子で廊下を駆けていくのを横目に、自分たちのクラスの片付けを行なっていた。
片付けとは言っても、調理器具を洗ったり、教室のゴミを拾ったりするだけで、机の配置などは特に変えることはしなかった。どうせ明日も沢山の参加者が来るわけだから、変に弄らない方がいいだろうというわけだ。

そんな中、クラスの中心的メンバーが調理器具等を楽しそうに談笑しながら片付けていたため、俺は特に目立ったものがあるわけでもない教室のゴミ拾いを手伝うことにした。

地味だの怠いだのと文句は言わず、勤勉な働き蟻のごとくせっせと教室の掃除を行なっていると、同じく教室の掃除に割り振られた輝彦に声をかけられた。


「なぁ、晴人」

「どうした」

「白月さんと、何か進展あったか?」


なんだよ進展って……。

そんなことを思いつつ言葉を返す。


「ねぇよ。俺が今日、白月と一緒に行動してたことについて言ってるなら、輝彦の勘違いだからな」

「大事な親友との約束を放棄してまで一緒に文化祭周ってたくせに、それはないだろ~」

そう言って輝彦は、疑惑と期待が入り混じったような目を向けながら痛いところを突いてくる。


「悪かったって……。明日は今日の埋め合わせも兼ねて誠と3人で周ろうぜ」

「言ったな。絶対だぞ」

「はいはい絶対絶対」

そう言って念押ししてくる輝彦を適当にあしらうと、少し離れたところで同じように掃除をしていた誠が、俺たちの会話を聞いて近づいてきた。


「何の話?」

「明日の文化祭、今日の埋め合わせも兼ねて晴人が全部奢ってくれるらしい」

「おー、さすが晴人。器が大きいね」

身に覚えのない約束を輝彦が誠に告げるのを聞いて、俺はすぐさま突っ込む。


「おい、勝手に話の内容改ざんすんな」

こいつらに何かを奢ることになったら、一体いくらかかるか分かったもんじゃない。
毎月の少ない小遣いを、お前らの養分になんてしてやるものか。

そんなことを考えていると、わざとらしく肩を落とした誠が、ふと思い出したように話を切り替えた。


「そういえばさ、晴人」

「なんだよ」

「白月さんと例の転校生って、仲良いの?」

「…………は?」
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