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まるで、少しずつ魂が抜けていくかのように指の先が冷たくなっていく。
身体中を巡る血液が、氷か何かになってしまったみたいだ。
肺が上手く機能していないのか、息が激しく乱れ、2つの瞳の焦点はなかなか定まらない。
そんな中で私は震える唇を小さく開き、彼に向かって問いかける。
「どうして、ここに……」
「どうして? わざわざ言わなきゃ分かんねェか?」
彼は嘲笑と侮蔑が入り混じったような目をこちらに向けながら、試すように訊き返す。
私はそんな彼の言葉に沈黙で返し、自分自身に言い聞かせるように脳内に言葉を並べる。
そうだ。
聞かなくても、考えれば分かることだった。
妹の自殺の原因を作った張本人が、幸せそうな顔をしながら文化祭を楽しんでいる。
まるで、過去のことなんかすっかり忘れて、この非日常に溶け込もうとしているかのように。
「ごめん……なさい……」
彼が求めているものとは違うと理解していながらも、中途半端に開いた私の口からはそんな謝罪の言葉が溢れた。
謝って済むくらいなら、もうとっくにこの問題は解決しているはずなのだ。
そうではないから、今もこうして苦しめられている。彼も、私も。
それでも何かを言わなければ、私は罪の意識に殺されてしまう。
それが怖くて、辛くて、耐え難くて、私は逃げるように言葉を吐き出したのだ。
すると、それを聞いた彼は「冗談だ」とでも言うかのようにケラケラと笑いながら口を開いた。
「おいおい、勘違いすんなよ。俺は別にお前に謝って欲しくて来たわけじゃねェんだ」
「…………えっ」
思わず困惑の声が洩れる。
先ほどまで負の感情で真っ黒に染まっていたはずの彼の瞳には、慈愛とも呼べるような優しさが含まれていた。
わからない。
彼が今、何を考えてそんな目を向けているのか。
私には、何一つ理解できない。
彼はそんな私を見て、優しく言い聞かせるように呟く。
「俺はただ、お前に忠告をしに来てやっただけなんだ」
「……忠告」
言葉を覚えたばかりの赤子のように、彼の言葉を復唱する。
「あぁ、忠告だ」
そう言って彼は、コツコツと靴音を教室内に響かせるようにして、中央に設置されたプラネタリウムへと近づく。
私はそんな彼の姿をゆっくりと目で追い、言葉の続きを静かに待つ。
扉の向こうから聴こえる喧騒が、妙な焦りと不安を生み出す。
そうして3秒が経過し、5秒が経過し、10秒が経過したところで、彼は再び口を開いた。
「……お前、もう他人に関わるな」
身体中を巡る血液が、氷か何かになってしまったみたいだ。
肺が上手く機能していないのか、息が激しく乱れ、2つの瞳の焦点はなかなか定まらない。
そんな中で私は震える唇を小さく開き、彼に向かって問いかける。
「どうして、ここに……」
「どうして? わざわざ言わなきゃ分かんねェか?」
彼は嘲笑と侮蔑が入り混じったような目をこちらに向けながら、試すように訊き返す。
私はそんな彼の言葉に沈黙で返し、自分自身に言い聞かせるように脳内に言葉を並べる。
そうだ。
聞かなくても、考えれば分かることだった。
妹の自殺の原因を作った張本人が、幸せそうな顔をしながら文化祭を楽しんでいる。
まるで、過去のことなんかすっかり忘れて、この非日常に溶け込もうとしているかのように。
「ごめん……なさい……」
彼が求めているものとは違うと理解していながらも、中途半端に開いた私の口からはそんな謝罪の言葉が溢れた。
謝って済むくらいなら、もうとっくにこの問題は解決しているはずなのだ。
そうではないから、今もこうして苦しめられている。彼も、私も。
それでも何かを言わなければ、私は罪の意識に殺されてしまう。
それが怖くて、辛くて、耐え難くて、私は逃げるように言葉を吐き出したのだ。
すると、それを聞いた彼は「冗談だ」とでも言うかのようにケラケラと笑いながら口を開いた。
「おいおい、勘違いすんなよ。俺は別にお前に謝って欲しくて来たわけじゃねェんだ」
「…………えっ」
思わず困惑の声が洩れる。
先ほどまで負の感情で真っ黒に染まっていたはずの彼の瞳には、慈愛とも呼べるような優しさが含まれていた。
わからない。
彼が今、何を考えてそんな目を向けているのか。
私には、何一つ理解できない。
彼はそんな私を見て、優しく言い聞かせるように呟く。
「俺はただ、お前に忠告をしに来てやっただけなんだ」
「……忠告」
言葉を覚えたばかりの赤子のように、彼の言葉を復唱する。
「あぁ、忠告だ」
そう言って彼は、コツコツと靴音を教室内に響かせるようにして、中央に設置されたプラネタリウムへと近づく。
私はそんな彼の姿をゆっくりと目で追い、言葉の続きを静かに待つ。
扉の向こうから聴こえる喧騒が、妙な焦りと不安を生み出す。
そうして3秒が経過し、5秒が経過し、10秒が経過したところで、彼は再び口を開いた。
「……お前、もう他人に関わるな」
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