俺が白月蒼子を嫌う理由

ユウキ ヨルカ

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「まぁ、またそのうち、こういう機会も出来るだろ。お前がこの部の部長なんだから、どんどん企画すればいいんじゃねぇの?」

白月は同じように線香花火をもう1本取り出して火を付ける。それから弱々しく、けれども精一杯輝こうとする線香花火の灯りを眺めながら、口元を綻ばせて言った。


「えぇ、そうね。私と葉原さんと皇くんの3人で、いつかまた、星を見に行きましょう。……時期的に次は、冬のふたご座流星群かしらね」

「冬か……。寒いのは苦手だな」

「それじゃあ、皇くんは不参加ということで」

「参加しないとは言ってねぇだろ……」

そう言って、横目でチラリと白月の方を見ていると、花火を全て使い尽くしたらしい葉原が、駆け足で寄って来た。


「あー、なんか私抜きで楽しそうな話してるー。ねぇねぇ蒼子ちゃん、何の話してたの?」

「次の合宿は冬にしましょうって話してたのよ」

「いいねー! 冬っていうと、ふたご座流星群かしぶんぎ座流星群?」

「えぇ。皇くんは、寒いのは苦手だからって不参加らしいけれど」

「そっかぁ……残念。それじゃあ私たち、晴人くんの分まで楽しんでくるね!」

葉原はそう言ってガッツポーズをこちらに向けてくる。


「だから、参加しないとは言ってねぇだろ」

「そう? それじゃあ、やっぱり3人で」

「……あぁ、そうしよう」

そう答えると同時に二つの火球が地面に落ち、再び辺りが暗闇に包まれる。袋には線香花火が1本残るだけとなった。


「これで最後ね」

白月はそう言って最後の1本を手に取ると、ライターで先端に火を付ける。チリチリと火薬の部分が少しずつ焼けていき、しばらくして小さな火球が生まれた。橙色の小さな灯りに3人の顔がぼうっと照らされる。

美しくも儚いその灯りは、まるでこの時間そのもののようにも思えた。


「綺麗だね」「……そうね」「あぁ」

俺たちはそんなことを言い合いながら、線香花火の火球をジッと見つめていた。

そしてその小さな灯りは、まるで合宿の終わりを告げるかのように、あっという間に夜の闇へと溶けて消えていった。
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