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時は少し遡り、この部室に俺たち3人全員が集合し終わった後のこと。部長である白月から改めて合宿についての説明を受けた。
「さて、これから3日間合宿を行っていくわけだけれど、合宿を始める前にもう一度内容を確認しておくわね」
そう言って白月は軽く咳払いをすると、俺と葉原に体を向けて話を続けた。
「この合宿のメインとなるのは、夜に屋上で行う天体観測。中でも、今日から明日にかけて観測することのできるペルセウス座流星群の記録です。そして、サブとなるのがこれから2人に行ってもらうプラネタリウム制作よ」
「プラネタリウム制作って、具体的には何をすればいいんだ?」
「それを今から説明するのよ」
白月はそう言って「黙ってろ」とでも言うかのように、鋭い視線を向けて来る。そして、俺が口を噤んだのを確認してから再び話を始めた。
「プラネタリウムにおいて特に重要なのは2つ。1つは星を映し出すために使用する投影機。そしてもう1つがドームよ」
「……投影機? ……ドーム?」
「まぁ詳しい解説は追々するとして、まずは投影機の作成から進めていくわよ。ドームの方は、たとえ完成したとしてもかなり場所を取ることになるでしょうから後回しね」
そう言って白月は、部屋の隅に置かれた段ボール箱から何かを取り出し、それをテーブルの上に並べた。俺と葉原はテーブルに近寄ってそれが何なのかをよく確認する。すると、テーブルに並べられたそれはどうやら、スーパーや100円ショップなどで販売されているボール紙のように見えた。
一体何に使うのだろうか……。そんな疑問を覚えながら白月に尋ねる。
「……これは?」
「ボール紙よ」
「それは見れば分かる。俺が聞きたいのは、このボール紙と投影機にどんな関係があるのかってことなんだが」
真面目に答えているのか、わざと答えているのかよく分からない白月の返しに、困惑しながら言葉を返すと、隣でそのボール紙を眺めていた葉原が閃いたとでも言うかのように「あっ!」と声を上げた。
「……もしかして、これが投影機の元になるやつ?」
「えぇ。その通りよ」
葉原の答えに対し、満足そうに笑みを浮かべる白月は、テーブルの上に並べられたボール紙を1つ手に取り、それをひらひらとはためかせてみせた。
そもそも投影機がどういうものなのかすらよく分かっていない俺には、そのボール紙がどのように使用されるのか見当もつかない。
そうしてしばらく、テーブルに置かれた残りのボール紙を険しい表情で見つめていると、白月がようやく投影機の作り方について説明を始めた。
「今から、このボール紙にペンで星座を描いていく作業を行うのだけれど、今回は夏の星座をプラネタリウムにしようと思うの」
「おぉー! いいねぇ。夏の星座なら、晴人くんもよく知ってるんじゃない?」
2人の視線がこちらに向く。
「確か、夏の大三角形……白鳥座のデネブ、琴座のベガ、鷲座のアルタイル……だろ?」
俺がそんな葉原の問いかけに対し、合宿前に覚えた知識を自信たっぷりに披露すると、葉原は優しく微笑み、白月はクスクスと鼻で笑いだした。
「それはもう誰もが知ってる一般常識なのだから、ドヤ顔で話されても困るだけよ」
「どこの一般常識だよ……。知らないやつだって他にもたくさんいるだろうが」
そう言って嘲笑を続ける白月を睨み付けると、葉原が苦笑いを浮かべながら仲介に入ってきた。
「でも、今夜観れるんじゃない? 夏の大三角形」
「そうね。昨日は新月だったし、月明かりもなくてここからでも割とはっきり見えると思うわよ」
「なんか、すっごいワクワクするね。誰もいない夜の学校で天体観測なんて……」
葉原は両手を胸のあたりで合わせると、恍惚の表情を浮かべて言う。
「えぇ。でもその前に、これを出来るところまで進めないといけないわね」
そう言って白月は再び、手に持ったボール紙に視線を集める。
「夜の天体観測をしっかりと行うためにも、キリのいいところまでやってしまいましょう。……それじゃあ、投影機の作り方についてだけど——」
「さて、これから3日間合宿を行っていくわけだけれど、合宿を始める前にもう一度内容を確認しておくわね」
そう言って白月は軽く咳払いをすると、俺と葉原に体を向けて話を続けた。
「この合宿のメインとなるのは、夜に屋上で行う天体観測。中でも、今日から明日にかけて観測することのできるペルセウス座流星群の記録です。そして、サブとなるのがこれから2人に行ってもらうプラネタリウム制作よ」
「プラネタリウム制作って、具体的には何をすればいいんだ?」
「それを今から説明するのよ」
白月はそう言って「黙ってろ」とでも言うかのように、鋭い視線を向けて来る。そして、俺が口を噤んだのを確認してから再び話を始めた。
「プラネタリウムにおいて特に重要なのは2つ。1つは星を映し出すために使用する投影機。そしてもう1つがドームよ」
「……投影機? ……ドーム?」
「まぁ詳しい解説は追々するとして、まずは投影機の作成から進めていくわよ。ドームの方は、たとえ完成したとしてもかなり場所を取ることになるでしょうから後回しね」
そう言って白月は、部屋の隅に置かれた段ボール箱から何かを取り出し、それをテーブルの上に並べた。俺と葉原はテーブルに近寄ってそれが何なのかをよく確認する。すると、テーブルに並べられたそれはどうやら、スーパーや100円ショップなどで販売されているボール紙のように見えた。
一体何に使うのだろうか……。そんな疑問を覚えながら白月に尋ねる。
「……これは?」
「ボール紙よ」
「それは見れば分かる。俺が聞きたいのは、このボール紙と投影機にどんな関係があるのかってことなんだが」
真面目に答えているのか、わざと答えているのかよく分からない白月の返しに、困惑しながら言葉を返すと、隣でそのボール紙を眺めていた葉原が閃いたとでも言うかのように「あっ!」と声を上げた。
「……もしかして、これが投影機の元になるやつ?」
「えぇ。その通りよ」
葉原の答えに対し、満足そうに笑みを浮かべる白月は、テーブルの上に並べられたボール紙を1つ手に取り、それをひらひらとはためかせてみせた。
そもそも投影機がどういうものなのかすらよく分かっていない俺には、そのボール紙がどのように使用されるのか見当もつかない。
そうしてしばらく、テーブルに置かれた残りのボール紙を険しい表情で見つめていると、白月がようやく投影機の作り方について説明を始めた。
「今から、このボール紙にペンで星座を描いていく作業を行うのだけれど、今回は夏の星座をプラネタリウムにしようと思うの」
「おぉー! いいねぇ。夏の星座なら、晴人くんもよく知ってるんじゃない?」
2人の視線がこちらに向く。
「確か、夏の大三角形……白鳥座のデネブ、琴座のベガ、鷲座のアルタイル……だろ?」
俺がそんな葉原の問いかけに対し、合宿前に覚えた知識を自信たっぷりに披露すると、葉原は優しく微笑み、白月はクスクスと鼻で笑いだした。
「それはもう誰もが知ってる一般常識なのだから、ドヤ顔で話されても困るだけよ」
「どこの一般常識だよ……。知らないやつだって他にもたくさんいるだろうが」
そう言って嘲笑を続ける白月を睨み付けると、葉原が苦笑いを浮かべながら仲介に入ってきた。
「でも、今夜観れるんじゃない? 夏の大三角形」
「そうね。昨日は新月だったし、月明かりもなくてここからでも割とはっきり見えると思うわよ」
「なんか、すっごいワクワクするね。誰もいない夜の学校で天体観測なんて……」
葉原は両手を胸のあたりで合わせると、恍惚の表情を浮かべて言う。
「えぇ。でもその前に、これを出来るところまで進めないといけないわね」
そう言って白月は再び、手に持ったボール紙に視線を集める。
「夜の天体観測をしっかりと行うためにも、キリのいいところまでやってしまいましょう。……それじゃあ、投影機の作り方についてだけど——」
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