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長いようで短かったゴールデンウィークが終わり、約1週間が経過した。
ここ最近、季節が冬に逆戻りしたかのような寒波が到来したかと思えば、一足早い夏の陽光が顔をチラつかせたりなど、気候がなかなか定まらない日が続いている。
俺たち学生にとっては、天候によって学校に対するモチベーションが大きく変わってくるのだが、学校側にとってそんなことは学業の妨げになるわけでもないため、今日もこうしていつも通りの学校生活が繰り返されている。
しかし、そんないつも通りの学校生活の中にも、ほんの僅かな変化はあった。
あの日、天文部の部室で白月と2人で話をした日の翌日から、白月は再び俺に付き纏うようになった。
そして重要なのは、変化が表れたのが白月ではなく、俺の方だということ。
こいつに出会って6年目にして、ようやくこいつが俺に付き纏う理由が判明したというのに、俺はいつも口にしていた「付き纏うな」の一言が言えなくなってしまった。
その原因はきっと、白月が俺に固執する理由にあるんだろう。
『あなたと一緒にいる時だけは、天才としての「白月蒼子」を忘れることが出来た。だからあの日から6年間、出来る限りでいいから皇くんの近くにいようと、そう思うようになったの』
ゴールデンウィークの最終日。
俺は『天才 白月蒼子』が抱える、凡人には到底理解することもできないような天才の苦悩を思い知った。
世間からだけではなく、実の両親からも大きすぎる期待を背負わされることになったという白月の話を聞いて、俺は一体何を思ったのか。
その答えは、この現状にはっきりと表れている。
自分の中に芽生えたこの感情を理解するたびに、一体いつから自分はこんなに弱い人間になってしまったのかと、つくづく嫌になる。
少なくても、今よりずっと幼かった6年前の俺であれば、白月がどんな苦悩を抱えていたと知っても「ざまぁみろ」としか思わなかっただろう。
けれど、時が経つにつれて他人の言葉や感情に感化されやすくなってしまった今の俺には、心の底から白月を避けるような言葉は言えなくなってしまった。
もちろん、今でも『天才』は嫌いだし、白月のことだって大嫌いだ。それに変わりはない。
けれど、白月が唯一安らげる場所を奪うようなことは、「嫌いだから」という理由でやっていいことではないように思える。
そういう考えに至るようになったのも、俺が人間としてまた一つ成長したからなのかもしれない。
その成長の中で、他人の感情が自分の中に入ってくるというのは心地のいいことがある反面、非常に気分を害することもあるということを、俺は16歳にしてようやく知ったのだった。
ここ最近、季節が冬に逆戻りしたかのような寒波が到来したかと思えば、一足早い夏の陽光が顔をチラつかせたりなど、気候がなかなか定まらない日が続いている。
俺たち学生にとっては、天候によって学校に対するモチベーションが大きく変わってくるのだが、学校側にとってそんなことは学業の妨げになるわけでもないため、今日もこうしていつも通りの学校生活が繰り返されている。
しかし、そんないつも通りの学校生活の中にも、ほんの僅かな変化はあった。
あの日、天文部の部室で白月と2人で話をした日の翌日から、白月は再び俺に付き纏うようになった。
そして重要なのは、変化が表れたのが白月ではなく、俺の方だということ。
こいつに出会って6年目にして、ようやくこいつが俺に付き纏う理由が判明したというのに、俺はいつも口にしていた「付き纏うな」の一言が言えなくなってしまった。
その原因はきっと、白月が俺に固執する理由にあるんだろう。
『あなたと一緒にいる時だけは、天才としての「白月蒼子」を忘れることが出来た。だからあの日から6年間、出来る限りでいいから皇くんの近くにいようと、そう思うようになったの』
ゴールデンウィークの最終日。
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世間からだけではなく、実の両親からも大きすぎる期待を背負わされることになったという白月の話を聞いて、俺は一体何を思ったのか。
その答えは、この現状にはっきりと表れている。
自分の中に芽生えたこの感情を理解するたびに、一体いつから自分はこんなに弱い人間になってしまったのかと、つくづく嫌になる。
少なくても、今よりずっと幼かった6年前の俺であれば、白月がどんな苦悩を抱えていたと知っても「ざまぁみろ」としか思わなかっただろう。
けれど、時が経つにつれて他人の言葉や感情に感化されやすくなってしまった今の俺には、心の底から白月を避けるような言葉は言えなくなってしまった。
もちろん、今でも『天才』は嫌いだし、白月のことだって大嫌いだ。それに変わりはない。
けれど、白月が唯一安らげる場所を奪うようなことは、「嫌いだから」という理由でやっていいことではないように思える。
そういう考えに至るようになったのも、俺が人間としてまた一つ成長したからなのかもしれない。
その成長の中で、他人の感情が自分の中に入ってくるというのは心地のいいことがある反面、非常に気分を害することもあるということを、俺は16歳にしてようやく知ったのだった。
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