俺が白月蒼子を嫌う理由

ユウキ ヨルカ

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放課後を迎えた教室では、部活の準備をする者や雨が弱まるまで教室に残って友人と戯れる者、雨が降り頻る中さっさと帰宅しようと試みる者など、その行動は様々だった。

そんな中俺は、俺の席までやってきた輝彦と誠と、いつも通りすぐ帰宅するか、少し雨が弱まるのを待つかを相談し合っていた。

「まぁ、帰ろうと思えば帰れるよね」

「だな。傘もあるし、少し濡れるくらい問題ないだろ」

誠の提案に輝彦が賛同するように答える。

俺自身も早く帰れるに越したことは無かったため、輝彦と同じように誠の提案に答える。

「ひょっとすると弱まるどころか、これから益々強くなる可能性もあるかもしれないしな。帰れるんならさっさと帰ろうぜ」

全員の意見が揃ったところで、俺は机の横に掛けられている鞄を手にとって席を立ち上がる。


あいつに声をかけられたのはその時だった——。


「ねぇ」

今日、初めて耳にする白月の声。

昨日の出来事なんてもう忘れてしまったとでも言いそうな、いつもの白月の表情。


「ねぇ、皇くん」

「……なんだよ」

「雨が止むまでの間、ちょっと2人で話さない?」


いつもの俺ならきっと、白月の誘いなど秒速で断っていたことだろう。

けれど、今日だけは例外だ。
俺の方からも色々と白月に尋ねておきたいことがある。

「……輝彦、誠。悪いけど、先帰っててくれ」

俺は教室後方のドア付近で不思議そうにこちらを見つめる2人に向かって声をかける。

「お、おう……分かった。んじゃ、また明日な」

「じゃーね、晴人」

そう言って教室を後にする2人に「おう」と短く返事を返すと、俺は正面に立つ白月に目を向けた。

「で、話って何?」

白月の話の内容はだいたい予想がつく。
けれど、俺は敢えて分からないフリをして尋ねてみた。

そんな俺の問いに対し、白月は教室内を見回して様子を窺うと、

「少し場所を変えるわ。ついて来て」

そう言って後ろを振り向き、そのまま教室を出ていった。
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