俺が白月蒼子を嫌う理由

ユウキ ヨルカ

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プロローグ

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俺は『天才』を嫌悪する。


いかなる国、いかなる時代で『天才』と称された偉人たちは皆、必ず後世に残るような結果を出している。


相対性理論を提示したことで有名な物理学者
アルベルト・アインシュタイン

絵画から解剖学まであらゆる分野で名を馳せた万能人
レオナルド・ダ・ヴィンチ

神に愛された天才作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


彼らが死した現在でも、彼らと同じような類稀なる才能を持つ奴らは実在する。


そんな『天才』と呼ばれる奴らは、周りから成功した理由を尋ねられた時、決まってこう答えるのだ。



「努力の結果です」と。



ふざけるのも大概にしろ。

お前らが立っているその領域は、決して努力なんかじゃ辿り着けない場所だ。


彼らが『そこ』に立っていられるのは、彼らに紛れもない『才能』があったからだ。


それなのに奴らは当たり前のように、「努力だ努力だ」と口を開く。

『天才の努力』と『凡人の努力』では、あまりにも大きすぎる差があるということを奴らは知らないのだ。


そんな天才おまえら凡人おれたちの気持ちが理解できるか?

毎日毎日、血反吐を吐くような努力をしても手が届かない。

あらゆるものを犠牲にしても、足を踏み入れることすら叶わない、その領域に立つお前たちに。




俺は『天才』を嫌悪する。

神に愛され、類稀なる才能に恵まれ、そして常に勝者であり続けられる天才を——
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