俺が白月蒼子を嫌う理由

俺は『天才』を嫌悪する。


11歳の時、自分が「凡人である」と明確に理解した。
きっかけとなったのは、クラスに転校してきた白月蒼子という一人の少女。
彼女が持つ類まれなる才能を目の当たりにした俺は、生まれて初めて『天才』を実感した。
それと同時に、自分は決して『天才』にはなれない。一生凡人のままであるということを理解してしまった。

そんな『天才』を目の当たりにした俺にあったのは、感嘆でも驚愕でも羨望でもなく、

——『嫌悪』だった。


そして、彼女はそんな『天才』に対して強い嫌悪感を抱くようになった俺に、わけもなく付き纏うようになった。


あれから6年。

高校2年生になった俺は未だに彼女に付き纏われていた。

「ねぇ——」

「うるせぇ。話かけんじゃねぇ。天才が感染る」



これは『天才』を嫌悪する凡人と、『凡人』に憧れる天才の物語。
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