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第23話「テスト勉強と蛍について(5)」
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家から30分ほど歩き、俺はようやく榊原との待ち合わせ場所に指定した、ほたる駅に到着した。
左腕につけた腕時計を確認すると、時計の針は18時45分を指し示している。
「少し早かったか……」
俺はとりあえず駅の中の休憩所で榊原を待つことにした。
駅の北口から中に入り、階段を使って2階の休憩所へ向かう。
ほたる市では1時間に1本しか電車が走らない。
毎時間、時計の長針が6を指す頃、つまり30分になると電車が発車する。
今は45分を少し過ぎたところなので駅の中には人がおらず、閑散としていた。
駅内を見回しながら休憩所へ向かって歩いていると、休憩所の中に腰の辺りまである長い黒髪の見慣れた後ろ姿を発見した。
俺は休憩所のドアを開いて中に入ると、その後ろ姿に向かって声をかけた。
「早いな、榊原。もう来てたのか」
榊原は俺の声に反応すると、こちらを振り向いた。
「あら羽島君、こんばんは。今朝からずっとワクワクしていて、早めに家を出てきたの」
そう言った榊原は、黒地に白の花がいくつも描かれているワンピース姿で照れるように笑みを浮かべて言った。
榊原はなんとなくいつも白い服を着ているイメージがあったため、黒い服を着ている榊原はなんだか珍しく、いつも以上に大人びているように見える。
そんな榊原を見て、俺は少し心臓の鼓動が早くなった気がした。
「榊原。ちなみに聞くが、何時頃ここに着いたんだ?」
俺はなんとなく疑問に思ったことを尋ねてみた。
すると、榊原はほんのりと頬を赤らめ、視線を下に向けるとなんとか聞き取れる声量で言った。
「……じゅ、18時」
「えっ!18時!?」
18時ってことは俺がまだ家で服を着替えている時間じゃないか!
そんなに早くからここで待っていてくれたのか……。
集合時間の1時間も前に来るなんて、蛍を見るのがよほど楽しみだったのだろう。
「それなら、連絡してくれればよかったのに……。そうしたら俺ももっと早く家を出たんだが……、なんか待たせてしまって申し訳ない」
集合時間に間に合ったと言っても、榊原を待たせてしまった事実に変わりはない。
俺は素直に頭を下げて謝った。
「は、羽島君、謝らないで!私が勝手に早く来てしまっただけだから……」
榊原は耳まで真っ赤に染め、消え入りそうな声でそう言った。
俺はそんな榊原を見て、とても可愛らしいと思ってしまった。
前にほたる市を案内した時も、事あるごとに目をキラキラと輝かせ、まるで幼い少女のようにはしゃいでいた。
見た目が普通の高校生よりも大人びていてクールに見えても、心はいつまでも少女のままだと知って自然と笑みが零れる。
「わかったよ。……それじゃあ早速、蛍鑑賞に行くとするか」
そういうと、榊原は恥ずかしそうに下を向いていた顔を上げ、ぱぁっと花が咲いたような満開の笑顔を見せた。
***
駅を出た俺たちは、蛍鑑賞の有名なスポットとして知られる『夜煌川』へ向かった。
駅から夜煌川までは徒歩でおよそ15分。
現在の時刻は19時を少し回ったところ。
俺はこの日のために蛍について少しだけ調べておいた。
いつ、どの時間帯に、どんな条件で蛍が飛び交うのか。
調べた結果わかったのは、19時~21時の間が蛍が最も活発に活動する時間帯であり、月明かりの無い曇った天気で湿度が高く、風が無い。
この条件が揃って初めて、蛍が夏の夜空を飛び回る。
その点、俺たちは運がいい。
今日は空に雲がかかっていて月は出ていないし、風も吹いていない。
そして梅雨特有のこの湿度の高さ。
これはまさに絶好の機会だ。
もしかしたら、天候の神が榊原に惚れたのかもしれない。
何はともあれ、蛍鑑賞を楽しみにしている榊原をがっかりさせずに済みそうで安心した。
そんなことを思って歩いていると、目的の夜煌川が見えてきた。
夜煌川の真上には『夜煌橋』と言う大きな橋が架かっている。
俺たちは夜煌橋の横の堤防から川に向かって下りることにした。
堤防の上から川の方を見ると、俺たちと同じく蛍鑑賞に来たと思われる人がちまちまと見られた。
「あの人たちも蛍を見に来ているのかしらね」
隣を歩く榊原が彼らの方を見て言う。
「そうだろうな。俺たちも下まで降りてみるか」
「えぇ、そうね」
俺たちは足元に気をつけながら、堤防の斜面を下った。
榊原の靴は俺が履いているようなスニーカーではなくヒールサンダルだったため、俺は榊原が転ばないように下まで榊原の手を引いた。
触れた榊原の手はひんやりとしていて、とても気持ちがいい。
白くて細い指がとても綺麗で、そして小さい。
紫陽花祭りの時も一度榊原の手に触れたことがあるが、その時とは体温や感触が少し違った。
あの時は、手に榊原の熱がこもっていた。
榊原の体温が手を通して俺に伝わってきたのを覚えている。
それと比べて今は逆だ。
榊原のひんやりとした手に、俺の体の熱が吸い取られている。
むしむしとした暑さで体に溜まった熱がすうっと引いていくような、そんな気がした。
そうして無事に堤防の下に降りると、目の前にはまるで、大きな生き物のように穏やかにゆっくりと流れる夜煌川の姿が見えた。
「綺麗な川ね。そしてとても穏やか……」
間近で夜煌川を見た榊原は、ほぅっと一息ついて呟く。
俺たちの周りにはプロが使うようなカメラと三脚を持った人達が、蛍が飛び始める瞬間を今か今かと待ち構えている。
時刻は19時30分を回った。
そろそろ蛍たちが活動を始める時間だ。
腕時計で時刻を確認していると、俺たちの隣にいた若い男性が声をかけてきた。
「ひょっとして、君たちも蛍を見に来たのかい?」
「あ、はい。隣の彼女にこの街の蛍を見てもらいたくて……」
声をかけてきた男性は首から一眼レフのカメラをかけている。
カメラは所々色褪せたり、傷がついたりしていて、それがここ最近に買ったものでないことは一目見て分かった。
おそらく毎年のようにここに来て、蛍を撮影しているのだろう。
「と、いうことは……最近この街に越してきたのかな?」
「えぇ。彼に『夜煌川から見る蛍はとても綺麗だ』と教えてもらったので、ぜひ一度この目で見てみたいと思って」
榊原の言葉を男性はうんうんと頷きながら聞いていた。
「そうだね。僕は毎年ここに来て、夜の街を飛び交う蛍を撮影しているけど、やっぱり何度見ても絶景だよ。世界にはこんなに美しいものが存在するのか……っていつも思う」
男性はカメラに目を落としながら、心奪われた表情でそう話してくれた。
すると、先ほどまで静寂で包まれていた夜煌川にどよめきが起こった。
「あっ!ほら。見てみなよ!」
男性は嬉々とした表情で川の方を指差す。
俺と榊原はゆっくりとその指差された方角を向く。
すると、そこには——
「……わぁ……!……なんて綺麗なの……!!」
俺たちの向いた先には、無数の蛍が蒼く発光しながら夜空に舞い上がる姿があった——。
その蒼く輝く淡い光は、轟々と燃えさかる炎とも、刹那のうちに閃く雷とも、静かに夜の街を照らす月とも違っていた。
見る者の心を奪うその美しく幻想的でどこか妖《あや》しげな光は、まるで尾を引くかのように空中を漂っている。
それを見た榊原は感嘆の声を溢した。
しかし、それを見て声が出たのは榊原だけではなかった。
「……すごいな……これは……」
同じように俺の口からも、あまりに美しい光景に思わず言葉が溢れた。
人工的には作り出せない『命の光』——。
蛍が生み出すこの光には温度がない。
だから、触っても暖かさは感じられない。
それでも、俺は確かに感じ取った。
彼らの命の輝きをこの胸に強く、そして熱く……
蛍は成虫になると1~2週間で寿命を迎えてしまう。
俺たち人間からしてみれば、これはとても短い命だ。
彼らはその限られた時間の中で精一杯輝き、次の代、そしてさらに次の代へと自分が生きた証を『子孫を作る』という形で残していく。
この淡く輝く光は、そうやって新しい命へと受け継がれ、繋がっている。
蛍に心を奪われていた俺は、ふと榊原の方に目をやった。
榊原は両手で口元を隠し、その黒く大きな瞳にその光景を焼き付けていた。
この美しくも儚げな光を忘れないように——。
「私、蛍の光がこんなにも綺麗だなんて知らなかったわ。……羽島君、私にこの美しさを教えてくれて本当にありがとう。羽島君に誘われなかったら、きっとこの光景を目にすることはできなかったわ……」
榊原は蛍たちから俺に視線を移し、ゆっくりと、そしてしっかりと感情のこもった声で言った。
「俺も、榊原をここに連れてこれて良かった。……一緒に、この光景を見ることができて、本当に良かったと思ってる……」
おそらく、この景色を1人で見てもここまで強く何かを感じることはなかっただろう。
隣に榊原がいたからこそ、こうしてこの光景を目にして感動することができている。
榊原とこの光景を、この光を、そして……この気持ちを共有している。
その事実が何よりも嬉しく思えた。
それから俺たちは時間が許すまで、ずっとその光を眺めていた。
幻想的な淡くて優しい蒼い光——。
蛍たちは命を繋ぐため、その命ある限り輝き続ける。
俺は空に高く舞い上がるその光をずっと見ていたいと、心の底からそう思った——。
左腕につけた腕時計を確認すると、時計の針は18時45分を指し示している。
「少し早かったか……」
俺はとりあえず駅の中の休憩所で榊原を待つことにした。
駅の北口から中に入り、階段を使って2階の休憩所へ向かう。
ほたる市では1時間に1本しか電車が走らない。
毎時間、時計の長針が6を指す頃、つまり30分になると電車が発車する。
今は45分を少し過ぎたところなので駅の中には人がおらず、閑散としていた。
駅内を見回しながら休憩所へ向かって歩いていると、休憩所の中に腰の辺りまである長い黒髪の見慣れた後ろ姿を発見した。
俺は休憩所のドアを開いて中に入ると、その後ろ姿に向かって声をかけた。
「早いな、榊原。もう来てたのか」
榊原は俺の声に反応すると、こちらを振り向いた。
「あら羽島君、こんばんは。今朝からずっとワクワクしていて、早めに家を出てきたの」
そう言った榊原は、黒地に白の花がいくつも描かれているワンピース姿で照れるように笑みを浮かべて言った。
榊原はなんとなくいつも白い服を着ているイメージがあったため、黒い服を着ている榊原はなんだか珍しく、いつも以上に大人びているように見える。
そんな榊原を見て、俺は少し心臓の鼓動が早くなった気がした。
「榊原。ちなみに聞くが、何時頃ここに着いたんだ?」
俺はなんとなく疑問に思ったことを尋ねてみた。
すると、榊原はほんのりと頬を赤らめ、視線を下に向けるとなんとか聞き取れる声量で言った。
「……じゅ、18時」
「えっ!18時!?」
18時ってことは俺がまだ家で服を着替えている時間じゃないか!
そんなに早くからここで待っていてくれたのか……。
集合時間の1時間も前に来るなんて、蛍を見るのがよほど楽しみだったのだろう。
「それなら、連絡してくれればよかったのに……。そうしたら俺ももっと早く家を出たんだが……、なんか待たせてしまって申し訳ない」
集合時間に間に合ったと言っても、榊原を待たせてしまった事実に変わりはない。
俺は素直に頭を下げて謝った。
「は、羽島君、謝らないで!私が勝手に早く来てしまっただけだから……」
榊原は耳まで真っ赤に染め、消え入りそうな声でそう言った。
俺はそんな榊原を見て、とても可愛らしいと思ってしまった。
前にほたる市を案内した時も、事あるごとに目をキラキラと輝かせ、まるで幼い少女のようにはしゃいでいた。
見た目が普通の高校生よりも大人びていてクールに見えても、心はいつまでも少女のままだと知って自然と笑みが零れる。
「わかったよ。……それじゃあ早速、蛍鑑賞に行くとするか」
そういうと、榊原は恥ずかしそうに下を向いていた顔を上げ、ぱぁっと花が咲いたような満開の笑顔を見せた。
***
駅を出た俺たちは、蛍鑑賞の有名なスポットとして知られる『夜煌川』へ向かった。
駅から夜煌川までは徒歩でおよそ15分。
現在の時刻は19時を少し回ったところ。
俺はこの日のために蛍について少しだけ調べておいた。
いつ、どの時間帯に、どんな条件で蛍が飛び交うのか。
調べた結果わかったのは、19時~21時の間が蛍が最も活発に活動する時間帯であり、月明かりの無い曇った天気で湿度が高く、風が無い。
この条件が揃って初めて、蛍が夏の夜空を飛び回る。
その点、俺たちは運がいい。
今日は空に雲がかかっていて月は出ていないし、風も吹いていない。
そして梅雨特有のこの湿度の高さ。
これはまさに絶好の機会だ。
もしかしたら、天候の神が榊原に惚れたのかもしれない。
何はともあれ、蛍鑑賞を楽しみにしている榊原をがっかりさせずに済みそうで安心した。
そんなことを思って歩いていると、目的の夜煌川が見えてきた。
夜煌川の真上には『夜煌橋』と言う大きな橋が架かっている。
俺たちは夜煌橋の横の堤防から川に向かって下りることにした。
堤防の上から川の方を見ると、俺たちと同じく蛍鑑賞に来たと思われる人がちまちまと見られた。
「あの人たちも蛍を見に来ているのかしらね」
隣を歩く榊原が彼らの方を見て言う。
「そうだろうな。俺たちも下まで降りてみるか」
「えぇ、そうね」
俺たちは足元に気をつけながら、堤防の斜面を下った。
榊原の靴は俺が履いているようなスニーカーではなくヒールサンダルだったため、俺は榊原が転ばないように下まで榊原の手を引いた。
触れた榊原の手はひんやりとしていて、とても気持ちがいい。
白くて細い指がとても綺麗で、そして小さい。
紫陽花祭りの時も一度榊原の手に触れたことがあるが、その時とは体温や感触が少し違った。
あの時は、手に榊原の熱がこもっていた。
榊原の体温が手を通して俺に伝わってきたのを覚えている。
それと比べて今は逆だ。
榊原のひんやりとした手に、俺の体の熱が吸い取られている。
むしむしとした暑さで体に溜まった熱がすうっと引いていくような、そんな気がした。
そうして無事に堤防の下に降りると、目の前にはまるで、大きな生き物のように穏やかにゆっくりと流れる夜煌川の姿が見えた。
「綺麗な川ね。そしてとても穏やか……」
間近で夜煌川を見た榊原は、ほぅっと一息ついて呟く。
俺たちの周りにはプロが使うようなカメラと三脚を持った人達が、蛍が飛び始める瞬間を今か今かと待ち構えている。
時刻は19時30分を回った。
そろそろ蛍たちが活動を始める時間だ。
腕時計で時刻を確認していると、俺たちの隣にいた若い男性が声をかけてきた。
「ひょっとして、君たちも蛍を見に来たのかい?」
「あ、はい。隣の彼女にこの街の蛍を見てもらいたくて……」
声をかけてきた男性は首から一眼レフのカメラをかけている。
カメラは所々色褪せたり、傷がついたりしていて、それがここ最近に買ったものでないことは一目見て分かった。
おそらく毎年のようにここに来て、蛍を撮影しているのだろう。
「と、いうことは……最近この街に越してきたのかな?」
「えぇ。彼に『夜煌川から見る蛍はとても綺麗だ』と教えてもらったので、ぜひ一度この目で見てみたいと思って」
榊原の言葉を男性はうんうんと頷きながら聞いていた。
「そうだね。僕は毎年ここに来て、夜の街を飛び交う蛍を撮影しているけど、やっぱり何度見ても絶景だよ。世界にはこんなに美しいものが存在するのか……っていつも思う」
男性はカメラに目を落としながら、心奪われた表情でそう話してくれた。
すると、先ほどまで静寂で包まれていた夜煌川にどよめきが起こった。
「あっ!ほら。見てみなよ!」
男性は嬉々とした表情で川の方を指差す。
俺と榊原はゆっくりとその指差された方角を向く。
すると、そこには——
「……わぁ……!……なんて綺麗なの……!!」
俺たちの向いた先には、無数の蛍が蒼く発光しながら夜空に舞い上がる姿があった——。
その蒼く輝く淡い光は、轟々と燃えさかる炎とも、刹那のうちに閃く雷とも、静かに夜の街を照らす月とも違っていた。
見る者の心を奪うその美しく幻想的でどこか妖《あや》しげな光は、まるで尾を引くかのように空中を漂っている。
それを見た榊原は感嘆の声を溢した。
しかし、それを見て声が出たのは榊原だけではなかった。
「……すごいな……これは……」
同じように俺の口からも、あまりに美しい光景に思わず言葉が溢れた。
人工的には作り出せない『命の光』——。
蛍が生み出すこの光には温度がない。
だから、触っても暖かさは感じられない。
それでも、俺は確かに感じ取った。
彼らの命の輝きをこの胸に強く、そして熱く……
蛍は成虫になると1~2週間で寿命を迎えてしまう。
俺たち人間からしてみれば、これはとても短い命だ。
彼らはその限られた時間の中で精一杯輝き、次の代、そしてさらに次の代へと自分が生きた証を『子孫を作る』という形で残していく。
この淡く輝く光は、そうやって新しい命へと受け継がれ、繋がっている。
蛍に心を奪われていた俺は、ふと榊原の方に目をやった。
榊原は両手で口元を隠し、その黒く大きな瞳にその光景を焼き付けていた。
この美しくも儚げな光を忘れないように——。
「私、蛍の光がこんなにも綺麗だなんて知らなかったわ。……羽島君、私にこの美しさを教えてくれて本当にありがとう。羽島君に誘われなかったら、きっとこの光景を目にすることはできなかったわ……」
榊原は蛍たちから俺に視線を移し、ゆっくりと、そしてしっかりと感情のこもった声で言った。
「俺も、榊原をここに連れてこれて良かった。……一緒に、この光景を見ることができて、本当に良かったと思ってる……」
おそらく、この景色を1人で見てもここまで強く何かを感じることはなかっただろう。
隣に榊原がいたからこそ、こうしてこの光景を目にして感動することができている。
榊原とこの光景を、この光を、そして……この気持ちを共有している。
その事実が何よりも嬉しく思えた。
それから俺たちは時間が許すまで、ずっとその光を眺めていた。
幻想的な淡くて優しい蒼い光——。
蛍たちは命を繋ぐため、その命ある限り輝き続ける。
俺は空に高く舞い上がるその光をずっと見ていたいと、心の底からそう思った——。
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