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嫌な予感
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「うーん……」
朝、いつもならすぐ起きるがなんか嫌な気がしておきたくない。
こういう嫌な気は大体当たるものだ。
しかも天気は曇り。
今にも雨が降ってきそうだ。
「でもサボるわけにいかないし、シロとペイルを起こしていくか」
いつも通りシロとペイルはまだ爆睡中。
そろそろ自分で起きてほしいな。
「ん~」
「おっ、自分で起きれたね」
「お姉ちゃんだから~……」
寝ぼけているようだが、体を起こした。
今回からペイルが学校に来た。
お姉ちゃんらしいことをしたいのだろう。
「じゃあペイルも起こしてくれる?」
「わかったー」
まだ寝ぼけているがしっかり起こしにいってくれた。
これが毎日続けばいいなあ。
「二人とも起きたー?」
「「は~い」」
「うん、まだ寝ぼけているみたいだから顔洗っておいで」
二人は顔を洗いに行った。
俺は残って今日の準備。
と言っても今日はグライド先生が見るって言ってたな。
準備もしておくようにとも言っていたけど。
何を準備すればいいんだろうか。
シロとペイルが戻ってきたとき、二人とももう元気になっていた。
顔を洗うとすぐ目覚めてこの元気。
元気ありすぎだろ。
「それじゃあいくぞー」
「何も持たないのー?」
「何を持っていくのか分からないからね」
しょうがないじゃん。
そもそもいつも何も持っていっていない。
持っていくときは大体あらかじめこれを持ってきてと言われる。
「じゃあ行こうか」
教室へ。
ついても誰もいない。
リーシュちゃんはいると思ったんだけど。
「やっぱり、なんか嫌な予感がする」
「嫌な予感?」
「シロとペイルはここにいて!」
俺は教室を出た。
さっきから頭の中でチラつくことがある。
昨日の魔法陣が思い浮かんでくる。
どこかで見たことがあるような気がしたのは昨日寝る前。
何かの本で結構前だから思い出せない。
「ここだ」
着いた先は昨日リーシュちゃんと食事をしたところ。
やはり予感が当たったみたいだ。
魔法陣が赤く光っている。
「何の魔法陣だ?特徴的だったからなのか、有名だったのか本に載っていたんだ」
何の魔法、何の守りの魔法か。
いや、そもそもそれが違うかもしれない。
なら何のための魔法?
「思い出した……。これは敵を閉じ込めるための火の魔法だ」
この魔法陣を軸とし、周囲に炎の壁をつくる。
相手を逃がさないための魔法によく使われる魔法だ。
でもなぜこんなところに?
誰を討ち取るとでもいうんだ?
もしくは俺たちを皆殺しに?
「なんでこう、マイナスのほうへといくんだか」
一回でも嫌な予感がすると、考えるのも全部マイナスのほうへと行く。
とりあえずこの魔法の対策を考えなければ。
この魔法陣の上に俺がつくった魔法陣を描いた。
簡単に言えば上書き。赤く光っているため、もう消せないからだ。
発動条件は下に描いてある魔法が発動したとき。
この魔法陣が発動させた炎を消すために水をつくる魔法だ。
「これで大丈夫だろう」
「見事だな。子供がそんなことをできるはずがないんだが」
「誰だ!?」
油断をしていた。
あんなにも修行をしていたのに魔法陣のほうばっかり考えていた。
「グライドだ。いや、もうこの名前はいい」
「どういうこと?」
「いやー、念のために冒険者になってよかったぜ。こうも簡単に入れるとはな」
「だからどういうこと?」
「俺の本当の名はアメグラ。この姿を見れば子供でも分かるだろ?」
「!?」
姿は変わり、悪魔となった。
ただ、俺が見た悪魔とは全然違う。
「本当に悪魔、なのか?」
「合ってるぜ。ただ強すぎて変化が起きただけだ」
ツノと翼が生えただけ。
ただそれを除けば人のままだ。
「早く終わらせたいんだ。すまないが眠っててもらう」
「何が狙いなのか分からないが、そうはさせないぞ!」
「子供は元気だな。だがその元気もここまでだ。炎の縄」
不意打ちか!
残念だが声をかけられてから警戒をしている。
これぐらいなら避けれる。
「ほう、いい反応だな」
「そりゃどうも」
「人間にしておくのがもったいないぐらいだ。勇者なんてどうだ?」
「それは無理でしょ。生まれながらの宿命だし」
「よく知っているじゃないか」
あわよくばなりたいと思ったけど、それは叶わなかった。
勇者は生まれてすぐ勇者だと分かる。
まるで呪いのように。
「いいのか、攻撃をしなくても」
「用心深いもんでね」
「そうか、ならこっちから行かせてもらうぞ」
「えっ!?」
速い、速過ぎる。
この速度はクーリアさんと肩を並べるほどじゃないのか?
全然見えない。
「ここか!」
「外れだ、残念だったな」
「ガハッ!!」
くそっ、いてえぇ……。
何回も何回も吹っ飛ばされたけど優しくされていたのが分かる。
今は普通に吹っ飛ばされたんだ。
「ここまでか?今後の成長が楽しみだったが、仕方ないことだ」
「はあ…はあ……」
「ふっ、最期まであきらめない目だな」
「当たり前だ!!」
俺は氷の矢を飛ばすと同時に動いた。
氷の矢を受け止めるときの一瞬で俺は後ろまで移動した。
こんなに速く動けたのは修行のおかげかもな。
「くらえ!麻痺!」
よし!当たった!
力も結構入れたし、効いただろう。
「いってぇ……。それじゃあ麻痺じゃなくてただの電撃だ」
「嘘だろ!?」
無傷だと!?
前のクロを想定として力を入れた。
それでも全然効かないってことはクロとは格が違う。
「これぐらいなら大体の悪魔は動けなくなるな」
「自分は違うってことか」
「ああ。俺たち六大悪魔はこんなのデコピンされたようなものだ」
さっき痛いとか言っていたけどうそかよ。
やばいな、ここまで来ると本気で行かないと俺が死んでしまう。
前みたいに油断をしなければ大丈夫なはず。
「ここからだ!ス――」
俺が魔法を使おうと思ったその瞬間。
炎が学校を包み込んだ。
朝、いつもならすぐ起きるがなんか嫌な気がしておきたくない。
こういう嫌な気は大体当たるものだ。
しかも天気は曇り。
今にも雨が降ってきそうだ。
「でもサボるわけにいかないし、シロとペイルを起こしていくか」
いつも通りシロとペイルはまだ爆睡中。
そろそろ自分で起きてほしいな。
「ん~」
「おっ、自分で起きれたね」
「お姉ちゃんだから~……」
寝ぼけているようだが、体を起こした。
今回からペイルが学校に来た。
お姉ちゃんらしいことをしたいのだろう。
「じゃあペイルも起こしてくれる?」
「わかったー」
まだ寝ぼけているがしっかり起こしにいってくれた。
これが毎日続けばいいなあ。
「二人とも起きたー?」
「「は~い」」
「うん、まだ寝ぼけているみたいだから顔洗っておいで」
二人は顔を洗いに行った。
俺は残って今日の準備。
と言っても今日はグライド先生が見るって言ってたな。
準備もしておくようにとも言っていたけど。
何を準備すればいいんだろうか。
シロとペイルが戻ってきたとき、二人とももう元気になっていた。
顔を洗うとすぐ目覚めてこの元気。
元気ありすぎだろ。
「それじゃあいくぞー」
「何も持たないのー?」
「何を持っていくのか分からないからね」
しょうがないじゃん。
そもそもいつも何も持っていっていない。
持っていくときは大体あらかじめこれを持ってきてと言われる。
「じゃあ行こうか」
教室へ。
ついても誰もいない。
リーシュちゃんはいると思ったんだけど。
「やっぱり、なんか嫌な予感がする」
「嫌な予感?」
「シロとペイルはここにいて!」
俺は教室を出た。
さっきから頭の中でチラつくことがある。
昨日の魔法陣が思い浮かんでくる。
どこかで見たことがあるような気がしたのは昨日寝る前。
何かの本で結構前だから思い出せない。
「ここだ」
着いた先は昨日リーシュちゃんと食事をしたところ。
やはり予感が当たったみたいだ。
魔法陣が赤く光っている。
「何の魔法陣だ?特徴的だったからなのか、有名だったのか本に載っていたんだ」
何の魔法、何の守りの魔法か。
いや、そもそもそれが違うかもしれない。
なら何のための魔法?
「思い出した……。これは敵を閉じ込めるための火の魔法だ」
この魔法陣を軸とし、周囲に炎の壁をつくる。
相手を逃がさないための魔法によく使われる魔法だ。
でもなぜこんなところに?
誰を討ち取るとでもいうんだ?
もしくは俺たちを皆殺しに?
「なんでこう、マイナスのほうへといくんだか」
一回でも嫌な予感がすると、考えるのも全部マイナスのほうへと行く。
とりあえずこの魔法の対策を考えなければ。
この魔法陣の上に俺がつくった魔法陣を描いた。
簡単に言えば上書き。赤く光っているため、もう消せないからだ。
発動条件は下に描いてある魔法が発動したとき。
この魔法陣が発動させた炎を消すために水をつくる魔法だ。
「これで大丈夫だろう」
「見事だな。子供がそんなことをできるはずがないんだが」
「誰だ!?」
油断をしていた。
あんなにも修行をしていたのに魔法陣のほうばっかり考えていた。
「グライドだ。いや、もうこの名前はいい」
「どういうこと?」
「いやー、念のために冒険者になってよかったぜ。こうも簡単に入れるとはな」
「だからどういうこと?」
「俺の本当の名はアメグラ。この姿を見れば子供でも分かるだろ?」
「!?」
姿は変わり、悪魔となった。
ただ、俺が見た悪魔とは全然違う。
「本当に悪魔、なのか?」
「合ってるぜ。ただ強すぎて変化が起きただけだ」
ツノと翼が生えただけ。
ただそれを除けば人のままだ。
「早く終わらせたいんだ。すまないが眠っててもらう」
「何が狙いなのか分からないが、そうはさせないぞ!」
「子供は元気だな。だがその元気もここまでだ。炎の縄」
不意打ちか!
残念だが声をかけられてから警戒をしている。
これぐらいなら避けれる。
「ほう、いい反応だな」
「そりゃどうも」
「人間にしておくのがもったいないぐらいだ。勇者なんてどうだ?」
「それは無理でしょ。生まれながらの宿命だし」
「よく知っているじゃないか」
あわよくばなりたいと思ったけど、それは叶わなかった。
勇者は生まれてすぐ勇者だと分かる。
まるで呪いのように。
「いいのか、攻撃をしなくても」
「用心深いもんでね」
「そうか、ならこっちから行かせてもらうぞ」
「えっ!?」
速い、速過ぎる。
この速度はクーリアさんと肩を並べるほどじゃないのか?
全然見えない。
「ここか!」
「外れだ、残念だったな」
「ガハッ!!」
くそっ、いてえぇ……。
何回も何回も吹っ飛ばされたけど優しくされていたのが分かる。
今は普通に吹っ飛ばされたんだ。
「ここまでか?今後の成長が楽しみだったが、仕方ないことだ」
「はあ…はあ……」
「ふっ、最期まであきらめない目だな」
「当たり前だ!!」
俺は氷の矢を飛ばすと同時に動いた。
氷の矢を受け止めるときの一瞬で俺は後ろまで移動した。
こんなに速く動けたのは修行のおかげかもな。
「くらえ!麻痺!」
よし!当たった!
力も結構入れたし、効いただろう。
「いってぇ……。それじゃあ麻痺じゃなくてただの電撃だ」
「嘘だろ!?」
無傷だと!?
前のクロを想定として力を入れた。
それでも全然効かないってことはクロとは格が違う。
「これぐらいなら大体の悪魔は動けなくなるな」
「自分は違うってことか」
「ああ。俺たち六大悪魔はこんなのデコピンされたようなものだ」
さっき痛いとか言っていたけどうそかよ。
やばいな、ここまで来ると本気で行かないと俺が死んでしまう。
前みたいに油断をしなければ大丈夫なはず。
「ここからだ!ス――」
俺が魔法を使おうと思ったその瞬間。
炎が学校を包み込んだ。
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