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ジルの修行1
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この木はてっきり目に見える範囲だけかと思った。
なんとしたの階があったんだ。
ご飯を食べるときや寝るときなどは下の階となっている。
「ここの階は生活するところです。ジル様はあちらの部屋を使ってください」
「様はいらないよ。ジルで!年もそうだし弟子になった順に見ても立場は俺のほうが下だし…。俺のほうが様をつけて呼んだ方がいいのかな…?」
「で、ではジルくんと…。私は今まで通りでかまいませんよ」
なんでモジモジしながら言うのさ…。
軽く言ったりするのは失礼だったのかな?
様付けになんて慣れないから軽いほうが嬉しいんだけど。
「水浴びは向こうにあります。食事部屋はこちらです」
「似たような部屋でわかりづらい…」
「そこは師匠に言っていただけると…。私たちも同意見でしたので」
なんで全部似たような部屋にしちゃったんだか…。
最初のうちは階段から降りてこっち感覚で覚えておこう。
とりあえず早めに慣れておかないと。
「では私は用意してきます。向こうのテーブルで待っていてください」
「はーい!」
座って待っているとリーシュちゃんにシロ、ペイルもやってきた。
もちろん修行をしてくれているラグドラーグさんとサリアさんも。
「今日はクーリアか。それなら安心だ」
「師匠それってどういうことっすか~」
「汝がつくると味は良くても見た目が悪い」
「ひどいっすよ~!」
一体どんな料理を作るんだ…。
味が良くて見た目が悪いって調理のせい?
それとも食材が食材なのか?
「お待たせしました。どうぞ」
「「「おおー!!」」」
「さていただくか」
「いっただっきま~す」
見た目はすげえ美味しそう。
あんな短時間でここまでつくれるのか。
こっちの世界に来てから料理の多さと美味しさに驚いてばっかり。
食材が増えるとここまで変わるものなんだ。
「美味しい…!」
「ふふっ。ありがとうございます。まだありますがこの後も動くのでそこを考えて食べてくださいね」
そうだった…。
この後もまた痛いのが続くんだ。
食べ過ぎたら危なくなるから抑えておかないと。
「そういえばみんなはどういう修行だったの?」
今更だがペイルは犬ではなくドラゴンの姿に。
ペイルもその方が楽みたいでご飯を食べたらぐったりしている。
「私はふつうに新しい魔法を覚えるようにひたすら練習よ」
「シロはいろいろと教えてもらっているよ!例えばこの花は薬草?になるとか!」
「あれ?てっきり戦ってたりしていると思ったよ」
シロのことだからてっきり戦いっぱなしかと。
強くなれるって聞いてすごく喜んでいたし。
意外だな。
「知恵は付けとくべきっすよ~。ドラゴンでも頭なしに戦うのは良くないっすから」
というよりよくシロが真面目に聞いてくれたな。
俺が教えるときも結局はあそぼー!って言って終わってしまう。
この人案外すごいな…。
「では後は頼みます。洗う順番はみんなで決めておいてください」
「みんなでやっちゃだめなのー?」
「場所が狭いから一人がいいっすんよ。クーリアなんだからジルくんだっけ?」
「そうです」
「ジルくんから始めてシロちゃん、リーシュちゃんにすればいいんじゃないっすか?」
「わかったー!」
ということで俺が最初の皿洗い。
手伝っていたからさほど時間もかからないだろう。
人数が多くても同じ動作が少し増えるぐらいだし。
*
「終わりましたか?」
「はい。みんなはもう?」
「もう行きましたよ。私たちも戻りましょうか」
ああ…。
また痛いのが続くのか。
何か少し時間を伸ばせないかな?
「クーリアさんって武術が得意って言ってましたよね?」
「そうですね。大体はそっちで対処してます」
「魔法はどうなんですか?」
伸ばすためもあったけど気になってたこと。
魔法があれば、剣があれば、武術があればいい。
大体みんな一本に絞っているけど。
それでもみんな魔法は多少使えるまでにしている。
「もちろん使えます。ドラゴンの姿では武術は難しいので…」
「まあ、そうだよね」
「ですので魔法も武術ほどではありませんが得意ですよ」
武術ほど得意だったらどんだけハイスペックなんだよ…。
それでもさすがドラゴン。
両方使えるなんて、生まれただけでチートだな。
「何なら見てみますか?」
「さすがにここでドラゴンの姿には…」
「安心してください。この姿でもできます」
よし!上手く時間を稼げた。
初日からずっと痛いのは正直辛い。
甘えているのはわかるけど今日だけ!
「場所も場所なので火の魔法は抑えておきます」
「小手調べの時は容赦なく使ってたけど…」
「あ、あれはとっさに使ってしまっただけなんです!」
「そ、そうですか」
「少し外へ出ましょう。そっちの方が見やすいと思います」
戻ったけど結局また外へ。
相変わらず見晴らしがいいなあ。
「あの木を見ていてください」
「一本だけ飛び出ている木?」
「そうです」
「随分遠いところにあるけど…」
目を細めないとくっきりと分からない。
目はいい方だと思うけど、なんでその遠くの木を?
「行くよ。風弾」
すごい風圧!
とっさに顔の前に両手で防いでいた。
まさか、まさかだけど…。
「当たった…。しかも倒れている」
「これは遠距離魔法だから武術が通用しない敵にいいです。でも連発するには一発一発の間隔時間が長いため、そこまで使いません」
「十分強いのに…」
その魔法があれば十分やっていけるでしょ…。
これで使わないってどういうことなんだよ。
「人の姿では使わないってことです。ドラゴンの姿ではよく使いますよ」
「そういうことね」
「では修行に戻りましょう。時間がもったいないです」
「……はい」
あまり時間を稼ぐことはできなかった。
強くなるためだ。
早く瞬発力をあげれば楽になる…はず。
「では始めますよ」
「お、お手柔らかに…」
*
「つ、疲れた…」
「お疲れ様です。ある程度避けれるまではこれを続けます」
「続きがあるってこと…?」
「もちろんありますよ。頑張りましょう」
修行の第一段階、瞬発力の向上。
それなりに避けれるまでに1週間かかった。
なんとしたの階があったんだ。
ご飯を食べるときや寝るときなどは下の階となっている。
「ここの階は生活するところです。ジル様はあちらの部屋を使ってください」
「様はいらないよ。ジルで!年もそうだし弟子になった順に見ても立場は俺のほうが下だし…。俺のほうが様をつけて呼んだ方がいいのかな…?」
「で、ではジルくんと…。私は今まで通りでかまいませんよ」
なんでモジモジしながら言うのさ…。
軽く言ったりするのは失礼だったのかな?
様付けになんて慣れないから軽いほうが嬉しいんだけど。
「水浴びは向こうにあります。食事部屋はこちらです」
「似たような部屋でわかりづらい…」
「そこは師匠に言っていただけると…。私たちも同意見でしたので」
なんで全部似たような部屋にしちゃったんだか…。
最初のうちは階段から降りてこっち感覚で覚えておこう。
とりあえず早めに慣れておかないと。
「では私は用意してきます。向こうのテーブルで待っていてください」
「はーい!」
座って待っているとリーシュちゃんにシロ、ペイルもやってきた。
もちろん修行をしてくれているラグドラーグさんとサリアさんも。
「今日はクーリアか。それなら安心だ」
「師匠それってどういうことっすか~」
「汝がつくると味は良くても見た目が悪い」
「ひどいっすよ~!」
一体どんな料理を作るんだ…。
味が良くて見た目が悪いって調理のせい?
それとも食材が食材なのか?
「お待たせしました。どうぞ」
「「「おおー!!」」」
「さていただくか」
「いっただっきま~す」
見た目はすげえ美味しそう。
あんな短時間でここまでつくれるのか。
こっちの世界に来てから料理の多さと美味しさに驚いてばっかり。
食材が増えるとここまで変わるものなんだ。
「美味しい…!」
「ふふっ。ありがとうございます。まだありますがこの後も動くのでそこを考えて食べてくださいね」
そうだった…。
この後もまた痛いのが続くんだ。
食べ過ぎたら危なくなるから抑えておかないと。
「そういえばみんなはどういう修行だったの?」
今更だがペイルは犬ではなくドラゴンの姿に。
ペイルもその方が楽みたいでご飯を食べたらぐったりしている。
「私はふつうに新しい魔法を覚えるようにひたすら練習よ」
「シロはいろいろと教えてもらっているよ!例えばこの花は薬草?になるとか!」
「あれ?てっきり戦ってたりしていると思ったよ」
シロのことだからてっきり戦いっぱなしかと。
強くなれるって聞いてすごく喜んでいたし。
意外だな。
「知恵は付けとくべきっすよ~。ドラゴンでも頭なしに戦うのは良くないっすから」
というよりよくシロが真面目に聞いてくれたな。
俺が教えるときも結局はあそぼー!って言って終わってしまう。
この人案外すごいな…。
「では後は頼みます。洗う順番はみんなで決めておいてください」
「みんなでやっちゃだめなのー?」
「場所が狭いから一人がいいっすんよ。クーリアなんだからジルくんだっけ?」
「そうです」
「ジルくんから始めてシロちゃん、リーシュちゃんにすればいいんじゃないっすか?」
「わかったー!」
ということで俺が最初の皿洗い。
手伝っていたからさほど時間もかからないだろう。
人数が多くても同じ動作が少し増えるぐらいだし。
*
「終わりましたか?」
「はい。みんなはもう?」
「もう行きましたよ。私たちも戻りましょうか」
ああ…。
また痛いのが続くのか。
何か少し時間を伸ばせないかな?
「クーリアさんって武術が得意って言ってましたよね?」
「そうですね。大体はそっちで対処してます」
「魔法はどうなんですか?」
伸ばすためもあったけど気になってたこと。
魔法があれば、剣があれば、武術があればいい。
大体みんな一本に絞っているけど。
それでもみんな魔法は多少使えるまでにしている。
「もちろん使えます。ドラゴンの姿では武術は難しいので…」
「まあ、そうだよね」
「ですので魔法も武術ほどではありませんが得意ですよ」
武術ほど得意だったらどんだけハイスペックなんだよ…。
それでもさすがドラゴン。
両方使えるなんて、生まれただけでチートだな。
「何なら見てみますか?」
「さすがにここでドラゴンの姿には…」
「安心してください。この姿でもできます」
よし!上手く時間を稼げた。
初日からずっと痛いのは正直辛い。
甘えているのはわかるけど今日だけ!
「場所も場所なので火の魔法は抑えておきます」
「小手調べの時は容赦なく使ってたけど…」
「あ、あれはとっさに使ってしまっただけなんです!」
「そ、そうですか」
「少し外へ出ましょう。そっちの方が見やすいと思います」
戻ったけど結局また外へ。
相変わらず見晴らしがいいなあ。
「あの木を見ていてください」
「一本だけ飛び出ている木?」
「そうです」
「随分遠いところにあるけど…」
目を細めないとくっきりと分からない。
目はいい方だと思うけど、なんでその遠くの木を?
「行くよ。風弾」
すごい風圧!
とっさに顔の前に両手で防いでいた。
まさか、まさかだけど…。
「当たった…。しかも倒れている」
「これは遠距離魔法だから武術が通用しない敵にいいです。でも連発するには一発一発の間隔時間が長いため、そこまで使いません」
「十分強いのに…」
その魔法があれば十分やっていけるでしょ…。
これで使わないってどういうことなんだよ。
「人の姿では使わないってことです。ドラゴンの姿ではよく使いますよ」
「そういうことね」
「では修行に戻りましょう。時間がもったいないです」
「……はい」
あまり時間を稼ぐことはできなかった。
強くなるためだ。
早く瞬発力をあげれば楽になる…はず。
「では始めますよ」
「お、お手柔らかに…」
*
「つ、疲れた…」
「お疲れ様です。ある程度避けれるまではこれを続けます」
「続きがあるってこと…?」
「もちろんありますよ。頑張りましょう」
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