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衝撃

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「ラウくん…どうして…」
「……こうするしかないんだ!敵を穿て!石ノ礫グラベル!」
「くっ!シロ!下がって!水盾ウォーターホーリング!」

 石相手だと守り切るのにギリギリだ。
 しかもこの威力、容赦などない。
 殺しにかかってきてると思っていい。

「どうしてそんなことをするんだ!」
「こうしないと…こうしないと!」

 何かを思い詰めている。
 でもラウくんが悪魔には見えない。

「ラウくんは、悪魔じゃないのか?」
「悪魔…そんなわけないだろ!」

 うおっ!?
 普段おとなしい分怒ると怖いな。
 だがここで押し負けるわけにはいかない。

「なんでそんなことをするんだ!その言い方、悪魔と会ったのか?」
「…うん、嫌な出会い方でね!」

 話を聞いてくれるものの、攻撃の手をやめることはない。
 だが今のうちに聞いておかなければ!

「悪魔から何か取られたのか?」
「……」

 どうやら正解みたいだな。
 黙ってるのもそうだし、攻撃で戸惑いが見えた。
 一体何を…ものなのか?もしくは。

「人質…か?」
「…こうしないと!フウちゃんが!」
「はいはいー!」
「そこまでねー!」
「ガッ!?」

 さっきまで他に誰もいなかった。
 いつの間にかラウくんの後ろに二人がいる。

「誰だ!」
「やだなー」
「忘れないでくださいよー」
「シャルちゃんと、ネルちゃん…」

 見た目はいつも通り、変わっていない。
 悪魔ではないのか?
 でもラウくんは悪魔に…。

「わかる!わかるよ!」
「こんな見た目で悪魔なのか?って思っている顔しているね!」
「ああ、ちょうどそう思っていたよ」
「悪魔は基本大人か大人より大きい!」
「でも私たちみたいに子供サイズが生まれたりするの!」
「人間で言うと希少種かな?」

 何かのクエストだとレアアイテムとか落としそうでうれしいけど。
 今は最悪だ。
 まさか同じパーティ、友達が悪魔だったなんて。

「私たちの要求は一つ!」
「この卵をくれれば、これ以上危害を加えずに消えるわ!」

 卵と引き換えか。
 中身は気になる。
 けど、それでラウくんとフウちゃんが助かるなら。

「やだ!」
「「おりょりょ?」」
「シロ!」
「やだなものはやだ!」

 ここで駄々をこねるとは。

「シロ、渡さないとラウくんとフウちゃんが」
「なら2人とも助ければいい!」
「おっ!」
「やる気満々ですね!」

 そういうとシロは2人に襲い掛かった。

「シロ!」
「ジルはいいの?このまま2人の言うことばっかり聞いて!」
「!?」

 これが最善策だと思った。
 それが一番、ほかを考えないようにしていた。
 シロの言う通り。
 何も2人の言うことを聞かなくても助ける方法はあるはず!

「まずはラウくんだ!」
「おっと!」
「そうはさせないよ!」
「食らうか!水の円舞バブル・ダンス!」
「「キャッ!」」

 よし!
 ラウくんを救出成功!

「守りたまえ、水の衣ウォーターアーマー
「人質が1人減っちゃったねー」
「困ったねー」
「それじゃあ遠慮なく!」
「やっちゃおうか!」
「キャアァァ!」
「シロ!」

 シロが吹っ飛ばされた。
 飛ばされた方向がよかったおかげで受け止められた。

「大丈夫か?」
「うん、大丈夫!油断しただけだから!」

 よかった。
 見たところケガもなさそうだ。

「よそ見しちゃだめだよ!」
「ほらほらー!」
「なっ!?」

 どんどん魔法を使ってくる。
 悪魔でその見た目ってだけ。
 そうなると…いくつなんだ?

「なんか違うこと考えている目しているね?」
「そんなに余裕だった?」
「そんなわけないだろ!」

 そんなことどうでもいい。
 どうしたらいいんだ?
 今は防御に徹しているけど。

「シロ、隙を見て反撃するぞ」
「わかった!」
「何か企んでいるねー!」
「何かなー!」

「そんな2人はー…」
「閉じ込めちゃおう!」
「「茨ノ檻バトルワールド!」」
「なにこれー!」

 茨のリングが出来上がった。
 ご丁寧に上も横にも。
 逃げられないようにしたのか。

「まだまだ!」
「ここから!」
「「影ノ剣!」」
「硬くなれ!速くなれ!強くなれ!」
「「それ魔法??」」

 俺も思った。
 シロのは、魔法というより気合いで底力を上げてるように見える。
 でもしっかり上がっている。
 剣も通らないほど頑丈になっている。

「名付けて!竜の鱗ドラゴン・アーマー!」
水ノ槍ポセイドン!いくぞ!シロ!」

*

 戦況は五分五分。
 まさかここまで強いとは。
 俺とシロでもこれと言っての決め手がなく長引いている。

「なかなかやるね!」
「でもこれならどう?」
「「悪魔化デビルモード!」」

 2人は悪魔の見た目になった。
 …それだけじゃないよね?

「ぐっ!?」
「がはっ!?」
「アハハッ!」
「ドンドンいくよ!」

 さっきの速さとは比較にならない。
 だいぶ抑えてずっと戦っていたのか。

「おりゃ!」
「そりゃ!」
「まだまだー!」
「効かないぜ!」

 まだ見える。
 まだ避けれる。
 チャンスはいつか必ず来る。
 その時が早く来てくれ!

*

 さらに戦い続けている。
 反撃を狙っているものの中々チャンスは来ない。

「もう終わりかな?」
「もう終わりかな!」
「今だ!水圧砲ウォーターレーザー!」
火柱ドラゴンマッド!」
「「キャア!!」」

 今のは、モロに入ったんじゃないのか?
 攻撃するために突っ込んできたから防御をする雰囲気はなかった。

「やった…のか?」
「やったー!やったー!」

 反撃成功!
 そして倒せたみたいだ。
 目一杯打ったけど死んだわけではなさそうだ。
 どんだけ頑丈なんだ…。

「せんせー呼んでくるね」
「ああ、お願いね」

 シロは元気みたいだな。
 悪いけど、俺はちょっと休ませてもらおうかな。

 はぁ。
 めちゃくちゃ疲れた。
 もうさっさと寝たい…。

「こんなところで終わってたまるかああぁあ!!」
「!?シロ!危ない!」
「え?」

 グサッ。
 俺の耳からはそう聞こえた。
 シャルかネルかはわからない。
 気づいたら起き上がったていて、何か短剣みたいなのを飛ばした。
 シロに向かって。
 早く気づいたら体が勝手に動いた。

 もしかして俺、また死ぬのかな?
 ははっ、当たるところも運が悪かったかな。
 最近もこんな死んでいく感じはあったよな。
 あれはシロからだっけか?
 あの時は近くにリーシュちゃんがいたからな。
 なんとか生き残れたけど今はいない。
 せっかく転生できたのになぁ。

 シロに先生を呼んでもらったほうがいい。
 まだ俺の魔法が残っているうちにラウくんを。
 つかまっているフウちゃんを助けないと。

「シ…ロ…」
「ジル!ジル!!」
「大丈夫…俺はいいから…先生を…」
「いや!それよりジルを!」
「いいから…早く…!」
「いやいや!ジル…!」
「泣かないで…俺がいなくても…呼んで…く…れ」
「ジルー!!!」

 俺はそこで意識を失った。





 ジルが倒れた後、周りは静かだった。
 ただ、シロは音が出ないように泣いている。

「これで…仇はとれたかな?」
「かたき…?」
「シロには関係ないよ…これは私たちの――」
「うるさーーい!!!」

 シロは叫んだ。
 それと同時にシロが光った。

『絶対に…許さない!』

 怒り、泣き、そして叫ぶ。
 そこには白いドラゴンが立っていた。
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