上 下
11 / 69

新しい子がきたよ!

しおりを挟む
 まぶしい…。
 もう朝か。

 さすがに今日は一緒に寝ていない。
 いつまでも一緒に寝てたらダメだからね。

「シロー。おきてー。ってあれ?」
「ざんねーん!もう起きてるよー!」
「わっ!」

 ベッドの下から出てきた。
 何してるんだよ…。

「何してるの?」
「早く起きちゃったからジルを驚かそうとしていたの!」

 そうかそうか。
 朝早く起きちゃったから驚かそうとね。
 準備を先にしてほしかったけどなあ。

「驚いた?驚いた?」
「驚いたよ。って、さっき声出しちゃったしな」
「うししっ」

 すんごい笑顔。
 可愛い歯を出しながら笑ってる。
 これは何か企んで成功したときの笑顔。
 何かあると笑い方が変わるのが面白い。

「じゃあ準備してから行こうか」
「うん!」

*

「おはようみんな!」
「「「「おはようございまーす!」」」」
「今日は冒険の前日だから訓練をする日よ!」

 待ってました!
 痛いのは嫌いだからお手柔らかに。

「の前に、私たちの班に新しい子が入るわ!」
「新しい子?」
「「わーい!」」

 クロとシロはうれしいらしい。
 一日遅れで来るもんなのかな?
 こっちの世界だし、仕方ないのかな?

「入ってきて!」
「失礼しまーす」
「ん?」

 気のせいかな?
 見たことあるかもしれない。

「みんなにお名前を言ってね」
「初めまして!リーシュ・アクアリアです!よろしく!」
「えっ!?」

 あっ、思わず声を出しちゃった。
 みんなの視線がこっちに集まる。

「ど、どうかしたのジルくん?」
「まさかジル。あの子が気になるのかー?」
「そ、そうじゃなくて!」

 俺の気のせいか?
 でも本人にしか思えない。

(リーシュさん、いますかー?)
(いますよー!)
(あれ?気のせいだったのかな?)

 んー、解せない。
 もしかして子供とか?

(リーシュさんって子供がいたりは?)
(いるわけないじゃない。結婚すらしたことないわ)

 それじゃあ違うか。
 やっぱり本人じゃね?

「じゃあみんなのほうの席についてほしいんだけど」
「好きなところに座っていーい?」
「いいわよー!」

 何そのおねだり。
 何か買ってーって言われたら買っちゃうわ。

「じゃあここがいい!」
「あっ!ちょっと!」

 席順は左からクロ、シロ、俺、ガウ。
 入ってきたのは俺とガウの間。
 まさかの割り込み。

「それはないだろ!」
「…だめ?」
「…今回だけだぞ!」

 ガウの負けー。
 涙目でその言い方はずるい。

 ってか絶対子供じゃないだろ!
 俺もそうだけど子供でこんなことできたら人間じゃねえ!

「ねえねえ、ちょっといい?」
「いいわよ」

 さすがに出ていくのはどうかな。
 ダメだろうなあ。
 そうなると、うーん。

(これなら話せるかしら?)
(やっぱりリーシュさんじゃん!)

 やっぱり!
 合ってたわ!

(なんでこっちに来ているんですか!)
(ジルくんが楽しそうにしていたから来ちゃった!)

 来ちゃったっておいおい。
 神様降臨しちゃったよ。

(仕事?の方はいいんですか?)
(友達に頼んだわ!)

 ずっりー。
 押し付けてきたの間違いじゃなくて?

(でもいいんですか?)
(なにが?)
(いや、神様が来るのっていいのかなあって。)
(それについては大丈夫!安心して!)

 神様が大丈夫って言っているんだ。
 大丈夫でしょ。
 信じてますからね?

(それと今からさん付けじゃなくてもいいわよ?)
(それならリーシュちゃんで)

 ちょっと背中がむず痒い。
 今までさん付けだったのにいきなりちゃん付けは妙に意識しちゃう。

「ジルくん。リーシュちゃんに夢中なのはいいけど右を見てごらん?」
「右?あっ」
「ブー!」

 シロがめっちゃふてくされている。
 頬なんてもうパンパンに膨らんでる。
 パンッってやってみたい。

「ジルー!」
「わっ!おい!」

 頭をつかむと自分の胸のほうに持っていかれた。
 ふくらみはないものの、なんか柔らかい。
 だめだだめだ!
 俺はロリコンじゃないんだから!

「べっー!ジルは渡さないんだから!」
「俺はモノじゃない!」
「ふふっ。ジルくんはモテるのねー。」

 シロにはね。
 本音を言うとめっちゃうれしい。
 けどその分恥ずかしい。

「仲良くするのもいいけど訓練をするわよ!」

 先生完全に空気だった。
 怒っているのもあるけど少し寂しそうに見える。

*

 リーシュちゃんの紹介のために教室に集まっていた。
 それが終わったから訓練をするため外へでた。

「さて!じゃあまずはこれを持って!」
「木の剣?」
「そうよ!本物だと危ないからね!」

 ちなみに木刀ではない。
 剣の形をした木。刀ではない方。
 刃ほど細く切っていないから殴るって感じなのかな?

「冒険で出る敵は覚えているかしら?」
「ゴブリン!」
「それとスライム!」
「そうよ!この2種類を倒すために今日は訓練をするわ!」

 ゴブリンとスライム。
 スライムはすぐに想像できるけどゴブリンはどうなんだろう?
 ゲームによって怖かったり弱そうだったり。

「ちなみに、ゴブリンとスライムはその木の剣でも倒せるわ!」
「ほんとにー?」
「もちろん!ここでは試せないけど冒険に行ったときはまずは先生がお手本を見せるから!」

「じゃあまずは剣を振る練習ね。よく見ててね!」

 そういうと目の前にある戦闘訓練用の人形に剣を当てた。
 うーん。
 なんかぎこちないけど遠心力でごり押ししてる。

「こんな感じよ!」
「なんかお父さんの剣の振り方とちがーう」
「うっ!ガウくんのお父さんも冒険者なの?」
「違うよー。軍だって言っていたよ。」

 じゃあ俺の父さんと同じか。
 ガウは父親の剣を見ていたのか。
 俺はそういうのは見たことない。
 ずっと本を読んでいたからね。

「先生、こうやるんじゃないの?」

 ガウはそういうと剣を振った。
 遠心力任せではなくしっかりと振っている。

「そ、そうよ!そういう感じ!先生も同じだったでしょ?」
「「「「「全然違う」」」」」
「あ、あれー?」

 ちょっと雲行きが怪しくなってないかなー?
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

処理中です...