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友達が罠に引っかかった!

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「まずはみんな魔法は使ったことはあるかしら?」
「「「「あるー!!」」」」
「みんなあるのね!どういう魔法を使ったことあるのかしら?」
「私は影の魔法を使ったわ!」
「俺は水を出した」
「オレは火を出した!」
「シロも火だした!」

 正確に言えば火を吹いただね。
 その姿でやるならギャップがすごいけど。

「先生はどんな魔法を使うんですか?」
「私はこれよ!」
「「きれーい!!」」

 いや、本当にきれいだ。
 雷の魔法だ。
 きれいな黄色の電気をだしている。

「これはすごーく強くてね。敵を気絶させたりできるのよ!」
「強いねー!」
「心強いですね」

 これなら大丈夫でしょ。
 シロがいるからまず大丈夫だと思うけど。

「みんなが普段使ってる魔法が得意な魔法になるわ。他にも覚えればどれも使えるわよ!」
「先生の魔法もー?」
「もちろん!今日1日でってのは難しいけど何か一つ決めてからやればできるわ!」

 なら先生の魔法を覚えようかな。
 きれいだし強そう。

「覚えたい魔法は決めたかしら?」
「「「「先生の魔法!」」」」

 満場一致で全員先生の魔法。
 まあそんなの見せられたらそうなるよ。

「それじゃあ簡単な雷の魔法を覚えましょうか」
「「「「はーい!!」」」」

「まずはこの魔法、点灯ライト!」
「まぶしー!」
「ちょっ!先生こっちに向けないで!」
「ごめんごめん!」

 まぶしっ!
 すげえまぶしい!
 目が悪くなりそう!

「雷の魔法だけどこれは周りを明るくするための魔法よ。洞窟とかに入った時に便利だわ」

 初めて覚える魔法にはちょうどいいね。
 楽だし。

「それじゃあみんなやってみようかしら」
「どうやるのー?」
「まずは指を出して。そうそう」

 みんな右手の人差し指を前に出した。

「イメージして。指先が光るイメージを」
「光る…光る…。」
「そうそう!その調子!」

 隣にいるシロがぶつぶつ言っている。
 集中力がすごい。

「シロ、コツは暗い場所を想像して、その中に光があるのをイメージする」
「暗い場所…暗い場所…光…光…」

 もう目が据わっている。
 もはや怖いわ!

「シロちゃんすごいね!もう光っているじゃない!」
「すごいじゃん!シロ!」
「えへへへ」

 指先が少し光ったぐらいだけど。
 せっかくだしなでなでしてあげよう。
 いいことをしたらしっかり褒めないと。

「もっとしてー!」
「もう少しだけだぞ?」
「よかったね、シロ」
「うん!」

 いやーかわいいなあ。
 ドラゴンというよりネコみたい。

「みんなはどうかしら?」
「「全然できなーい!!」」

 ガウとクロは苦戦しているな。
 ここは俺が見せてやろうか。

点灯ライト!」
「「「おおおぉぉぉ!!!」」」
「すごいじゃない!完璧だわ!」

 どんなもんだい!
 これぐらいなら小さいときに取得済みだ!
 今も小さいけど。

「ジル、もしかして元々雷の魔法が使えたんじゃないか?」
「そうよ!絶対そう!ズルしてる!」
「いやズルはしてないって!」

 なんてことを言うんだ!
 ズルではない!
 練習の成果だ!

(そうね。ズルに入るわね。)
(リーシュさんまで!?)
(そうよ。これは私が渡したんだからズルよね。)

 そんな…。
 もう先生以外全員じゃん。
 あ、先生も若干疑いの目をしてるわ。
 神様の言う通りってね。

「まあまあ、みんな落ち着いて」
「そうだよ!俺は水の魔法なんだから!」

 ちなみになぜ水の魔法かと思うでしょ?
 理由は簡単。
 シロが燃やしたものを消すのに慣れたせい。

「じゃあジル、少し見せてよ」
「いいよ。よく見ろよ!」

 ええい!
 しっかり見とけよ!

「じゃあこれだ!水の円舞バブル・ダンス!」
「なにこれ?」
「綺麗だね!その年でここまでできるのはすごいわ!」
「ジルすごーい!」

 今度はシロに撫でられた。
 そこまでうれしいのかと思ったら結構うれしい。

「ジル、これなんなの?」
「これは泡。触ると水がはじけ飛ぶよ。ただの遊びの魔法」

 俺たちの周りには大きな泡が浮いている。
 数はそこまではないけど。

 ちなみに遊びの魔法っていうのは嘘。
 実際には試しで魔法を使ったときの的にしていた。
 これぐらいはもう序の口。

「どれぐらい水が出るの?」
「触ってみ?」
「うわぁ!」

 引っかかった引っかかった!
 触ると思ったから水を多く含ませていたんだ。
 ガウはビショビショ。

(大人げないわよ)
(子供だから大丈夫ですー!)
(あら?神様にケンカを売るとどうなるか見てみる?)
(すみません。もうしません)
(よろしい。今後気を付けるように)

 なんだかんだでリーシュさんは怖い。
 お母さんに逆らえない感じ。

「ジル―!こっちもー?」
「あっ!ばかっ!」
「あははっ!こっちも割れたー!」

 割れたーじゃないよ!
 シロまでビショビショだよ!

「あらら。二人とも着替えないとね」

 一時授業は中断となった。

「じゃあガウ君はこっちにきて。シロちゃんはジル君お願いね?」
「俺ですか?」
「そう!シロちゃんもそっちがいいでしょ?」
「うん!ジルがいい!」

 おいおい。
 別に俺がついていかなくてもいいんじゃない?

「クロー、ついてきてくれない?」
「私はかまわないけど」
「ウー!」
「シロがあれ以来警戒しているからね。無理だわ」

 嘘だろ…。
 こうなったらさっさと終わらせるか。

*

「ほらシロ。これに着替えて」
「はーい!」

 いつもどれを着ればいいのかわからないらしく俺が選んでいる。
 母さんのセンスが良くてどれを着ても似合う。

「ジルは手伝ってくれないの?」
「いつも自分出来てるだろ!」
「えー。」

 ぶつぶつ言いながら着替えた。
 さすがにそれはまずいからな。
 前の世界だと両手に金属の輪っかがついちゃう。

「着替え終わったよ!」
「じゃあ戻るか。」

*

「おまたせしましたー」
「ただいまー!」
「おかえりー!今ちょうど練習していたのよ」
「少し光ってるー!」

 驚いた。
 クロも魔法がうまい。
 うまいというのか呑み込みが早い。

「ただいまー!ってクロ出来てるし!」
「ガウも早くしないとビリよ?」
「ちくしょー!先生!コツ教えて!」
「いいわよ。じゃあさっそくやってみましょうか!
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