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ご飯を食べ終えてぶらぶらしていると、トーナメント表が出来たというアナウンスが流れた。
人数は10人と少ないが、強さによって組み合わせが変わったりする。
それにしても随分と仕事が早いな。
またメアリと別れ、俺は闘技場の中へと向かった。
「さてお待たせしました!トーナメント戦の開始です!!」
ここからが本番、というところだが観客が楽しそうではない。
観客の声は上がらず、代わりにざわめきが広がっている。
そりゃあそうだ。
何せ、ここには6人しか残っていないんだから。
「えーっと、アクシデントがありまして4人が消息不明となっております。大変申し訳ございませんが、4人は棄権扱いとしてこのまま6人で行わらせてもらいます」
観客からはブーイングの嵐。
俺は全然構わないが、それよりも国王の席がまだ空いているのが気になる。
何かあったのか?
*
(サザンどうだった?)
(弱い。お前がいいといったやつらと相手をしたが、弱すぎたぞ)
(仕方ないよ。歯ごたえある他の3人はとてつもなく強いんだから)
念話で会話をするカロルとサザン。
実際に口で話すわけではないため、他の人には気づかない。
(それにしても2人も逃したんだね)
(人目があるところにいたからな。手を出せなかった)
(そかそか。で、他の4人は?)
(――殺した)
(おっけー。じゃあ後は俺の仕事ね)
周りに分からないように笑うカロル。
その笑顔は悪魔のような笑顔だった。
(あ、それといい情報があるよ。ボスに伝えといてほしいんだ)
(なんだ?)
(それはね――)
*
「さてトーナメントはこちらになります!」
1.フィリー(シード)
2.ヒビ
3.ダルア
4.トーマ
5.キール
6.カロル(シード)
1と6がシードで、2VS3、4VS5が最初の戦いになる。
あとは2か3VS1、4か5VS6で最後に決勝戦。
俺は1回戦目だが、カロルはシードか。
順調にいけば、カロルとは決勝で戦うということになるな。
「ではまず1回戦目!ヒビVSダルア!!他の選手たちは待機室へ移動をお願いします」
俺とダルア以外は出ていき、俺とダルアが闘技場の真ん中にいる。
相手は牛の獣人で、デカい斧を持っている。
まるでミノタウロスだな。
「スタート!!」
「ウモオオオオオ!!」
牛らしい声と共に斧を振るダルア。
デカい斧だけあって、動きが遅い。
避けるのは簡単だが、地面に突き刺さった瞬間、地面は粉々に砕かれる。
「おいおい、殺しはなしのルールだぞ?」
「分かっている。だが手加減が出来ないモウ」
語尾にもなんか付いているんだが。
まあいいや、こいつなら楽そうだ。
「万能立方体」
「待ってたモウ!!」
相手が動くよりも先に万能立方体を動かす。
“待ってた”という言葉が聞こえただ、どうせハッタリだろう。
「打」
「モオオオオウ!!!」
ダルアは斧で防ごうとしたが、真っ正面だけを守っても意味がない。
俺はすかさずに横へと動かし、クリーンヒットを狙う。
が、倒れるどころかピクリとも動かなかった。
それどころか笑っていやがる。
「筋肉膨張!これでその攻撃は――」
「いまので終わりなわけないだろう…」
ダルアは最後まで話すことなく倒れた。
口を動かして話そうにも、口元がピクピク動いているだけ。
目は驚いているようだった。
「お、おーっと?何が起きたのか分からないが、ダルアダウーン!」
そのままカウントが進む。
倒れた場合はカウントを取り、10までに立ち上がらない場合は敗退だ。
「10!!勝者はヒビだああぁぁ!!」
周りはざわつき、何があったか分かっていない状況だ。
メアリも分かっていないようだが、俺はここで試合終了。
待機室の方へと向かう。
「凄いね。あの箱に麻痺系の魔法を。しかも一瞬だけ針を伸ばして、あの分厚い筋肉を貫通させた」
「敵の情報を探っているつもりか?」
「いやいや、今回の闘技場で一番厄介なのは間違いなく君だからね。調べないほうがおかしいよ。ほら」
そう言って向いた方向には、選手全員が闘技場の方を見ている。
まあ、俺だって相手になるやつを調べる。
だが、カロルの言い方はどうも煽っているように感じてしまう。
「お、次の試合が始まるみたいだよ」
闘技場の方ではステージの修復が終わり、次の試合のアナウンスが始まっていた。
次に戦うのはトーマとキールか。
最初に戦ってた時は見なかったが、二人とも普通の人間だ。
獣人王国で生き残っているのが人間たちだけっていうのも、なんか変だな。
それはさておき、二人が闘技場へ移動する。
トーマは男らしい見た目の魔術師だが、キールはどちらかというと凛々しい男だ。
いや、女なのか?
「2回戦目!トーマVSキール!!スタート!!」
2回戦目始まりの合図が出る。
―――――――――――――――――――――――――――――
ストック切れたため、毎週月曜日に更新に変更します。
人数は10人と少ないが、強さによって組み合わせが変わったりする。
それにしても随分と仕事が早いな。
またメアリと別れ、俺は闘技場の中へと向かった。
「さてお待たせしました!トーナメント戦の開始です!!」
ここからが本番、というところだが観客が楽しそうではない。
観客の声は上がらず、代わりにざわめきが広がっている。
そりゃあそうだ。
何せ、ここには6人しか残っていないんだから。
「えーっと、アクシデントがありまして4人が消息不明となっております。大変申し訳ございませんが、4人は棄権扱いとしてこのまま6人で行わらせてもらいます」
観客からはブーイングの嵐。
俺は全然構わないが、それよりも国王の席がまだ空いているのが気になる。
何かあったのか?
*
(サザンどうだった?)
(弱い。お前がいいといったやつらと相手をしたが、弱すぎたぞ)
(仕方ないよ。歯ごたえある他の3人はとてつもなく強いんだから)
念話で会話をするカロルとサザン。
実際に口で話すわけではないため、他の人には気づかない。
(それにしても2人も逃したんだね)
(人目があるところにいたからな。手を出せなかった)
(そかそか。で、他の4人は?)
(――殺した)
(おっけー。じゃあ後は俺の仕事ね)
周りに分からないように笑うカロル。
その笑顔は悪魔のような笑顔だった。
(あ、それといい情報があるよ。ボスに伝えといてほしいんだ)
(なんだ?)
(それはね――)
*
「さてトーナメントはこちらになります!」
1.フィリー(シード)
2.ヒビ
3.ダルア
4.トーマ
5.キール
6.カロル(シード)
1と6がシードで、2VS3、4VS5が最初の戦いになる。
あとは2か3VS1、4か5VS6で最後に決勝戦。
俺は1回戦目だが、カロルはシードか。
順調にいけば、カロルとは決勝で戦うということになるな。
「ではまず1回戦目!ヒビVSダルア!!他の選手たちは待機室へ移動をお願いします」
俺とダルア以外は出ていき、俺とダルアが闘技場の真ん中にいる。
相手は牛の獣人で、デカい斧を持っている。
まるでミノタウロスだな。
「スタート!!」
「ウモオオオオオ!!」
牛らしい声と共に斧を振るダルア。
デカい斧だけあって、動きが遅い。
避けるのは簡単だが、地面に突き刺さった瞬間、地面は粉々に砕かれる。
「おいおい、殺しはなしのルールだぞ?」
「分かっている。だが手加減が出来ないモウ」
語尾にもなんか付いているんだが。
まあいいや、こいつなら楽そうだ。
「万能立方体」
「待ってたモウ!!」
相手が動くよりも先に万能立方体を動かす。
“待ってた”という言葉が聞こえただ、どうせハッタリだろう。
「打」
「モオオオオウ!!!」
ダルアは斧で防ごうとしたが、真っ正面だけを守っても意味がない。
俺はすかさずに横へと動かし、クリーンヒットを狙う。
が、倒れるどころかピクリとも動かなかった。
それどころか笑っていやがる。
「筋肉膨張!これでその攻撃は――」
「いまので終わりなわけないだろう…」
ダルアは最後まで話すことなく倒れた。
口を動かして話そうにも、口元がピクピク動いているだけ。
目は驚いているようだった。
「お、おーっと?何が起きたのか分からないが、ダルアダウーン!」
そのままカウントが進む。
倒れた場合はカウントを取り、10までに立ち上がらない場合は敗退だ。
「10!!勝者はヒビだああぁぁ!!」
周りはざわつき、何があったか分かっていない状況だ。
メアリも分かっていないようだが、俺はここで試合終了。
待機室の方へと向かう。
「凄いね。あの箱に麻痺系の魔法を。しかも一瞬だけ針を伸ばして、あの分厚い筋肉を貫通させた」
「敵の情報を探っているつもりか?」
「いやいや、今回の闘技場で一番厄介なのは間違いなく君だからね。調べないほうがおかしいよ。ほら」
そう言って向いた方向には、選手全員が闘技場の方を見ている。
まあ、俺だって相手になるやつを調べる。
だが、カロルの言い方はどうも煽っているように感じてしまう。
「お、次の試合が始まるみたいだよ」
闘技場の方ではステージの修復が終わり、次の試合のアナウンスが始まっていた。
次に戦うのはトーマとキールか。
最初に戦ってた時は見なかったが、二人とも普通の人間だ。
獣人王国で生き残っているのが人間たちだけっていうのも、なんか変だな。
それはさておき、二人が闘技場へ移動する。
トーマは男らしい見た目の魔術師だが、キールはどちらかというと凛々しい男だ。
いや、女なのか?
「2回戦目!トーマVSキール!!スタート!!」
2回戦目始まりの合図が出る。
―――――――――――――――――――――――――――――
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