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食後、俺たちの服はモミジによって洗われており、元の服に着替えた。
「もう行くのか?」
「ああ。目標が出来たからな」
「目標?」
「『明水学園2年1組の集合』だよ」
ユウは驚いたかのようにキョトンとしている。
そしてにっこりと笑った。
「その時は“14人の英雄”から“15人の英雄”だな」
「そうだな。ゆっくり待っててくれ」
「もちろんだ!楽しみにしているぞ!!」
こうして俺たちはユガの町を去っていった。
*
「いいんですか?サザナミ様」
「何がだ?」
「表向きは14人の英雄と言われていますが、裏切り者がいるという話をしなくても」
ユウはモミジを睨んだ。
今までユウは人を睨むなんてことはしない人間だった。
何よりも友達思いで、友達の悪口を言われるのが一番嫌いだからだ。
しかし、睨まれているモミジは驚きもせず、じっとユウを見つめている。
目が数秒合うと、ユウは元の目に戻りヒビたちのほうを向いた。
「ヒビに心配して欲しくないんだ」
「でもいずれは――」
「そう、分かっちゃうことだ。だけどな、俺の口からは言うのが辛いんだよ」
「…すみませんでした」
「分かればいいよ」
友達を信じていたいが、そんな友達を疑いの目で見ている。
だからこそ、教えるべきと言いたくないという心が入り混じってしまったのだ。
「今は“二人”を信じよう」
「はい。また来てくれると嬉しいですね」
「絶対に来るよ」
ユウはくるりと周り、家のほうを向いた。
「さて、ひと段落したから温泉に――」
「先にお仕事です。今日こそはしっかり終わらせてからです」
「相変わらず厳しいなぁ」
二人の姿が見えなくなると同時に、ユウとモミジは家の中へと戻っていった。
*
「さて、次はどこへ行くかだな」
「何も考えていなかったんですか!?」
「お前、忘れているようだが案内役だろう?」
「うぐっ!?そ、そうですけど…」
自分の役割を完全に忘れているな。
ただ歩き回る愉快な旅ではなくなったんだぞ。
「ほかに知っている町とか国はないのか?」
「もちろんありますよ。ただ町は少なく、多くは国になります。ユガの町が特別というわけでもありますが」
「まあ英雄様がいたらそうだよな」
「そういうことです。そうですね、ここから近いところですと2つあります」
「まずは3つある獣人国の内の1つ、第2獣人王国“メストリアル王国”、エルフや精霊など森に住む種族がつくった大国“アロスト樹林国”のどちらかです」
「獣人の国か森の国のどちらか、か」
「はい」
どちらにせよ、両方の国へ行っておきたい。
ユウ以外のクラスメイトの情報は現状ないに等しい。
だからどっちを先に行くべきなのかは分からないため、どっちでもいいのだ。
「じゃあ最初にあげたほうへ行こう」
「メストリアル王国ですね。分かりました」
なんだかんだ言っても、しっかりと案内役をやってくれている。
こういうところはありがたいが、他が少し抜けているのがたまにキズだな。
ドジっ子というよりは、天然か?
「歩いている間、また魔法を教えてくれませんか?」
「いいぞ。まずは光精霊の練習からだ」
「はい!」
後で聞いたが、メストリアル王国までは歩いて丸々3日もかかるほど遠い。
国同士は基本的にある程度の距離を置いてつくられている。
主に領土の問題もあるからだ。
俺たちはまだトラノク王国の領土にいるわけだが、1日歩くと他国の領土になる。
ちなみに今までトラノク王国の領土になっていた場所がどうなるかと言うと、恐らくユウが守り続けるようだ。
直接聞いたわけではないが、メアリがそう言っていたし、俺もそう思う。
「やった!5つ目できましたよ!」
「順調だな。それだけつくれれば次の段階へ行ってもいいな」
「お願いします!」
次の段階、というより最後の段階は能力を付けること。
これは人によって簡単か難しいか分かれる。
「この前俺がつくったのを覚えているか?」
「棒状のですよね。覚えていますよ」
「あれは能力を形にしたものだ。今回はそれと違い、能力を“付ける”という意識でやる」
後はどう付けるかの考え方次第で変わっていく。
光の中に能力を閉じ込めるか、表面に薄い膜のように貼るのか。
「出来たかどうかはどうやったら分かりますか?」
「その時は俺が見る。とりあえずやってみろ。後は何回も挑戦するだけだ」
「やってみます…!」
そういうと、光に向かって手を伸ばした。
回復魔法を使うときに似ているポーズで、まるで光を回復させているよくわからないポーズ。
というか、そのやり方だと立ち止まってしまうんだが。
まあ最初だからいっか。
「ど、どうですか?」
「あのなぁ、一発目から出来るはずが――出来てる」
「本当ですか!?」
馬鹿な!?
そんな簡単に出来るようなものではないぞ!
確かに1個だけなら簡単にパッとできるかもしれないが、それは慣れてからの話だ。
1回目から成功させるなど、思いもよらなかった。
メアリのやつ、意外と面白いところがあるじゃないか。
魔法には苦戦していたけど、能力の方は手慣れている。
もしかしたら、能力の“回復”に関しては魔法と違って普段使っていたのかもしれない。
「あとは数を増やしたり、魔法の発動を早めたり、後は能力を付けた状態から魔法を出したりなど、いろいろと改善点はあるぞ」
「分かってます!たくさん頑張りますので、お願いしますね!」
「もちろんだ。だが、歩きながらだぞ」
移動一日目。
俺たちの時間はほとんどメアリの魔法練習に使われて終了。
「もう行くのか?」
「ああ。目標が出来たからな」
「目標?」
「『明水学園2年1組の集合』だよ」
ユウは驚いたかのようにキョトンとしている。
そしてにっこりと笑った。
「その時は“14人の英雄”から“15人の英雄”だな」
「そうだな。ゆっくり待っててくれ」
「もちろんだ!楽しみにしているぞ!!」
こうして俺たちはユガの町を去っていった。
*
「いいんですか?サザナミ様」
「何がだ?」
「表向きは14人の英雄と言われていますが、裏切り者がいるという話をしなくても」
ユウはモミジを睨んだ。
今までユウは人を睨むなんてことはしない人間だった。
何よりも友達思いで、友達の悪口を言われるのが一番嫌いだからだ。
しかし、睨まれているモミジは驚きもせず、じっとユウを見つめている。
目が数秒合うと、ユウは元の目に戻りヒビたちのほうを向いた。
「ヒビに心配して欲しくないんだ」
「でもいずれは――」
「そう、分かっちゃうことだ。だけどな、俺の口からは言うのが辛いんだよ」
「…すみませんでした」
「分かればいいよ」
友達を信じていたいが、そんな友達を疑いの目で見ている。
だからこそ、教えるべきと言いたくないという心が入り混じってしまったのだ。
「今は“二人”を信じよう」
「はい。また来てくれると嬉しいですね」
「絶対に来るよ」
ユウはくるりと周り、家のほうを向いた。
「さて、ひと段落したから温泉に――」
「先にお仕事です。今日こそはしっかり終わらせてからです」
「相変わらず厳しいなぁ」
二人の姿が見えなくなると同時に、ユウとモミジは家の中へと戻っていった。
*
「さて、次はどこへ行くかだな」
「何も考えていなかったんですか!?」
「お前、忘れているようだが案内役だろう?」
「うぐっ!?そ、そうですけど…」
自分の役割を完全に忘れているな。
ただ歩き回る愉快な旅ではなくなったんだぞ。
「ほかに知っている町とか国はないのか?」
「もちろんありますよ。ただ町は少なく、多くは国になります。ユガの町が特別というわけでもありますが」
「まあ英雄様がいたらそうだよな」
「そういうことです。そうですね、ここから近いところですと2つあります」
「まずは3つある獣人国の内の1つ、第2獣人王国“メストリアル王国”、エルフや精霊など森に住む種族がつくった大国“アロスト樹林国”のどちらかです」
「獣人の国か森の国のどちらか、か」
「はい」
どちらにせよ、両方の国へ行っておきたい。
ユウ以外のクラスメイトの情報は現状ないに等しい。
だからどっちを先に行くべきなのかは分からないため、どっちでもいいのだ。
「じゃあ最初にあげたほうへ行こう」
「メストリアル王国ですね。分かりました」
なんだかんだ言っても、しっかりと案内役をやってくれている。
こういうところはありがたいが、他が少し抜けているのがたまにキズだな。
ドジっ子というよりは、天然か?
「歩いている間、また魔法を教えてくれませんか?」
「いいぞ。まずは光精霊の練習からだ」
「はい!」
後で聞いたが、メストリアル王国までは歩いて丸々3日もかかるほど遠い。
国同士は基本的にある程度の距離を置いてつくられている。
主に領土の問題もあるからだ。
俺たちはまだトラノク王国の領土にいるわけだが、1日歩くと他国の領土になる。
ちなみに今までトラノク王国の領土になっていた場所がどうなるかと言うと、恐らくユウが守り続けるようだ。
直接聞いたわけではないが、メアリがそう言っていたし、俺もそう思う。
「やった!5つ目できましたよ!」
「順調だな。それだけつくれれば次の段階へ行ってもいいな」
「お願いします!」
次の段階、というより最後の段階は能力を付けること。
これは人によって簡単か難しいか分かれる。
「この前俺がつくったのを覚えているか?」
「棒状のですよね。覚えていますよ」
「あれは能力を形にしたものだ。今回はそれと違い、能力を“付ける”という意識でやる」
後はどう付けるかの考え方次第で変わっていく。
光の中に能力を閉じ込めるか、表面に薄い膜のように貼るのか。
「出来たかどうかはどうやったら分かりますか?」
「その時は俺が見る。とりあえずやってみろ。後は何回も挑戦するだけだ」
「やってみます…!」
そういうと、光に向かって手を伸ばした。
回復魔法を使うときに似ているポーズで、まるで光を回復させているよくわからないポーズ。
というか、そのやり方だと立ち止まってしまうんだが。
まあ最初だからいっか。
「ど、どうですか?」
「あのなぁ、一発目から出来るはずが――出来てる」
「本当ですか!?」
馬鹿な!?
そんな簡単に出来るようなものではないぞ!
確かに1個だけなら簡単にパッとできるかもしれないが、それは慣れてからの話だ。
1回目から成功させるなど、思いもよらなかった。
メアリのやつ、意外と面白いところがあるじゃないか。
魔法には苦戦していたけど、能力の方は手慣れている。
もしかしたら、能力の“回復”に関しては魔法と違って普段使っていたのかもしれない。
「あとは数を増やしたり、魔法の発動を早めたり、後は能力を付けた状態から魔法を出したりなど、いろいろと改善点はあるぞ」
「分かってます!たくさん頑張りますので、お願いしますね!」
「もちろんだ。だが、歩きながらだぞ」
移動一日目。
俺たちの時間はほとんどメアリの魔法練習に使われて終了。
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