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デサローダ
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翌日、俺たちはスロウと合流してデサローダへ向かう準備をしていた。
「何か必要なものってあるのか?」
「そうだねぇ、特に必要なものはないけど、持っていくならポーションとかじゃないかな」
「ケガでもするのかしら?」
「そろそろ戦闘祭があるからね。気が立っている者が多いからケンカに巻き込まれることがあるんだ」
「なんかこわいねー」
まるでヤンキーのたまり場に向かう気分だな。
正直、こっちの姿ではなかったら行きたくなかったぞ。
「まあ君たちには魔法があるし必要ないだろうね。それならさっそく向かおうか。ロールに近いけど、この面子なら数時間で着きそうだね」
「それなら飛んでいこうと思ったんだが、スロウは飛べるのか?」
「僕は羽がないからね。サリーみたいには飛べないよ」
あいにくだが、俺は羽が無くても飛べるぞ。
使えない人もいたし、スロウは合わなかったんだろう。
「うーん、ならまたあいつに頼めるかな?」
「そういうことなら仕方ないわね」
「とりあえず国の外へ出ようか」
「一体何が始まるんだろうか……」
とりあえず、俺たちはまず国の外へと移動した。
「じゃあよろしくな」
「わかったわ。召喚―ディエイダム」
魔法陣が浮き出ると、そこから黒いドラゴンが現れた。
依然と同じ展開だな。
だが――
『お呼びですか?主様』
「あ、あなた……」
「何でちっちゃいんだよ、ディエイダム」
以前とは違い、魔法陣から出てきたディエイダムは中型犬サイズの大きさになっている。
『以前主様に呼ばれたときに驚かれましたので。こうして小さくなってみました』
「そ、そうね。また怖がられると大変だからね」
「随分と可愛い召喚獣だね」
『初めまして。ディエイダムと申します』
「よろしく。僕はスロウというものだよ」
何か勝手にほんわかとした自己紹介が始まったんだが。
「まさかだと思うけど、この子に乗っていくのかい?」
「流石にそのサイズなら無理だろう……」
「そのサイズ?」
「ディエイダム、元のサイズになれないかしら?」
『かしこまりました。えいっ!』
かわいらしい声と見た目だったが、次の瞬間にはたくましい黒いドラゴンへと変わっていた。
「お、おぉ……。サリーが言っていたドラゴンは君のことだったんだ」
「あれ?もうすでにネタバレされちゃっていたのかな?」
「昨日あの後食事に誘われてね。さんざん愚痴られたよ」
あの見た目の人が愚痴をねぇ。
もしかして酒を飲んでいたのかな?
前の世界だったら完全にアウトな風景だけど。
「それじゃあ行きましょう。案内は任せていいかしら?」
「構わないけど、乗ったまま町には入らない方がいいと思うよ。さっきの姿ならまだしもね」
「それだったら手前に着いたら戻ってもらいましょう」
『こっちの世界ににいたままでいいのですか!?』
「構わないわよ。ディエイダムもそっちの方がいいでしょう?」
『はい!もちろんです!!』
このドラゴン、本当に恐れられていたドラゴンなのかなあ。
スロウも驚いていたけど、もう何もなかったかのように話しているし。
というか、こんな扱いされているけど、元々は移動用のドラゴンではないんだけどね。
そう言いつつも、ディエイダムに乗り1時間。
スロウの合図によりデサローダ手前で降りた。
「ありがとうね。さっきのサイズに戻れるかしら?」
『かしこまりました。えいっ!』
先ほどとは逆で今度は可愛らしい方へと変わった。
正直、当分そっちのままでいいと思うぞ。
マスコットみたいで可愛いし。
「気を付けてね。ここからは下手をすると絡まれるときがあるから」
「何でわざわざ絡むようなことをするんだ?どちらにせよ本番で戦うんだろう?」
「それにはルールがあってね。まず――」
「おい!こっちに女がいるぞ!」
スロウが話をしている最中、少し遠いところから男の声が聞こえた。
「亜人だが相当可愛いぞ」
「いいねいいね。俺たちラッキーだな」
「なあなあ、俺たちと遊ぼうぜ!そんなヒョロヒョロの奴らは放っておいてよ」
まさにチンピラと思わせる2人組が俺とスロウを無視してファラとメルのほうへと向かった。
流石の俺でもこれは見過ごせないぞ。
『何ですか貴様たちは。主様たちに失礼であろう!』
「なんだこのちっこいのは。邪魔だ、向こうに行ってろ!」
『いてっ! …なるほど、そっちがその気なら手加減しませんぞ!』
「しつけーなー。なんだこの犬みたいなやつは」
ディエイダムは男の1人にはたかれると段々と怒り始めた。
まずい!今この状況で大きくなって本気を出されたら被害がとんでもないことになるぞ!
『悪夢の吸収!!』
「うぐっ……!!」
「な、なんだ…これ……」
ディエイダムは魔法を唱えるとさっきまで元気だった2人はバタバタと倒れていった。
「一体何をしたんだい?」
『生気を吸い取ったのです。死にはしませんが、当分廃人になるでしょう。たくさん吸い取ったので』
大きくなって暴れなかったのはいいとしても、何ていうやばい魔法を使っているんだよ!
ゲームの時はそんな魔法はなかったぞ!!
「何か必要なものってあるのか?」
「そうだねぇ、特に必要なものはないけど、持っていくならポーションとかじゃないかな」
「ケガでもするのかしら?」
「そろそろ戦闘祭があるからね。気が立っている者が多いからケンカに巻き込まれることがあるんだ」
「なんかこわいねー」
まるでヤンキーのたまり場に向かう気分だな。
正直、こっちの姿ではなかったら行きたくなかったぞ。
「まあ君たちには魔法があるし必要ないだろうね。それならさっそく向かおうか。ロールに近いけど、この面子なら数時間で着きそうだね」
「それなら飛んでいこうと思ったんだが、スロウは飛べるのか?」
「僕は羽がないからね。サリーみたいには飛べないよ」
あいにくだが、俺は羽が無くても飛べるぞ。
使えない人もいたし、スロウは合わなかったんだろう。
「うーん、ならまたあいつに頼めるかな?」
「そういうことなら仕方ないわね」
「とりあえず国の外へ出ようか」
「一体何が始まるんだろうか……」
とりあえず、俺たちはまず国の外へと移動した。
「じゃあよろしくな」
「わかったわ。召喚―ディエイダム」
魔法陣が浮き出ると、そこから黒いドラゴンが現れた。
依然と同じ展開だな。
だが――
『お呼びですか?主様』
「あ、あなた……」
「何でちっちゃいんだよ、ディエイダム」
以前とは違い、魔法陣から出てきたディエイダムは中型犬サイズの大きさになっている。
『以前主様に呼ばれたときに驚かれましたので。こうして小さくなってみました』
「そ、そうね。また怖がられると大変だからね」
「随分と可愛い召喚獣だね」
『初めまして。ディエイダムと申します』
「よろしく。僕はスロウというものだよ」
何か勝手にほんわかとした自己紹介が始まったんだが。
「まさかだと思うけど、この子に乗っていくのかい?」
「流石にそのサイズなら無理だろう……」
「そのサイズ?」
「ディエイダム、元のサイズになれないかしら?」
『かしこまりました。えいっ!』
かわいらしい声と見た目だったが、次の瞬間にはたくましい黒いドラゴンへと変わっていた。
「お、おぉ……。サリーが言っていたドラゴンは君のことだったんだ」
「あれ?もうすでにネタバレされちゃっていたのかな?」
「昨日あの後食事に誘われてね。さんざん愚痴られたよ」
あの見た目の人が愚痴をねぇ。
もしかして酒を飲んでいたのかな?
前の世界だったら完全にアウトな風景だけど。
「それじゃあ行きましょう。案内は任せていいかしら?」
「構わないけど、乗ったまま町には入らない方がいいと思うよ。さっきの姿ならまだしもね」
「それだったら手前に着いたら戻ってもらいましょう」
『こっちの世界ににいたままでいいのですか!?』
「構わないわよ。ディエイダムもそっちの方がいいでしょう?」
『はい!もちろんです!!』
このドラゴン、本当に恐れられていたドラゴンなのかなあ。
スロウも驚いていたけど、もう何もなかったかのように話しているし。
というか、こんな扱いされているけど、元々は移動用のドラゴンではないんだけどね。
そう言いつつも、ディエイダムに乗り1時間。
スロウの合図によりデサローダ手前で降りた。
「ありがとうね。さっきのサイズに戻れるかしら?」
『かしこまりました。えいっ!』
先ほどとは逆で今度は可愛らしい方へと変わった。
正直、当分そっちのままでいいと思うぞ。
マスコットみたいで可愛いし。
「気を付けてね。ここからは下手をすると絡まれるときがあるから」
「何でわざわざ絡むようなことをするんだ?どちらにせよ本番で戦うんだろう?」
「それにはルールがあってね。まず――」
「おい!こっちに女がいるぞ!」
スロウが話をしている最中、少し遠いところから男の声が聞こえた。
「亜人だが相当可愛いぞ」
「いいねいいね。俺たちラッキーだな」
「なあなあ、俺たちと遊ぼうぜ!そんなヒョロヒョロの奴らは放っておいてよ」
まさにチンピラと思わせる2人組が俺とスロウを無視してファラとメルのほうへと向かった。
流石の俺でもこれは見過ごせないぞ。
『何ですか貴様たちは。主様たちに失礼であろう!』
「なんだこのちっこいのは。邪魔だ、向こうに行ってろ!」
『いてっ! …なるほど、そっちがその気なら手加減しませんぞ!』
「しつけーなー。なんだこの犬みたいなやつは」
ディエイダムは男の1人にはたかれると段々と怒り始めた。
まずい!今この状況で大きくなって本気を出されたら被害がとんでもないことになるぞ!
『悪夢の吸収!!』
「うぐっ……!!」
「な、なんだ…これ……」
ディエイダムは魔法を唱えるとさっきまで元気だった2人はバタバタと倒れていった。
「一体何をしたんだい?」
『生気を吸い取ったのです。死にはしませんが、当分廃人になるでしょう。たくさん吸い取ったので』
大きくなって暴れなかったのはいいとしても、何ていうやばい魔法を使っているんだよ!
ゲームの時はそんな魔法はなかったぞ!!
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