55 / 60
奇跡の花
50
しおりを挟む
「それにしても暇だなあ」
「それならダメもとでも次の雨に狙ってみるかい?」
「いや、それは遠慮しておくよ」
出来ないだろうと分かっていたとしてもやるべきだろうが、もう確実と言っていいほどの方法で手に入るんだ。
それならわざわざ確率が低い方をやらなくてもいいだろう。
「じゃあ恐竜狩りでもしていようか」
「…まあ、それでいいや」
競争率を下げておくために恐竜の数を減らす。
今となったらただの雑魚潰しでつまんないけど、ボーっとしているよりはマシか。
「そういえばまだ引っかかっていることがあるんだよなあ」
「引っかかること?」
「ああ、なんで恐竜にあんな核があるのか気になってな」
スロウも詳しくは知らないと言っていた。
でもなぜか気になった。
「僕は少しでも花を食べるために復活能力を上げた、と思ったんだけどね」
「俺もそう思ったんだがな。だけど、それならなぜ砂や土を巻き込むんだ?」
「足りないから代用として……」
そこが引っかかるんだ。
足りないから砂で埋める、そこまでならいい。
いや、あまりよさそうではないけど。
だが、その砂は元の肉体のように変わっていくのだ。
「恐竜の魔法じゃないかしら?」
「…そうなのかなあ」
「なんか納得してなさそうだよー」
「仕方がないわよ。まだ知らない魔法があって納得しにくいこともあるでしょうし」
まだ引っかかるが、いつまでもこうしてはいられないな。
「まあいっか。とりあえず時間が来るまで潰しておこう」
「そうだねー。あと何回待てばいいの?」
「予想だけど、明日には雨が降ると思うよ」
「うーん……。どうする?先に降らせちゃう?」
「1日ぐらい待とう。せっかくここまで来たんだから荒野を見て回りたい」
せっかく知らない土地にまで来たんだし、いろいろと歩き回ろう。
また来た時に困らないようにな。
そして俺たちは荒野を歩き回った。
恐竜と出会ったら倒し、また出会ったら倒しの繰り返し。
進めど進めど、特に変わることがないただ広いだけの荒野だった。
そんなことを繰り返し、俺たちはいつの間にか何キロか移動していた。
「…なあ」
「なにー?」
「また何か引っかかるの?」
「そのまたなんだが……」
恐竜を倒していくうちにまた引っかかることが増えてしまった。
「なんか、さっきと比べて恐竜の回復が早くないか?」
「なぜ一発で倒さないのかと思ったけど、そんなことをしていたのね」
「それでどうだと思う?」
「よくは分からなかったわ。個体差ではないかしら?」
「いや、全部の恐竜がそうだったんだよ」
倒しながら進んでいたため、差があまり分からなかったんだろう。
徐々に短くなっていたから気づきにくい。
じゃあなんで俺がそんなことを気づいたかって?
暇だから実験がてら数えていたんだ。
大体だが、最初に測ったときと今の差は1秒ほど。
ほぼ誤差に等しいレベルだ。
「まさか土に回復する要素が?」
スロウも気になったみたいで、土を手に取った。
少し土を見ると、がっかりしたように話しだした。
「…いや、そんなことはないな。微量に魔力があることしかわからないよ」
「その濃さってわかるか?」
「分かるけど、それが原因だと?」
「恐らく関係はしていると思う」
全く何もなく、ただの土なら俺の思い過ごしだっただろう。
回復能力が上がるのではなく、魔力があったのなら可能性はある。
そこから魔力を吸い取り、回復を早めたのかもしれないしな。
もしかして、さっきファラが言っていたことは合っていたのかもしれない。
恐竜はここから魔力を吸い取って、砂や土を肉体に変えていたのかも。
「向かっている先は花があるほうだし、花が近いほど魔力が高かったりするのかもねー」
「「「あっ!!」」」
「えっ、なになに?正解だった?」
確かに今向かっている先は、ファラが導き出した出現するかもしれない場所だ。
メルが何となく言ったことは正解なのかもしれない。
「まさかだが、花の近くは魔力が上がるのか……」
「これでも見つけることが出来たんだろうね」
「ああ。しっかりとヒントは他にもあったんだな。だが――」
だが、これは探しにくくないか?
普通地面の魔力、それも土という部分だけなんて見ないぞ。
見てもせいぜい大地、地脈をみるような大規模なやつだけだし。
「…待って、もしかして恐竜たちは鼻がいいわけではなく」
「魔力で探していた可能性もあるわね」
「君たちが来てから謎はどんどんと消えていく気がするよ……」
結局、なぜ恐竜に黒い核があるのかは分からなかったが、他にも花を見つける方法が一気に出てきた。
「それならダメもとでも次の雨に狙ってみるかい?」
「いや、それは遠慮しておくよ」
出来ないだろうと分かっていたとしてもやるべきだろうが、もう確実と言っていいほどの方法で手に入るんだ。
それならわざわざ確率が低い方をやらなくてもいいだろう。
「じゃあ恐竜狩りでもしていようか」
「…まあ、それでいいや」
競争率を下げておくために恐竜の数を減らす。
今となったらただの雑魚潰しでつまんないけど、ボーっとしているよりはマシか。
「そういえばまだ引っかかっていることがあるんだよなあ」
「引っかかること?」
「ああ、なんで恐竜にあんな核があるのか気になってな」
スロウも詳しくは知らないと言っていた。
でもなぜか気になった。
「僕は少しでも花を食べるために復活能力を上げた、と思ったんだけどね」
「俺もそう思ったんだがな。だけど、それならなぜ砂や土を巻き込むんだ?」
「足りないから代用として……」
そこが引っかかるんだ。
足りないから砂で埋める、そこまでならいい。
いや、あまりよさそうではないけど。
だが、その砂は元の肉体のように変わっていくのだ。
「恐竜の魔法じゃないかしら?」
「…そうなのかなあ」
「なんか納得してなさそうだよー」
「仕方がないわよ。まだ知らない魔法があって納得しにくいこともあるでしょうし」
まだ引っかかるが、いつまでもこうしてはいられないな。
「まあいっか。とりあえず時間が来るまで潰しておこう」
「そうだねー。あと何回待てばいいの?」
「予想だけど、明日には雨が降ると思うよ」
「うーん……。どうする?先に降らせちゃう?」
「1日ぐらい待とう。せっかくここまで来たんだから荒野を見て回りたい」
せっかく知らない土地にまで来たんだし、いろいろと歩き回ろう。
また来た時に困らないようにな。
そして俺たちは荒野を歩き回った。
恐竜と出会ったら倒し、また出会ったら倒しの繰り返し。
進めど進めど、特に変わることがないただ広いだけの荒野だった。
そんなことを繰り返し、俺たちはいつの間にか何キロか移動していた。
「…なあ」
「なにー?」
「また何か引っかかるの?」
「そのまたなんだが……」
恐竜を倒していくうちにまた引っかかることが増えてしまった。
「なんか、さっきと比べて恐竜の回復が早くないか?」
「なぜ一発で倒さないのかと思ったけど、そんなことをしていたのね」
「それでどうだと思う?」
「よくは分からなかったわ。個体差ではないかしら?」
「いや、全部の恐竜がそうだったんだよ」
倒しながら進んでいたため、差があまり分からなかったんだろう。
徐々に短くなっていたから気づきにくい。
じゃあなんで俺がそんなことを気づいたかって?
暇だから実験がてら数えていたんだ。
大体だが、最初に測ったときと今の差は1秒ほど。
ほぼ誤差に等しいレベルだ。
「まさか土に回復する要素が?」
スロウも気になったみたいで、土を手に取った。
少し土を見ると、がっかりしたように話しだした。
「…いや、そんなことはないな。微量に魔力があることしかわからないよ」
「その濃さってわかるか?」
「分かるけど、それが原因だと?」
「恐らく関係はしていると思う」
全く何もなく、ただの土なら俺の思い過ごしだっただろう。
回復能力が上がるのではなく、魔力があったのなら可能性はある。
そこから魔力を吸い取り、回復を早めたのかもしれないしな。
もしかして、さっきファラが言っていたことは合っていたのかもしれない。
恐竜はここから魔力を吸い取って、砂や土を肉体に変えていたのかも。
「向かっている先は花があるほうだし、花が近いほど魔力が高かったりするのかもねー」
「「「あっ!!」」」
「えっ、なになに?正解だった?」
確かに今向かっている先は、ファラが導き出した出現するかもしれない場所だ。
メルが何となく言ったことは正解なのかもしれない。
「まさかだが、花の近くは魔力が上がるのか……」
「これでも見つけることが出来たんだろうね」
「ああ。しっかりとヒントは他にもあったんだな。だが――」
だが、これは探しにくくないか?
普通地面の魔力、それも土という部分だけなんて見ないぞ。
見てもせいぜい大地、地脈をみるような大規模なやつだけだし。
「…待って、もしかして恐竜たちは鼻がいいわけではなく」
「魔力で探していた可能性もあるわね」
「君たちが来てから謎はどんどんと消えていく気がするよ……」
結局、なぜ恐竜に黒い核があるのかは分からなかったが、他にも花を見つける方法が一気に出てきた。
0
お気に入りに追加
2,002
あなたにおすすめの小説
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる