異世界最強のレベル1

銀狐

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奇跡の花

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「それにしても暇だなあ」
「それならダメもとでも次の雨に狙ってみるかい?」
「いや、それは遠慮しておくよ」

 出来ないだろうと分かっていたとしてもやるべきだろうが、もう確実と言っていいほどの方法で手に入るんだ。
 それならわざわざ確率が低い方をやらなくてもいいだろう。

「じゃあ恐竜狩りでもしていようか」
「…まあ、それでいいや」

 競争率を下げておくために恐竜の数を減らす。
 今となったらただの雑魚潰しでつまんないけど、ボーっとしているよりはマシか。

「そういえばまだ引っかかっていることがあるんだよなあ」
「引っかかること?」
「ああ、なんで恐竜にあんな核があるのか気になってな」

 スロウも詳しくは知らないと言っていた。
 でもなぜか気になった。

「僕は少しでも花を食べるために復活能力を上げた、と思ったんだけどね」
「俺もそう思ったんだがな。だけど、それならなぜ砂や土を巻き込むんだ?」
「足りないから代用として……」

 そこが引っかかるんだ。
 足りないから砂で埋める、そこまでならいい。
 いや、あまりよさそうではないけど。
 だが、その砂は元の肉体のように変わっていくのだ。

「恐竜の魔法じゃないかしら?」
「…そうなのかなあ」
「なんか納得してなさそうだよー」
「仕方がないわよ。まだ知らない魔法があって納得しにくいこともあるでしょうし」

 まだ引っかかるが、いつまでもこうしてはいられないな。

「まあいっか。とりあえず時間が来るまで潰しておこう」
「そうだねー。あと何回待てばいいの?」
「予想だけど、明日には雨が降ると思うよ」
「うーん……。どうする?先に降らせちゃう?」
「1日ぐらい待とう。せっかくここまで来たんだから荒野を見て回りたい」

 せっかく知らない土地にまで来たんだし、いろいろと歩き回ろう。
 また来た時に困らないようにな。

 そして俺たちは荒野を歩き回った。
 恐竜と出会ったら倒し、また出会ったら倒しの繰り返し。
 進めど進めど、特に変わることがないただ広いだけの荒野だった。

 そんなことを繰り返し、俺たちはいつの間にか何キロか移動していた。

「…なあ」
「なにー?」
「また何か引っかかるの?」
「そのまたなんだが……」

 恐竜を倒していくうちにまた引っかかることが増えてしまった。

「なんか、さっきと比べて恐竜の回復が早くないか?」
「なぜ一発で倒さないのかと思ったけど、そんなことをしていたのね」
「それでどうだと思う?」
「よくは分からなかったわ。個体差ではないかしら?」
「いや、全部の恐竜がそうだったんだよ」

 倒しながら進んでいたため、差があまり分からなかったんだろう。
 徐々に短くなっていたから気づきにくい。

 じゃあなんで俺がそんなことを気づいたかって?
 暇だから実験がてら数えていたんだ。

 大体だが、最初に測ったときと今の差は1秒ほど。
 ほぼ誤差に等しいレベルだ。

「まさか土に回復する要素が?」

 スロウも気になったみたいで、土を手に取った。
 少し土を見ると、がっかりしたように話しだした。

「…いや、そんなことはないな。微量に魔力があることしかわからないよ」
「その濃さってわかるか?」
「分かるけど、それが原因だと?」
「恐らく関係はしていると思う」

 全く何もなく、ただの土なら俺の思い過ごしだっただろう。
 回復能力が上がるのではなく、魔力があったのなら可能性はある。
 そこから魔力を吸い取り、回復を早めたのかもしれないしな。

 もしかして、さっきファラが言っていたことは合っていたのかもしれない。
 恐竜はここから魔力を吸い取って、砂や土を肉体に変えていたのかも。

「向かっている先は花があるほうだし、花が近いほど魔力が高かったりするのかもねー」
「「「あっ!!」」」
「えっ、なになに?正解だった?」

 確かに今向かっている先は、ファラが導き出した出現するかもしれない場所だ。
 メルが何となく言ったことは正解なのかもしれない。

「まさかだが、花の近くは魔力が上がるのか……」
「これでも見つけることが出来たんだろうね」
「ああ。しっかりとヒントは他にもあったんだな。だが――」

 だが、これは探しにくくないか?
 普通地面の魔力、それも土という部分だけなんて見ないぞ。
 見てもせいぜい大地、地脈をみるような大規模なやつだけだし。

「…待って、もしかして恐竜たちは鼻がいいわけではなく」
「魔力で探していた可能性もあるわね」
「君たちが来てから謎はどんどんと消えていく気がするよ……」

 結局、なぜ恐竜に黒い核があるのかは分からなかったが、他にも花を見つける方法が一気に出てきた。
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