異世界最強のレベル1

銀狐

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奇跡の花

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「恐竜の方は分かったが、花については他に情報がないのか?」
「あるにはあるよ。奇跡の花と言っても所詮花、雨が降らないと咲かないんだ」

 大体の植物は水が必要だから、まあそうだよな。
 日光の方は十分すぎるぐらいあるし。

「待って、この荒野に雨が降るの?」
「週に1回、最低月に1回雨が降るんだよ」
「じゃあその時がチャンスってことか」
「そういうこと!」

 そうなると週に1回。
 運が良くて1回目で採れる可能性があるけど、この広い荒野だとまずないな。

「そういえばこの荒野ってどれぐらい広いんだ?」
「およそ9万平方キロメートルだね」

 それは、どれぐらい広いんだ?
 まあ広いと言うことは分かった。
 だが具体的な数字を言われても、いまいちパッとしない。
 何か例を挙げられてくれればいいんだが、こっちの世界ので例を出されても分からない。

「どれぐらい広いんだろう……」
「北海道が丸々入るぐらいだわ」
「えっ、そんなに広いの?」
「というかよく知っているね!」
「前に一度気になって調べたのよ。たまたま覚えていたわ」

 と言っても、普通覚えていられないでしょ。
 流石魔法全部覚えているだけあるなあ。

「広すぎるけど、どこかで待っていればまた咲いたりするんじゃないのか?」
「葉っぱの場所から考えるに、まったく同じ場所というのはないね。近くても500メートルは離れているよ」

 そうなると地道に待つのも無理なのか。
 雨を狙って飛び回るのかあ。
 もっといい方法がないだろうか。

「…あ、いい方法あった」

 1つだけいい方法、と言えるかは分からないが思いついた。

「どういう方法なの?」
光映像ライト・ヴィジョンを使うんだ」

 やることは簡単だ。
 たくさんの光映像ライト・ヴィジョンを使い、咲いたらそこへ向かう方法だ。

「でもけっこう使ううえに、量が多くて見きれるかしら?」
「それが問題なんだよなあ……」

 光映像ライト・ヴィジョンで見れる範囲は精々100平方メートル。
 9万平方キロメートルだと数を数えたくないぐらい必要だ。

「それなら別の法方がいいと思うわ」
「ねえねえ!もっと簡単な方法があるよ!」
「「「それは?」」」
「雨を降らせればいいんだよ!もっとたくさんね」

 あぁ!普通にそうすればいいじゃん!
 探す方ばっかりに目が行ってて気づかなかった。

「いい案だと思う、でもそれは無理だよ」
「なんでー!?」
「雨を降らせる魔法がないからだよ。だから無理なんだ」

 そうか、忘れていた。
 俺たちだと普通に考えていたが、俺たちの普通はこっちだと通用しない。

「俺たちは雨を降らせることができるんだ」
「何を言っているんだい?確かに人間ではない2人ならできそうだが、この世界ではできたという報告すら上がって来ないんだ」
「まあ見れば信じるだろう?」
「…まあ、見ればだけど」

 まず見せたほうが早いだろう。

「じゃあいくぞ」

 俺の合図に合わせてファラとメル、そして俺は魔法を唱えた。

「「「レイン!」」」

 魔法を使った瞬間に雨が降ってくる、というわけではなかった。

「ほらやっぱり、降るわけがない」
「まあまあ、見てなって」

 少しずつだが、雲が動き始めた。
 やがて雲が変わっていき、ポツポツと雨が降り始めた。

「ほらな?降ってきただろ」
「そんな馬鹿なことが……」

 スロウは驚きのあまり、空を見つめている。
 そこまで珍しいとは思わないけど。

「いや、たまたま今日だったとか……。違うな、2、3日前に降ったばかりだ。やっぱりこれは……」

 そんな時だった。
 たくさんの恐竜たちの足音、地響きが響き始めたのだ。

 そして我に返ったスロウが話し出した。

「まずい!恐竜たちが動き始めた!」
「ということは……」
「ああ!花が咲いたかもしれない!」

 実験は成功、というわけか。
 まずいな、俺たちは恐竜たちと違って嗅覚がいいわけではない。
 飛んで探すしかないのか。

「俺たちは先に飛んで探しに行く!」
「分かった!僕は下から走っていく。早く向かおう!」

 俺とファラとメルは飛びながら、スロウは走って追ってきた。
 飛んでる俺たちのほうが速いと思ったが、あまり差はなかった。

 俺たちは恐竜たちが向かう先を予測し、先回りをするために急いだ。
 ようやくその場所に着いたとき、俺たちはあるものを目にした。

「くそっ!もう花がない!!」

 そこには花はなく、葉っぱの部分しか残ってなかった。
 さっき見た葉っぱと全く同じだったからあっているはずだ。

「こんなにも採るのが早いのか……」
「そうだね。でもこれを繰り返せばすぐ手に入るかもしれないよ」

 簡単に言ってくれるなあ。
 まあ見つけるまで続けるつもりだが、これなら思っていた日より早く終わるかもしれない。
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