異世界最強のレベル1

銀狐

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奇跡の花

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 翌朝。
 俺は早めに起きてしまった。
 なんだかんだでこっちに来てからは早寝早起きをしている。

 みんなと合流するために俺はリビングへと向かった。

「おはようございます」
「おはよう、早いな」
「執事ですので」

 と、答えながら朝ごはんの準備をするように指示をしていた。
 こんなに朝早くから仕事なんて。
 朝から仕事って大変だよな。

「おはよう」
「おっはよー!」

 ファラとメルも起きてリビングにやってきた。
 早起きしている俺もそうだけど、二人の生活習慣はしっかりしているな。

「二人ともおはよう」
「あれ?ここで食べるの?」

 実はこの家にはしっかり食堂がある。

「だって食堂遠いじゃん」
「そうだけどさぁ……」

 言いたいことは分かる。
 でも朝から移動するのは面倒くさいんだもん。

「朝だけはこっちにさせて!」
「むぅ……」
「しょうがないわね。朝だけよ」
「よし!」

 なんか我儘を言っている子供のような扱いだけど。

 朝から1階に行ったり2階に行ったり移動するのは面倒くさいからなあ。
 こうまでしてお願いするほどでもある。

「それでは今後、そうするようにメイドたちに言っておきます」
「朝だけだけど、頼むよ」
「かしこまりました」

 こうして俺たちはリビングで朝食を食べた。
 量は…絶対3人だけではない。
 てっきりダンやメイドたちの分まであるのかと思ったけど、それも違う。

 なんで俺たち3人のためにバイキングをつくっているんだよ!
 絶対余るし、金の無駄だし食材がもったいない。

 と思ったけど、余ったらお昼のメイドたちのごはんになるみたい。
 人気の食べ物はお肉。

 …朝から入らないからそんなに食べないって。
 『残して!』みたいな目で見ないでくれ!

 朝食後、身支度も済んでいるため後は移動するだけだ。

「それでどちらまで行かれるんですか?」
「あー……」

 そういえば正確な場所までは見ていなかった。
 ここから歩いて10日ぐらいしか知らない。

 もう1度、依頼書をよく読んでみよう。
 表には絵で、裏に詳細が書かれていた。

「えっと、東の荒野ロールだってさ」

 ん?俺たち花を探しに行くんだよな?
 それなのに荒野って……。
 本当にあるのか?

「その依頼は聞いたことがあります。たしかスロウ様が受けていたはずでは……」
「スロウ、ってのは有名なのか?」
「ええ、大変有名な方ですので」

 Sレベルなんだから有名なのか?
 俺たちが冒険所に行ったときもみんな知っていたようだし。
 でも受けた依頼まで知っているってやばいな。

 ダンは依頼を聞くと、何か考え始めた。

「そうですね、旅はおよそ1年ぐらいでしょうか?」
「いやいや、そんなに長く空けないから!」

 そんなに長くなると思っていたのか!?
 俺だったら嫌だよ、一つのクエストにそんなに時間を使うなんて。

「そうだな、長く見積もって1ヵ月ぐらいかな」
「そんなに早くですか……?」
「ああ、それ以上時間がかかりそうなら一旦戻ってくるよ」

 生存確認の方もあるし。
 そこまで長く滞在するつもりはない。

 その後、俺たちは出かけるために道の確認をすることにした。

「ロールに行くのでしたら飛んでいくと楽ですね」
「ダンは飛行魔法を使えるのか?」
「いえ、スロウ様が飛んで行かれたので」

 自分じゃないのかい!
 でもまあ、元々飛ぶつもりだったけど。

 道の確認も終わり、俺たちは外に出た。

「それじゃあちょっと行ってくるわ」
「いってらっしゃいませ」

 俺たちは飛行魔法を使い、東に向かい飛び始めた。

「どれぐらいで着くかなあ……」

 歩いて十日だと結構遠いよな?
 早めに着くよう、俺たちは速度を徐々に上げていった。

 風景は山、森、草原を繰り返していた。
 歩いて十日、遠いだけはある。

 ようやく茶色いものが見え始めたのは5時間も飛んだ後だった。

「ここが…ロール……?」

 荒野は果てしなく続いていた。

 こんな広いところから一つの花を探すなんて馬鹿なのか?
 雪山と言い荒野と言い、こっちの依頼は面倒くさいのばっかりだな。
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