異世界最強のレベル1

銀狐

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奇跡の花

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「はい、これは受け取ってね」
「これは、依頼の報酬か?」
「そう。千枚でさっきより少ないけど」

 流石にこれは貰っておこう。
 依頼達成っていう気がするからという理由だけだけど。

「次にやることはもう決まったの?」
「いや、まだ決めていないな。何かやりたいことある?」
「今のところはないわ」
「僕も特にこれといっては――あっ!」
「何かあった?」
「家だよ、家!まだ入っていない!」

 そういえば忘れていた。
 わざわざ拠点のために家を用意させたのにまだ家すら見ていない。

「ということで先に家に行くよ」
「まさか、みんな一緒に住むつもりなの?」
「「「そうだけど?」」」

 変なこと言ったか?
 なんでそんなに驚いているんだか。

「…そういう事ね。まさか二人は結婚していたなんて」
「えっ?」

 ああ、そういう事か。
 男と一緒に住むからそういう風に思ったのか。

 俺たちはパーティだから一緒にいるから一緒に住むだけなんだけど。
 それに自分で言って悲しいけど、俺には不釣り合いだろうし。

「そういうわけではなくて――」
「そうよ。実は結婚しているの」
「二人と結婚なんて珍しいけどね!」
「えっ……?」

 どういう事?
 なんでそうなったの?

「どういう――」

 理由わけを聞こうとしたら睨まれた。
 これは話を合わせてってこと?
 でもなんでこんな嘘を。

「へ、へぇ。でも二人と結婚は珍しくないよ。一夫多妻は貴族だと結構あるし」
「そうなんだ」
「うん。こんな私でも話は来たけど、断ったわ」

 …その人絶対ロリコンじゃん。
 サリーさんは見た目は普通の子供だぞ。

「そうだ、よかったらだけどこの依頼を受けてみない?」
「これは?」
「現在進行形で受けている人がいるけど」

 依頼は討伐ではなく、採取。
 採取なのに特Sレベルだ。

 なるほど、俺たちにはいい難易度ってことか。

「ん?今さっき現在進行形って言っていたよな?」
「そうなの。他のSレベル冒険者と一緒にどうかなあって」

 他のSレベルが受けているなら別にいいんじゃないのかな。
 横入りするのもなんか申し訳ないし。

「受けているなら別にいいんじゃないか?」
「たしかにそう思うけど、もう2、3年戻ってきてないんだよ」

 生存確認も兼ねてってことか。
 そこまで長いと確かに心配になるな。

「そういう事なら構わないけど、それって俺たちもそれぐらいかかるんじゃないのか?」
「大丈夫じゃないかな?一応依頼の場所は遠いけど10日ぐらいで着くし」
「歩いて10日か?」
「そうだよ。普通の人は飛ばないし」

 それで帰って来ないって期待できないんじゃないのか?
 でもせっかく勧められたからやるけど。

「それで何の依頼なの?」
「採取だけど、なにこれ?」

 一枚の手書きの絵が描かれている。
 見た感じ普通の花っぽいけど。

「これは奇跡の花、サンって呼ばれている花だよ」
「奇跡の花?」
「そうなの。この花でつくった薬草を飲ませると死んだ人も生き返るって言われているの」

 死んだ人を蘇らせるって、本当か?
 ゲームならまだわかるけど。

「わかった。家を見た後に行ってみるよ」
「ありがとう!助かるよ!」

 こうして俺たちの次の依頼が決まった。
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