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氷山の討伐
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俺たちは依頼が終わり、ガルガン王国へと戻ってきた。
あの大きな目玉だが、手で持つと邪魔だからアイテムボックスに放り込んだ。
どれだけ大きくてもアイテムボックスは個数製。
こういう大きいものを入れる時には便利だと思う。
そして報告をしに冒険所へやってきた。
「次の方どうぞー」
少し並んでいてようやく俺たちの番。
俺は受けた依頼の依頼書と冒険者カードを出した。
「これの依頼が終わったから報告に来ました」
「えっ……」
受付の人は驚いて固まっていた。
まあ、特Sレベルの依頼だからそうなるだろうなあとは予想していた。
でもずっと固まっていては困る。
「あのー」
「は、はい!えっと、依頼達成の証拠とかってあるでしょうか?」
「あるけど、大きくて邪魔になるからここだと……」
「それでしたら奥へどうぞ」
そう言うと、カウンターのドアを開けた。
どこの冒険所でも奥の部屋はあるみたい。
こういう依頼の確認や受付の人達の待合室のように使っているんだろう。
そう言えばここの冒険所にはマスターっているのかな?
あの小さな町でもいたんだからいそうだけど。
「失礼します」
「どうぞ!」
「えっ、サリーさん?」
「そうだよ!こんなに早く再会するとはね」
そこにはクラーの町の冒険所でマスターをやっているサリーさんがいた。
「まさか転勤ですか?」
「違うわよ!マスターになれる人が少ないからこういう大切な依頼の時は移動しているのよ」
「へぇー、めちゃくちゃ大変じゃないですか」
「そう。だからこういう依頼を受けないと嬉しいんだよねー」
それじゃあ冒険所の意味がないじゃないか。
この人、マスターと呼ばれているのに面倒くさがりみたいだな。
「特Sレベルの依頼を受けた人がいると聞いてもしやとは思ったけど……」
「正解でしたか?」
「そうね。名前を聞く前にもう移動のことを考えていたわ。すぐ終わるだろうと思って」
流石マスターになっただけはある。
考えが早い。
「それで依頼の証拠を見せてもらってもいいかな?」
「いいですよ。どうぞ」
俺はアイテムボックスから大きな目玉を取り出した。
相変わらずグロいなあ。
「ふむふむ、なるほど……」
「どうですか?」
「…分からない!!」
分からないのかよ!
ってそれじゃあ持ってきた意味ないじゃないか!
「安心して。今回の依頼は元々終わった時点で調査隊を派遣するものだから」
「なんだ、しっかりとそういうのがあったんだ……。なら持って来なくてよかったじゃん」
「そんなことないよ。これは今まで調べられたことが無い生き物の一部分なんだから」
あんなにもでかいアイスマウンテンロックは一般的にも知られていない。
だからその一部分は大変貴重なんだろう。
「それでなんだけど、これを売ってくれないかしら?」
「この目玉を?」
正直俺たちが持っていてもゴミにしかならない。
何かの武器や強化アイテムになるかと言われたら無理だろう。
何せただのでっかい目玉なんだから。
「別に構わないけど」
「そうね、言いたいことは分かっているわ。金額の方でしょう、安心して。研究所に売るからたくさんもらえるわよ」
「いや、別に金の方はいいよ」
「……えっ?」
あまりにも驚きでこっちによってきた。
5センチぐらいしか顔と顔の距離がないほど近い。
「近い近い。なんでそんなに驚くんだよ」
「驚くわよ!世紀の大発見ともいえる生物なんだよ!?」
「別に俺はそういうのはいいんだけど」
だって、こいつもうこの世にはもういないだろうし。
また戦えるなら情報は欲しいけど。
「ならそのお金をサリーさんにあげるよ。冒険者になった時迷惑をかけただろうし」
「なっ…なっ……」
今度は驚いて固まっちゃった。
この人、見ているだけで面白いな。
「…一応だけど、これがどれぐらいするか分かっている?」
「ん?そうだなあ、金貨五百枚ぐらい?」
「…一万枚だよ」
「一万!?」
おいおい、依頼の10倍じゃないか!
報酬が少し少ないと思ったが、討伐したモンスターを出せばもっと貰えるシステムだったのかよ。
でも言ってしまったことだからな。
男に二言はない。
それにお金ならいくらでもあるし。
「まあ、それでもかまわないよ。あげる」
「…はっ!もしかして――」
「ん?」
「もしかして私の体が目当てなの……?」
何か言いだしたんだけど。
「違うって!迷惑をかけたからそのお礼だって!素直に受け取ってくれよ!」
「ねえねえファラ」
「なに、メル」
「やっぱりディラってさ――」
「…もう言わないであげよう。もう私たちが変わるしか方法がないみたいなんだから」
「小さくなれる魔法ってあるかなあ……」
「俺はロリコンじゃないからな!?」
なんでだろう。
俺はこの人と関わるとロリコンへ一歩進んでいるように感じる。
あの大きな目玉だが、手で持つと邪魔だからアイテムボックスに放り込んだ。
どれだけ大きくてもアイテムボックスは個数製。
こういう大きいものを入れる時には便利だと思う。
そして報告をしに冒険所へやってきた。
「次の方どうぞー」
少し並んでいてようやく俺たちの番。
俺は受けた依頼の依頼書と冒険者カードを出した。
「これの依頼が終わったから報告に来ました」
「えっ……」
受付の人は驚いて固まっていた。
まあ、特Sレベルの依頼だからそうなるだろうなあとは予想していた。
でもずっと固まっていては困る。
「あのー」
「は、はい!えっと、依頼達成の証拠とかってあるでしょうか?」
「あるけど、大きくて邪魔になるからここだと……」
「それでしたら奥へどうぞ」
そう言うと、カウンターのドアを開けた。
どこの冒険所でも奥の部屋はあるみたい。
こういう依頼の確認や受付の人達の待合室のように使っているんだろう。
そう言えばここの冒険所にはマスターっているのかな?
あの小さな町でもいたんだからいそうだけど。
「失礼します」
「どうぞ!」
「えっ、サリーさん?」
「そうだよ!こんなに早く再会するとはね」
そこにはクラーの町の冒険所でマスターをやっているサリーさんがいた。
「まさか転勤ですか?」
「違うわよ!マスターになれる人が少ないからこういう大切な依頼の時は移動しているのよ」
「へぇー、めちゃくちゃ大変じゃないですか」
「そう。だからこういう依頼を受けないと嬉しいんだよねー」
それじゃあ冒険所の意味がないじゃないか。
この人、マスターと呼ばれているのに面倒くさがりみたいだな。
「特Sレベルの依頼を受けた人がいると聞いてもしやとは思ったけど……」
「正解でしたか?」
「そうね。名前を聞く前にもう移動のことを考えていたわ。すぐ終わるだろうと思って」
流石マスターになっただけはある。
考えが早い。
「それで依頼の証拠を見せてもらってもいいかな?」
「いいですよ。どうぞ」
俺はアイテムボックスから大きな目玉を取り出した。
相変わらずグロいなあ。
「ふむふむ、なるほど……」
「どうですか?」
「…分からない!!」
分からないのかよ!
ってそれじゃあ持ってきた意味ないじゃないか!
「安心して。今回の依頼は元々終わった時点で調査隊を派遣するものだから」
「なんだ、しっかりとそういうのがあったんだ……。なら持って来なくてよかったじゃん」
「そんなことないよ。これは今まで調べられたことが無い生き物の一部分なんだから」
あんなにもでかいアイスマウンテンロックは一般的にも知られていない。
だからその一部分は大変貴重なんだろう。
「それでなんだけど、これを売ってくれないかしら?」
「この目玉を?」
正直俺たちが持っていてもゴミにしかならない。
何かの武器や強化アイテムになるかと言われたら無理だろう。
何せただのでっかい目玉なんだから。
「別に構わないけど」
「そうね、言いたいことは分かっているわ。金額の方でしょう、安心して。研究所に売るからたくさんもらえるわよ」
「いや、別に金の方はいいよ」
「……えっ?」
あまりにも驚きでこっちによってきた。
5センチぐらいしか顔と顔の距離がないほど近い。
「近い近い。なんでそんなに驚くんだよ」
「驚くわよ!世紀の大発見ともいえる生物なんだよ!?」
「別に俺はそういうのはいいんだけど」
だって、こいつもうこの世にはもういないだろうし。
また戦えるなら情報は欲しいけど。
「ならそのお金をサリーさんにあげるよ。冒険者になった時迷惑をかけただろうし」
「なっ…なっ……」
今度は驚いて固まっちゃった。
この人、見ているだけで面白いな。
「…一応だけど、これがどれぐらいするか分かっている?」
「ん?そうだなあ、金貨五百枚ぐらい?」
「…一万枚だよ」
「一万!?」
おいおい、依頼の10倍じゃないか!
報酬が少し少ないと思ったが、討伐したモンスターを出せばもっと貰えるシステムだったのかよ。
でも言ってしまったことだからな。
男に二言はない。
それにお金ならいくらでもあるし。
「まあ、それでもかまわないよ。あげる」
「…はっ!もしかして――」
「ん?」
「もしかして私の体が目当てなの……?」
何か言いだしたんだけど。
「違うって!迷惑をかけたからそのお礼だって!素直に受け取ってくれよ!」
「ねえねえファラ」
「なに、メル」
「やっぱりディラってさ――」
「…もう言わないであげよう。もう私たちが変わるしか方法がないみたいなんだから」
「小さくなれる魔法ってあるかなあ……」
「俺はロリコンじゃないからな!?」
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