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氷山の討伐
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昔からこの洞窟に住んでいる。
それに冒険所がないと言っていた。
「もしかしてこの雪山から外に出たことない?」
「いえ、ありますよ。たしか…草原でした」
ん?草原?
俺たちが来たのは森で季節が違った、なんてことはなだろうし。
あの森ができる前とも考えにくい。
「あぁ、もしかして俺たちが出てきたところではなく別のところから外へ行った?」
「そうです。ちょうど反対のあっちの方からでました」
そういうことか。
そっちの方はまだ知らない。
雪の中、俺たちは真っすぐに進んでいたはずだからな。
ここを越えると、向こう側には草原が広がっているのだろう。
「洞窟で住んでいるって話だけど、ここの人は普段何を食べているんだ?」
「農作物がありますよ。あの光でも十分育ちます。他には狩りに行っていますね」
「「「狩り?」」」
「よかったら一緒に行きますか?」
Lv.1000の狩りか。
レベルカンストの俺が言うのもなんだが、気になる。
「じゃあ行こうかな」
「さんせー!」
「どんなのがいるのかしら」
二人も興味津々みたい。
やっぱ新しいモンスターは気になるものだ。
「ではさっそく行きましょう」
「その格好でいいのか?」
「ええ。私はもう慣れたので大丈夫です」
「慣れた?外に行くとか?」
「ええ、そうです」
またあの猛吹雪の中に行くのか。
というか一回もそんなやつ見なかったぞ。
「本当にあんな暴風雪の中にいるのか?」
「ええ。ただ普通にしていては会えません」
「ほう……」
ここまで来るとき、何かがいる気配がなかった。
普通では会えないと言っているんだし、実際に見たほうがいいか。
俺たちは外に出て少しだけ進み、立ち止まった。
「こんな近くでいいのか?」
「ええ。まず見本を見せるので見ていてください」
そう言うと、雪の中にズボッと手を突っ込んだ。
「何しているんだ?」
「敵を呼び寄せているんです。そろそろ来ますよ」
突然、地面が膨らみ始めた。
それも相当大きい、地面の中に何かいるぞ!
「出てきました!冷土のモグラ、アイスモールです!」
でっけぇ……。
モグラっていうレベルじゃないぞ。
体長は3メートルを超えているし。
「こいつが獲物です」
「どうやって釣ったんだ?手を入れているだけにしか見えなかったけど」
「手を動かし、餌だと思わせたんです。こいつらにとって人間は、ほどよく大きい餌だと思っているので」
おいおい、そうなるとミアはマジで危なかったってことじゃねぇか。
本当に運がよかったな。
「ンガアアア!!」
「こっちに来たぞ」
「大丈夫です。燃え盛る矢!」
火でつくられた矢は、モグラに目掛けて飛んだ。
数は合計で10本、全部貫いた。
「おいおい…そんなに撃たなくてもよかったんじゃないの?」
「実はこのモグラ、一体一体の心臓の位置がバラバラなんです。ですので勘で撃つのですが、慣れればある程度この辺というのが分かります」
なるほど、そういうことか。
よく見ると、矢の位置が少し寄っていたりしている。
でもいい方法だとは思わないなあ。
「あの、驚かれないんですね」
「えっ?ああ、でもこれなら俺でもできそうだなあ」
「そういうわけではなく、あんな大きな生き物が急にでてきたら普通驚くかと……」
そっちか。
と言っても俺たちはドラゴンとかもっと大きい動物を倒していたし。
そうでもないかなあ。
「実際にやってみますか?」
「いいのか?」
「ええ、数は多いので。お二方もどうです?」
「やる!」
「じゃあ私もやろうかしら」
というわけで、みんなで仲良くモグラ釣り。
同じ事をやるなら、みんなで手を突っ込むんだろ?
何かシュールな光景になりそうだなあ。
「手を入れた後、アイスモールが襲い掛かってくるので、出てくると思ったら手を抜いてください」
「抜かなかったら?」
「噛まれます」
あ、噛まれるだけなんだ。
えっと、確かこうだっけか?
来る気配がなさそうだけど。
上手く動かさないと来ないのかなあ。
3分後、何やら下から音がしてきた。
これはもしかして……!
「「「釣れた!!」」」
「皆さん手を噛まれてますけど!!」
だって、こうしないと逃げられるかもしれないじゃん。
二人とも噛まれていたってことは同じことを考えていたのかな。
「どうするんですかその手は!噛みちぎられますよ!!」
「大丈夫だって、二人ともいくぞ!」
「「「雷帝雷手!」」」
心臓の位置が分からない。
探すのもめんどくさい。
それなら別の方法で倒せばいいんだ。
「えっ…何が起こって……」
「これでいいんだろう?」
「は、はぁ……」
それにしてもモグラって食えるのか?
美味そうには見えないけどなあ。
それに冒険所がないと言っていた。
「もしかしてこの雪山から外に出たことない?」
「いえ、ありますよ。たしか…草原でした」
ん?草原?
俺たちが来たのは森で季節が違った、なんてことはなだろうし。
あの森ができる前とも考えにくい。
「あぁ、もしかして俺たちが出てきたところではなく別のところから外へ行った?」
「そうです。ちょうど反対のあっちの方からでました」
そういうことか。
そっちの方はまだ知らない。
雪の中、俺たちは真っすぐに進んでいたはずだからな。
ここを越えると、向こう側には草原が広がっているのだろう。
「洞窟で住んでいるって話だけど、ここの人は普段何を食べているんだ?」
「農作物がありますよ。あの光でも十分育ちます。他には狩りに行っていますね」
「「「狩り?」」」
「よかったら一緒に行きますか?」
Lv.1000の狩りか。
レベルカンストの俺が言うのもなんだが、気になる。
「じゃあ行こうかな」
「さんせー!」
「どんなのがいるのかしら」
二人も興味津々みたい。
やっぱ新しいモンスターは気になるものだ。
「ではさっそく行きましょう」
「その格好でいいのか?」
「ええ。私はもう慣れたので大丈夫です」
「慣れた?外に行くとか?」
「ええ、そうです」
またあの猛吹雪の中に行くのか。
というか一回もそんなやつ見なかったぞ。
「本当にあんな暴風雪の中にいるのか?」
「ええ。ただ普通にしていては会えません」
「ほう……」
ここまで来るとき、何かがいる気配がなかった。
普通では会えないと言っているんだし、実際に見たほうがいいか。
俺たちは外に出て少しだけ進み、立ち止まった。
「こんな近くでいいのか?」
「ええ。まず見本を見せるので見ていてください」
そう言うと、雪の中にズボッと手を突っ込んだ。
「何しているんだ?」
「敵を呼び寄せているんです。そろそろ来ますよ」
突然、地面が膨らみ始めた。
それも相当大きい、地面の中に何かいるぞ!
「出てきました!冷土のモグラ、アイスモールです!」
でっけぇ……。
モグラっていうレベルじゃないぞ。
体長は3メートルを超えているし。
「こいつが獲物です」
「どうやって釣ったんだ?手を入れているだけにしか見えなかったけど」
「手を動かし、餌だと思わせたんです。こいつらにとって人間は、ほどよく大きい餌だと思っているので」
おいおい、そうなるとミアはマジで危なかったってことじゃねぇか。
本当に運がよかったな。
「ンガアアア!!」
「こっちに来たぞ」
「大丈夫です。燃え盛る矢!」
火でつくられた矢は、モグラに目掛けて飛んだ。
数は合計で10本、全部貫いた。
「おいおい…そんなに撃たなくてもよかったんじゃないの?」
「実はこのモグラ、一体一体の心臓の位置がバラバラなんです。ですので勘で撃つのですが、慣れればある程度この辺というのが分かります」
なるほど、そういうことか。
よく見ると、矢の位置が少し寄っていたりしている。
でもいい方法だとは思わないなあ。
「あの、驚かれないんですね」
「えっ?ああ、でもこれなら俺でもできそうだなあ」
「そういうわけではなく、あんな大きな生き物が急にでてきたら普通驚くかと……」
そっちか。
と言っても俺たちはドラゴンとかもっと大きい動物を倒していたし。
そうでもないかなあ。
「実際にやってみますか?」
「いいのか?」
「ええ、数は多いので。お二方もどうです?」
「やる!」
「じゃあ私もやろうかしら」
というわけで、みんなで仲良くモグラ釣り。
同じ事をやるなら、みんなで手を突っ込むんだろ?
何かシュールな光景になりそうだなあ。
「手を入れた後、アイスモールが襲い掛かってくるので、出てくると思ったら手を抜いてください」
「抜かなかったら?」
「噛まれます」
あ、噛まれるだけなんだ。
えっと、確かこうだっけか?
来る気配がなさそうだけど。
上手く動かさないと来ないのかなあ。
3分後、何やら下から音がしてきた。
これはもしかして……!
「「「釣れた!!」」」
「皆さん手を噛まれてますけど!!」
だって、こうしないと逃げられるかもしれないじゃん。
二人とも噛まれていたってことは同じことを考えていたのかな。
「どうするんですかその手は!噛みちぎられますよ!!」
「大丈夫だって、二人ともいくぞ!」
「「「雷帝雷手!」」」
心臓の位置が分からない。
探すのもめんどくさい。
それなら別の方法で倒せばいいんだ。
「えっ…何が起こって……」
「これでいいんだろう?」
「は、はぁ……」
それにしてもモグラって食えるのか?
美味そうには見えないけどなあ。
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