異世界最強のレベル1

銀狐

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vsメルメシア王国

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「じゃあ戻ろうか」
「ああ。デルガン、我々も行こう」
「国王様、肩をお貸ししますよ」
「すまない、ありがとう」

 すっかり丸くなった国王はデルガンさんの肩を借りた。
 男の友情っていいけど、おっさん同士だと少し微妙。

 最前線で戦って負傷した者は全員無事に助かった。
 シャゼルさんはもう元気で国王が通るための道をつくっている。

 俺たちは国内にまで戻り、国王や最前線にでた人達を見た国民は安心した顔をしていた。
 城に着くと、国王は早急に全隊長を集めるよう命令を下した。

「ディラ、無事だったのね」
「ファラ。そっちの方はどうだった?」
「全員無事よ。ただ気絶させられていただけだったわ」
「それは良かった。それと、ごめん……」
「構わないわ。ディラは私たちのリーダーなんだから。リーダーが決めたことに従うだけだわ」

 ファラは慰めるために、俺の肩にポンッと手を置いた。

「ディラさん、皆が集まりました」

 デルガンさんが俺に報告しにやって来た。

「そうか、でも俺たちはそろそろ行くよ」
「えっ、会議に出ないんですか?」
「ああ、後は国王とみんながいれば大丈夫だろう?」

 俺も会議に出て意見を言いたい。
 だけど、もし俺の意見が通ると、このまま助言し続けないといけなくなる。

「国王に『ディラ達は旅に出た』と言えば納得するよ」
「本当でしょうか?」
「ああ、今の国王ならしっかり分かるだろうからな」
「は、はあ……」

「それでどちらに行かれるのですか?」
「冒険者らしく何かの依頼を受けようかなって」

 冒険者になってからまだ一度も依頼を受けていない。
 ヴェルのこともあるが、少し別のことをしたい。

「そうですか。隊長の私はすぐ行かないといけないので、お見送りができませんが」
「いいよそんなの。じゃあ後は頑張れよ」
「はい!二度とこんなことを繰り返さないよう、国王様と一緒に進んでいきます。本当にありがとうございました!!」
「ああ、じゃあな!」

 こうして俺たちはガルガン王国の城を後にした。

 俺たちが向かった先はガルガン王国内にある冒険所。
 何かいい依頼がないか掲示板を見たが、Sレベルの依頼が少ない。
 その中で唯一あった特Sレベルの依頼を俺は手に取った。

「これなんてどうだ?氷結の大ゴーレム―アイスマウンテンロックの討伐」
「いいわね。面白そうだわ」
「僕もさんせー!初めて聞く敵だし楽しみ!」
「じゃあこれを受けようか!」

――――――――――――――――――――――――――――――――

「ガルガン王国とメルメシア王国は条約を結んだみたい」
「そうですか。さすがディラさんです」
「いいえ、国王同士でやったみたい」
「ディラさんなしに……。ガルガン国王ですか」

 場所は雲の上。
 雲の上にはヴェルとエマ、それとシンがいた。
 エマは溶けたことが原因で、まだしゃべることができない。

「それで次はどこを呼ぶの?」
「そうですね。次は地獄を呼ぼうと思っています」
「分かった。生贄はどうするの?」
「今探しています。次はどこがいいですかね」

 ヴェルは雲が晴れてきた目の前を見た。
 その先に大きな国が見える。

「ここがいいかもしれませんね」
「わかった。早速行こう」
「ええ。少し物寂しいですが、精一杯楽しみましょう……!」
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