29 / 60
vsメルメシア王国
24
しおりを挟む
「うおおお!!」
「うーん……」
凶器を持って襲ってきているが、所詮初心者がナイフを振り回しているだけ。
対人戦でプロ相手にしていたから避けるのは簡単だ。
「はぁ…はぁ……」
「ごめん、少し寝ててもらうよ。催眠」
「うぐっ!?」
寝起きの運動にしてはいいが、このまま続けると国王の身体が危ない。
ただでさえ疲労で弱っているんだ。
これ以上無理に動くと自分で自分を殺してしまう。
だから眠ってもらった。
国王を運ぶために給仕をしている人を見つけ、国王を運んでもらった。
それと勝手に動くと危ないから看病も頼んだ。
国王と一緒に俺が持っていた疲労回復の薬草を渡した。
国王の移動が終わった時には、夜が明けていた。
「もう朝か。今から寝るのもなんだし、このまま起きているか」
一応寝たには寝たからな。
ただ、嫌な夢を見た上に最悪な起き方だったが。
「二人が起きるまでに、やっておきたいことを終わらせておくか」
この城にいる人は日の出と共に起きる人が多い。
メイドや執事はもちろん、戦闘部隊も起きている。
やっておきたいことは、全部隊の隊長の召集だ。
俺たち3人で話し合ってもこの国の戦力がどれほどか知らない。
戦力を知りたいという理由と作戦の相談に乗ってもらうためだ。
「あれ?ディラさんじゃないですか」
「デルガンさんか。ちょうどよかった」
「どうかされたんですか?」
「作戦会議をしたいから隊長全員を集めてほしいんだ」
「なるほど、わかりました。早急に集めます」
後はファラとメルの二人が起きてくれるのを待つだけだ。
国王も参加したほうがいいと思ったけど、一緒に参加してもまた襲い掛かってきそうだし。
それに今は休ませておいた方がいい。
「ディラだよね?何しているの?」
「本当だわ、早起きなんてするのね」
「まあちょっと訳があってね」
国王については軽く話しておいた。
国王は参加するべきか聞いてみたら、俺と同じで休むべきという意見だった。
デルガンさんの仕事が早く、1時間以内に昨日使った部屋に全員が集まった。
「集まってくれてありがとう。初めて見る人もいるから、まずは自己紹介をしようか」
昨日使った部屋に俺たちを含め、合計8人がそろった。
大事な会議だけあって他の者は誰一人といない。
「まずは俺たちから。Sレベル冒険者のディラ、それにファラとメルだ」
「では次に僕が。僕は5番隊隊長のメガル・ネイティアです」
「俺は4番隊隊長、ソガネ・ユージスだ」
「俺は別にいいでしょう、アリアさんどうぞ」
「私は2番隊隊長のアリア・シルフィールよ」
眼鏡の青年に強そうなおっさん、それに美人なお姉さんがいる。
あと1人で自己紹介が終わるんだが、なんとまあナルシストみたいなやつだな。
ここに来てからずっと自分の髪をいじってばかりだ。
「最後は私ですね。私は1番隊隊長のサルベルク・ガーダーです」
「これで自己紹介は終わったか。じゃあ次に――」
「次に行く前に一つ、聞いてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
サルベルクさんが何か聞いておきたいみたいだ。
意見があるならぜひ参考にしたいから聞いておこう。
「なぜ、あなたが指揮をしているんですか?」
「……国の状態を聞いて助けようと言ったら、国王に頼むと言われたからだが?」
「それでしたら我々の戦力だけになってもらいたいですね」
「戦力だけ?兵として動けってことか?」
「そうですよ。それ以外にありますか?」
随分とケンカ腰だな。
こいつ何言っているんだ?と言われれば実際は間違ったことは言っていない。
初めて来た人に任せて「国が潰れました」なんてあってはいけないことだ。
そもそも国王も国王だ。
切羽詰まったせいで俺に縋るようになっていたが、本当なら1番隊隊長や城の者に頼むべきだ。
「そこまでにしなさい」
「アリア、貴方は黙っていてください」
「そんな態度だから国王様から信頼を置かれないのよ!」
「……もう1度言います。黙りなさい」
「くっ…!」
なるほどな。
国王に嫌われていたから、相談もされなかったのか。
「ですから私が指揮を――」
「ご報告がございます!」
「……会議中ですよ」
会議室に一人の兵士が入ってきた。
「も、申し訳ございません!ただ早急に報せるべきことだと思い……」
「それで、どうしたんですか?会議中に飛び入るようなその内容とやらを」
「国の外、すぐそこまでおよそ千名におよぶメルメシア王国の軍隊が攻めてきております!」
「「「「「!!??」」」」」
ヴェルのやつ、もう行動にまで移っていたのか!
ガルガン王国とメルメシア王国の間はけっこう距離があったし、テントこそあったが精々百人程度。
考えられるとしたら俺を追い返した後、夜通しで動かしたってことだ。
決断力が早いのか、用意をしていたのか……。
「ちょうどいいですね」
「ちょうどいい?何を言っているんだ!国が攻められているんだぞ!!」
「ソガネ、急に大きい声を出さないでください」
「貴様が馬鹿なことを言うからだ!」
ソガネさんが立ち上がった。
こんなところでケンカをされても困る。
「まあまあ、落ち着いて。それで何がちょうどいいんだ?」
「貴方達に見せてあげますよ。どちらが指揮をするべき人間か、というのをね」
「うーん……」
凶器を持って襲ってきているが、所詮初心者がナイフを振り回しているだけ。
対人戦でプロ相手にしていたから避けるのは簡単だ。
「はぁ…はぁ……」
「ごめん、少し寝ててもらうよ。催眠」
「うぐっ!?」
寝起きの運動にしてはいいが、このまま続けると国王の身体が危ない。
ただでさえ疲労で弱っているんだ。
これ以上無理に動くと自分で自分を殺してしまう。
だから眠ってもらった。
国王を運ぶために給仕をしている人を見つけ、国王を運んでもらった。
それと勝手に動くと危ないから看病も頼んだ。
国王と一緒に俺が持っていた疲労回復の薬草を渡した。
国王の移動が終わった時には、夜が明けていた。
「もう朝か。今から寝るのもなんだし、このまま起きているか」
一応寝たには寝たからな。
ただ、嫌な夢を見た上に最悪な起き方だったが。
「二人が起きるまでに、やっておきたいことを終わらせておくか」
この城にいる人は日の出と共に起きる人が多い。
メイドや執事はもちろん、戦闘部隊も起きている。
やっておきたいことは、全部隊の隊長の召集だ。
俺たち3人で話し合ってもこの国の戦力がどれほどか知らない。
戦力を知りたいという理由と作戦の相談に乗ってもらうためだ。
「あれ?ディラさんじゃないですか」
「デルガンさんか。ちょうどよかった」
「どうかされたんですか?」
「作戦会議をしたいから隊長全員を集めてほしいんだ」
「なるほど、わかりました。早急に集めます」
後はファラとメルの二人が起きてくれるのを待つだけだ。
国王も参加したほうがいいと思ったけど、一緒に参加してもまた襲い掛かってきそうだし。
それに今は休ませておいた方がいい。
「ディラだよね?何しているの?」
「本当だわ、早起きなんてするのね」
「まあちょっと訳があってね」
国王については軽く話しておいた。
国王は参加するべきか聞いてみたら、俺と同じで休むべきという意見だった。
デルガンさんの仕事が早く、1時間以内に昨日使った部屋に全員が集まった。
「集まってくれてありがとう。初めて見る人もいるから、まずは自己紹介をしようか」
昨日使った部屋に俺たちを含め、合計8人がそろった。
大事な会議だけあって他の者は誰一人といない。
「まずは俺たちから。Sレベル冒険者のディラ、それにファラとメルだ」
「では次に僕が。僕は5番隊隊長のメガル・ネイティアです」
「俺は4番隊隊長、ソガネ・ユージスだ」
「俺は別にいいでしょう、アリアさんどうぞ」
「私は2番隊隊長のアリア・シルフィールよ」
眼鏡の青年に強そうなおっさん、それに美人なお姉さんがいる。
あと1人で自己紹介が終わるんだが、なんとまあナルシストみたいなやつだな。
ここに来てからずっと自分の髪をいじってばかりだ。
「最後は私ですね。私は1番隊隊長のサルベルク・ガーダーです」
「これで自己紹介は終わったか。じゃあ次に――」
「次に行く前に一つ、聞いてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
サルベルクさんが何か聞いておきたいみたいだ。
意見があるならぜひ参考にしたいから聞いておこう。
「なぜ、あなたが指揮をしているんですか?」
「……国の状態を聞いて助けようと言ったら、国王に頼むと言われたからだが?」
「それでしたら我々の戦力だけになってもらいたいですね」
「戦力だけ?兵として動けってことか?」
「そうですよ。それ以外にありますか?」
随分とケンカ腰だな。
こいつ何言っているんだ?と言われれば実際は間違ったことは言っていない。
初めて来た人に任せて「国が潰れました」なんてあってはいけないことだ。
そもそも国王も国王だ。
切羽詰まったせいで俺に縋るようになっていたが、本当なら1番隊隊長や城の者に頼むべきだ。
「そこまでにしなさい」
「アリア、貴方は黙っていてください」
「そんな態度だから国王様から信頼を置かれないのよ!」
「……もう1度言います。黙りなさい」
「くっ…!」
なるほどな。
国王に嫌われていたから、相談もされなかったのか。
「ですから私が指揮を――」
「ご報告がございます!」
「……会議中ですよ」
会議室に一人の兵士が入ってきた。
「も、申し訳ございません!ただ早急に報せるべきことだと思い……」
「それで、どうしたんですか?会議中に飛び入るようなその内容とやらを」
「国の外、すぐそこまでおよそ千名におよぶメルメシア王国の軍隊が攻めてきております!」
「「「「「!!??」」」」」
ヴェルのやつ、もう行動にまで移っていたのか!
ガルガン王国とメルメシア王国の間はけっこう距離があったし、テントこそあったが精々百人程度。
考えられるとしたら俺を追い返した後、夜通しで動かしたってことだ。
決断力が早いのか、用意をしていたのか……。
「ちょうどいいですね」
「ちょうどいい?何を言っているんだ!国が攻められているんだぞ!!」
「ソガネ、急に大きい声を出さないでください」
「貴様が馬鹿なことを言うからだ!」
ソガネさんが立ち上がった。
こんなところでケンカをされても困る。
「まあまあ、落ち着いて。それで何がちょうどいいんだ?」
「貴方達に見せてあげますよ。どちらが指揮をするべき人間か、というのをね」
0
お気に入りに追加
2,002
あなたにおすすめの小説
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる