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vsメルメシア王国
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「何があったの?」
「ヴェルがいたんだ」
「ヴェルってSレベル冒険者のヴェル?」
「そうだろうな。初めて会ったけどあんなことできるのはSレベル冒険者だけだろう」
わざわざ別の国まで行ったのに戻されてしまった。
結構距離あったんだぞ。
面倒くさい魔法を使いやがって。
ちなみに帰還という魔法はゲームでもあった。
効果はクエストからメインタウンへと戻るときに使っていた。
ゲームの時は大変お世話になりましたが、今はとても迷惑です。
「ヴェル……今、ヴェルと言いましたか?」
「ああ、ヴェル・ユーラスと名乗っていた」
「そんな……あのヴェルが私の国を……?」
国王は動揺し始めた。
「どうしたんだ?」
「ヴェルはこの国、ガルガン王国を守るために命を懸けて戦っていた者です。旅に出たいと言ったから許可を出したんだが……」
「……それ以上は考えるな。今は休め。本当に死ぬぞ」
「国王様、こちらへ」
国王はふらつきながら部屋を出た。
「あそこまでショックを受けるなんて」
「それほど仲が良かったのかもね」
「ヴェル様は国王様の良き相談相手でしたので」
「それは辛いよね」
中にいたメイドの人が教えてくれた。
過去に一度、ヴェルが1番隊に入隊したときにもこの国が危険な状態に陥った。
原因はドラゴンの襲撃だった。
当時の1番隊隊長と副隊長は前線に立つも、殉職。
誰もが認める隊長と副隊長が死に、皆が国を捨てると言い始めた。
その時に前線に立ったのがヴェル・ユーラスだった。
もちろん1番隊のみんなは止めたが、それでもヴェルは前へと進んだ。
その後の光景はこの国に住んでいたら誰でも知っているほどのことが見えた。
ヴェルに気づいたドラゴンは前足で叩き潰そうとしたが、ヴェルに当たることなくドラゴンの腕は地面へと落ちた。
動揺したドラゴンが魔法を発動させようと口を開けた時、今度は首が落ちた。
「ドラゴンの首をねぇ。メルはどう思う?」
「うーん、ドラゴンによるけど、それでも強い部類に入るよ!」
ドラゴンと言われてもどの種類か言われないと何とも言えない。
例えばアクアシャークドラゴン。
こっちだと特Sレベルと言われているが、武器や魔法次第では一撃でも倒せる。
「どっちにしろ、警戒はしておいた方がいいな」
「皆様方、よろしければ本日はお休みになられてはどうでしょうか?」
「そうさせてもらおうかな」
「ではご案内させていただきます。こちらへどうぞ」
日は沈みかけ、夕方。
今日は休むことにした。
勝手に作戦を決めてもよかったが、国王にも言った方がいいからな。
「じゃあディラ、また明日!」
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
部屋は別々。
しかも割と離れている。
くっそー!近くがよかった!
「ふぅ。けっこうふかふかだな」
部屋にはベッドがあり、俺は横たわった。
部屋の中は暗く、寝るにはちょうどいい。
ベッドは思った以上にフカフカで、俺はいつの間にか寝てしまった。
―――――――――――――――――――――――
城の廊下。
もう真っ暗で誰も歩かないはずの廊下に足音が響いた。
足音と共に言葉も聞こえてくる。
「許さない…許さない…許さない……」
ただひたすら「許さない」という言葉を言い続けている。
その人物は廊下を歩き続けた。
やがて部屋のドアの前に着くと足を止めた。
「これは仕方ない。仕方ないことなんだ。仕方ない…仕方ない……」
ドアを開け、中へと入る。
その手にはナイフを持っていた。
外では雲が晴れ、月が顔を出し始めた。
やがて部屋に月の光が入る。
その部屋ではディラが寝ていた。
「ヴェルがいたんだ」
「ヴェルってSレベル冒険者のヴェル?」
「そうだろうな。初めて会ったけどあんなことできるのはSレベル冒険者だけだろう」
わざわざ別の国まで行ったのに戻されてしまった。
結構距離あったんだぞ。
面倒くさい魔法を使いやがって。
ちなみに帰還という魔法はゲームでもあった。
効果はクエストからメインタウンへと戻るときに使っていた。
ゲームの時は大変お世話になりましたが、今はとても迷惑です。
「ヴェル……今、ヴェルと言いましたか?」
「ああ、ヴェル・ユーラスと名乗っていた」
「そんな……あのヴェルが私の国を……?」
国王は動揺し始めた。
「どうしたんだ?」
「ヴェルはこの国、ガルガン王国を守るために命を懸けて戦っていた者です。旅に出たいと言ったから許可を出したんだが……」
「……それ以上は考えるな。今は休め。本当に死ぬぞ」
「国王様、こちらへ」
国王はふらつきながら部屋を出た。
「あそこまでショックを受けるなんて」
「それほど仲が良かったのかもね」
「ヴェル様は国王様の良き相談相手でしたので」
「それは辛いよね」
中にいたメイドの人が教えてくれた。
過去に一度、ヴェルが1番隊に入隊したときにもこの国が危険な状態に陥った。
原因はドラゴンの襲撃だった。
当時の1番隊隊長と副隊長は前線に立つも、殉職。
誰もが認める隊長と副隊長が死に、皆が国を捨てると言い始めた。
その時に前線に立ったのがヴェル・ユーラスだった。
もちろん1番隊のみんなは止めたが、それでもヴェルは前へと進んだ。
その後の光景はこの国に住んでいたら誰でも知っているほどのことが見えた。
ヴェルに気づいたドラゴンは前足で叩き潰そうとしたが、ヴェルに当たることなくドラゴンの腕は地面へと落ちた。
動揺したドラゴンが魔法を発動させようと口を開けた時、今度は首が落ちた。
「ドラゴンの首をねぇ。メルはどう思う?」
「うーん、ドラゴンによるけど、それでも強い部類に入るよ!」
ドラゴンと言われてもどの種類か言われないと何とも言えない。
例えばアクアシャークドラゴン。
こっちだと特Sレベルと言われているが、武器や魔法次第では一撃でも倒せる。
「どっちにしろ、警戒はしておいた方がいいな」
「皆様方、よろしければ本日はお休みになられてはどうでしょうか?」
「そうさせてもらおうかな」
「ではご案内させていただきます。こちらへどうぞ」
日は沈みかけ、夕方。
今日は休むことにした。
勝手に作戦を決めてもよかったが、国王にも言った方がいいからな。
「じゃあディラ、また明日!」
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
部屋は別々。
しかも割と離れている。
くっそー!近くがよかった!
「ふぅ。けっこうふかふかだな」
部屋にはベッドがあり、俺は横たわった。
部屋の中は暗く、寝るにはちょうどいい。
ベッドは思った以上にフカフカで、俺はいつの間にか寝てしまった。
―――――――――――――――――――――――
城の廊下。
もう真っ暗で誰も歩かないはずの廊下に足音が響いた。
足音と共に言葉も聞こえてくる。
「許さない…許さない…許さない……」
ただひたすら「許さない」という言葉を言い続けている。
その人物は廊下を歩き続けた。
やがて部屋のドアの前に着くと足を止めた。
「これは仕方ない。仕方ないことなんだ。仕方ない…仕方ない……」
ドアを開け、中へと入る。
その手にはナイフを持っていた。
外では雲が晴れ、月が顔を出し始めた。
やがて部屋に月の光が入る。
その部屋ではディラが寝ていた。
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