異世界最強のレベル1

銀狐

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ガルガン王国

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「さて、どれぐらいかかるかな?」

 メルメシア王国を目指して飛び立って数分。
 いまだに国は見えない。

「ん?あれはテントか?」

 ちょくちょくだがテントが広がっている。
 味方のテントか?

「いや、違うな。俺に向かって魔法を撃とうとしている」

 来た方向で分かったのか、俺に気づいた者全員が俺に向けて魔法を放った。

「しゃあない、速度を上げるか」

 こんなところで道草食っている場合じゃない。
 さっさと終わらせたいんだ。

「んげっ!追尾型かよ!」

 しかも速度上昇付きと来た。
 このままでは当たってしまう。
 しかしその先にはまたテントがあった。

「いいこと考えた!」

 高度を低くし、地面すれすれまでいった。
 そのまま俺はテントを過ぎ、追尾してきた魔法はテントに当たった。

「これで一石二鳥!邪魔な魔法は消えたし敵も減った。あと進軍だったら止めることができたから一石三鳥だったか?」

 まあどうでもいい。
 さらに速度をあげ、目的地へと向かった。

「へぇ、ガルガン王国よりでかいじゃん」

 つくりは似ているものの、規模が全然違う。
 というかこの大きさで今まで戦ってこなかったのか。
 よほど注意深いのか小心者なのか。

「とっとと頭潰して調べますか」

 俺は頭がいそうな城へと向かった。
 大体偉い人は上の方にいるからな。
 とりあえず屋根に降りた。

「炎ノ刀」

 魔法を使い、炎でできた刀をつくりだした。
 これがまた便利で温度が高く、発泡スチロールを溶かして切るような感じで物を切れる。
 使ってて気持ちい。

「あれ?誰もいないな」

 もしかしたらここは物置とか?
 でも物は少なく、動きやすい。

「また透明化か」
「お見事、よくわかりましたね。ようこそメルメシア王国へ」
「どうも、それで誰?」
「おっと、申し遅れました。わたくしはメルメシア王国指令総括のヴェル・ユーラスと申します」

 いきなり当たりを引いたな。
 まさかこんなところにいたとは。

「なんとなく予想を立てていたんだが、まさか当たっていたとはな」
「別に隠すつもりはなかったのですが」

 国王を見る限り、あのままずっと悩み続けていたら長くは持たない。
 そうなるとメルメシア王国が攻めてきたのは相当最近になる。
 俺たち以外にSレベル冒険者がでたと聞いて、その人は現在行方不明。
 だから候補に挙げていたけどまさか当たっていたとはね。

「まあそれは置いておいて、今回はルール違反です」
「ルール?ゲームのつもりか?」
「ええ、これは国をかけた戦争ゲームです」
「この国はお前のものってことか?国王でもないのに」
「そうですよ、入ってきてください」

 ドアが開くと30少しぐらいの男が入ってきた。
 ただ、目が虚ろになっている。

「洗脳か?」
「そうです。彼はトッティー・メルメシア、メルメシア王国の国王です」
「洗脳を使うとか最低な奴だな」
「こんな私でも仲間から信頼されているんですよ」
「こんなことをしているやつを信頼するとは、お前の周りは終わっているな」
「ここに来た時から表向きはいい顔をしていましてね。この地位を手に入れるのも簡単でした」
「へぇ、それならその洗脳を解かせばゲームとやらは終わりそうだな」
「そうはさせませんよ。これは私がつくったゲームなのですから」

 不意を突いて洗脳を解こうとしたが防がれた。
 流石Sレベルなだけあるな。

「そもそも俺たちが参加する義理はない」
「そうですか、ではこれを御覧ください。光映像ライト・ヴィジョン
「!? てめぇ……」
「私は以前この方の近くにいました。何か仕掛けてあるかと思いませんか?」
「人質っていうことか」

 映像にはガルガン王国の国王が写っていた。
 洗脳の次は人質か。
 こいつ、本当に自分勝手な奴だな。

「国をかけた戦いならルール違反ってのはなんだ?戦争ならルールも何もないだろう」
「いきなりボス同士が戦ってもつまらないでしょう?」
「……俺は国王でも国の民でもないんだが」
「そんなの知っていますよ。なんのために情報収集させる者を動かしたと思ったんですか」
「そうだったな。ずいぶんと手の込んだことをやっているな」
「強いと暇ですので。新しい遊びを見つけたので力をいれているんですよ」

「遊びで国の取り合い?人の命がかかっているんだぞ!」
「おかしいですかね。井戸から取れる水を1摘も残さず使いますか?使いませんよね」
「人は水なんかじゃねえ!」

 気づいたら俺はヴェルに向かって飛んでいた。

「これは時間がありませんね。ルールを簡単に説明します。
 ルールは兵隊を使って戦闘をすること。私たちSレベル冒険者は前線に立つことはできません。ただし駒がいない場合は参加可能です」
「そんなの初めもさせない!」
「説明は以上です。それでは楽しみましょう、帰還リターン

 ギリギリまで引き寄せた瞬間ヴェルは何かの魔法を使った。
 俺は頭に血が上ってしまったせいで、まんまと魔法に引っかかってしまった。

「ちっ!仕留め損ねた」
「ディラ?」
「いきなり帰って来たわね」

 俺はガルガン王国の城に戻されてしまった。
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