異世界最強のレベル1

銀狐

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クラーの町

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 部屋に入ると書類の詰まれた机が部屋のまん中にあった。
 そこにマスターと言われている人が腰かけた。

「そっちの方に座ってくれ。少し話をしよっか」
「……はい」

 ああ、怒られる未来しか見えない。
 俺たちは悪くないんだ。
 これで冒険者になれませんとかやめてくれよ。

「私はサリー・ランダ・ウェルム、サリーでいいよ。それよりよくランドくんを倒したね」
「あ、そういうえばBレベルってなんですか?」
「あれ?まだ話されていない?」
「すみません、渡してから説明をするのですが」
「そっか!じゃあ今話すよ」

 冒険者には位があった。
 Eレベルから始まり、Aレベル。
 そしてSレベルとなる。
 位はそのまま強さがわかるようになっていた。

「君たちはEレベルから始めさせるつもりだったけど、Aレベルから始めてもいいかもね」
「そんなすぐ上がれるんですか?」
「試験に合格すればだれでも上がれるよ。なに?AじゃなくてSがいいの?」
「出来ればそうしたいです」
「あはははっ!正直だねー!!」

 ぶっちゃけ、めんどくさい。
 レベル上げも後半はけっこう辛かったからな。
 アイテムを使えば楽なんだけど、それがまた課金アイテムだったから使いたくなかった。
 だから上げれるチャンスがあるなら上げておきたい。

「Sランクに上がるためにはある者と戦わないといけないんだ」
「誰ですか?まさかさっきのランドっていう人?」
「ランドくんはBレベルだよ?全然違うよー。正解は私!冒険所のマスターの私に勝てばSランクになれるよ!」

 Bのランドという人がだめなら冒険所のマスター。
 Sレベルになるためには冒険所のマスターを倒さないといけない。
 ということはこの人Sレベルなのか!

「あれ?特Sレベルってのがあると思うんだけど」
「それは依頼の内容。Sレベルは特Sレベル、上位Sレベル、下位Sレベルと分けているんだ。特Sレベルと下位Sレベルは、EレベルとAレベルの差以上に差があるよ」

 俺たちはそんな特Sレベルの素材をたくさん持っている。
 そうなると特Sレベルは俺たちが普段やっている難易度だ。

「じゃあSレベルの試験とやらをお願いします」
「史上初だろうね、冒険者になって初日に受けるのは」
「無理なんですか?」
「大丈夫だよ!じゃあ移動しようか」

 いったん外へ。
 向かった先は冒険所近くの大きな建物。
 コロッセオのような戦うための場所だ。

「それにしても人が多いね」
「いきなりランドくんを倒して、しかもSレベルの試験を受けるからそりゃあみんな見に来るよ!」
「そんなにSレベルが珍しいの?」
「私を含めて7人。そうそう簡単になれると思わないでね!」

 たった7人!?
 少なすぎるだろ。
 ゲームでレベルカンストは全ユーザーの1%はいた。
 1億人もやっていたゲームだから100万人はいる。
 Sレベルの門狭すぎね?

「ルールを説明します。ルールは死傷なしの戦闘です。違反した場合は無条件で試験は不合格、そして冒険所から除名が下されます。勝利条件は相手を倒すか降参と言うまでです」
「簡単な模擬戦みたいなものか」
「正解!でもそっちは3人。一人一人の試験だから順番でお願いね」
「誰からにしようか……」

 もちろん俺は最初にやりたい。
 何せ強い妖精、ゲームの中だとレア中のレアだ。

「めんどくさいから私が決めるわよ。じゃあまず君から」
「俺か?」

 願ったりかなったりだ。
 さて、この人はどんなものか。
 お手並み拝見といこう。
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