俺の夢・・・

さつまのくろぶた

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初会合

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辺境伯と騎士団長は、帰ってきた二人からの報告を受け、頭を抱えていた。
「男爵邸で、生まれたばかりのあの子とその守護獣を見たことがあるが、まさかそんな能力があったとは。聞いたことが無い。」
と辺境伯。派閥貴族の慶事に、自ら赴くのも仕事の一環だ。
「この前みたいな事態は看過できんが、なかなかに面白そうな奴だな。」
とこっちは騎士団長。
「まあ、本格的な捜索をせねばならんことも無くなったから、連中に貴族らしい待遇を施すか。」
こういって、辺境伯は翌日の彼らの来訪に備えた準備をするよう、各方面に促した。

当日南中の、辺境伯領の防護壁南正門前、辺境伯と騎士団長以下その護衛騎士達は、来訪者を待ち構えていた。誘導の為のワイバーン騎士は、例の二人が行うことになっていて、空中待機をしている。
余談だが、二人はこの件で迅速に確定情報をもたらしたおかげで、騎士団長から大いに褒められ、残った資金の一部と三日の休暇を与えられた。この仕事後、即休暇に突入だ。領都の盛り場でおおいに盛り上がるのだろう。他の4人の騎士は、何もまだ掴めていないらしい。
正門前はいつもなら、出入領手続きで長蛇の列が出来ているのだが、滑走路確保のため出入領希望者は、西門の方へ移動させられており、辺境伯とその騎士団以外の人間は排除されていた。

「見えてきたぞー。」
上からハルンノートの声が響いてきた。二人の空中騎士は、少しずつ高度を下げつつ大きくなってくる白い点のほうへ向かっていった。誘導とはいっても通信なんてものは無いので、身振り手振りで行動を制限したり、字や矢印を書いた大きな板を適宜掲げるしかない。手旗信号とか、光魔法を利用したモールス信号みたいな連絡手段はあるにはあるが、騎士としての訓練をうけていないライトは、その見方を当然知らないので、こうするしかないのだ。

「この下が滑走路だ。」
「辺境伯自ら出迎えられる。」
とかだ。

領都が見えてきたので、俺は機を失速寸前まで速度を落とした。
見覚えのある二人がワイバーンで飛んでいて、眼下の正門前の道に降りるよう合図をしていたので、父と先生に
「もうすぐ着陸します。機内から出る準備をして下さい。」
と告げた。コクピットには俺しか入れないが、音や光は通るので、二人との会話には何ら支障が無い。もっともこれからのことを考えると、呑気に会話をする精神状態ではないが。
下の状態を確認して見ると、一応整地はしてあり、ムリーヤの能力で十分に衝撃が吸収できそうだ。
そして一度正門まえの道の上空を通過して引き返し、タッチダウンポイントを決めてから着陸態勢に入る。
「タッチダウン秒読み開始。5,4,3,2,1、タッチダウン。エンジン出力90%カット。ブレーキング。」
辺境伯の前に急速接近すると、騎士団が辺境伯を庇うように前に出て盾を構えた。ゆるやかに速度を落とし、ゆっくりと辺境伯の5メートルぐらい前で停止した。

「確かにこの前の竜だ。」
「いったい、なんで出来ているんだ?」
「どうやって動いている。なんで、あんなに速度が出るんだ。」
と、プライベート・ジェット目の前にして騎士たちが言い合っていると、
ドアがひらいて、中から人が3人降りてきた。男爵とケビンとライトだ。
「おおっ」
と、その様子を見ていた騎士たちは一斉に驚きの声を上げた。

早速、辺境伯のまえに両手を合わせて組んで跪き。臣下としての挨拶をする俺たち。
「閣下。この度はとんだご迷惑をおかけしました。」
と父。そう言えば、辺境伯と騎士団長に直接会うのは初めてだったな。
それに対し、辺境伯は
「まだ調査の途中である。早速だが、その「ぷらいべーとじぇっと」とやらに乗せてもらうぞ。」
「わしも乗るぞ。現場の総責任者として確認をしておきたい。」
と、辺境伯と騎士団長。

乗り込む前に騎士団長は、一応任務終了とはいえ、降りてきた俺たちを空の離れたところから警戒していたヴィトーマとハルンノートに
「約束だ。お前らは帰っていいぞ。休暇終了の4日後にはちゃんといつも通り出勤しろ。」
と声を掛けた。それを聞いた二人は、大きくうなづいて、早速相棒を厩舎に入れるべく飛び去って行った。
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