Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。

石八

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元Sランクの俺、漆黒のドラゴンと出会う

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 視界中が暗くなり、なにも見えなくなる。
 リルネスタは、目をつぶっていないのにも関わらず目の前が黒く染まったので、何が起きたのかと目を泳がせていた。

 もしかしたらディオマインに叩き潰され、死んでしまったのかもしれない。そんなことを考えるが、手足は残っており頬を引っ張っても痛覚はあるので、リルネスタはおかしいなと思いつつ周囲を観察する。

 すると分かったことがある。
 それは暗くなったというのは間違いで、実際は目の前の黒い物体が壁になり、大きな影を作っていたことだ。

 しかしなぜ今になって気付けたのか。
 それは今まで周囲を包んでいた金色の鱗粉が消え、眩しい太陽の光が黒い物体を照らしたからだ。

 黒い物体というより、ほんのりと青みがかった黒い物体と称した方が正しいだろうか。

 その色は、リルネスタがいつも見ているレンの髪の色に酷く類似していた。

『グルァアァァアアァァ!?』

 突如、ディオマインの叫び声が聞こえてくる。
 なのでリルネスタが身構えると、突然目の前の黒い物体が動き出す。

 それに驚くリルネスタが顔を上げると、真上には黒い両翼があり、蛇のように長くしなやかな尻尾が重力に逆らうように上向きになっていた。

「……えっ? こ、これってもしかして……」

 『ドラゴン?』と言おうとした瞬間、その黒いドラゴンは翼を羽ばたかせ、股の下から見えるディオマインを腕から地面に押さえつけ、長い爪で付け根から潰していく。

 それによりディオマインから聞こえるはずがないメキメキという音が聞こえ、表面の鱗が弾け飛んでいく。

 それがよっぽど痛いのかディオマインはなんとか逃れるために暴れ回るが、黒いドラゴンに押さえつけられているせいでビクともしていなかった。

『また悪さをしに来たか。妾は二度はないと忠告したはずじゃ!』

「えぇ!? ド、ドラゴンが喋った!?」

 いきなり流暢に人語を喋るドラゴンを前にして驚きを隠せないのか、リルネスタは尻もちをついて後方へ下がっていく。

 そのとき、ほんの一瞬だけ人語を喋るドラゴンと目が合うが、ドラゴンはリルネスタを見て特に何も思わなかったのか、すぐにディオマインの方を向いて雄叫びをあげていた。

 だがリルネスタはそのドラゴンの尻尾が不自然に右側を向いてることに気付く。

 その尻尾の先端が向いている方向に視線を向けると、そこには崩れた岩が積み上げられており、そこからレンが持っているであろう聖剣の先端部分が太陽の光を反射していた。

「レ、レンッ!」

 考えるより先に体が走り出しており、リルネスタは無我夢中で岩に手をかけて登っていく。

 不思議なことに体はダルさを忘れて何事もなかったかのように動き、服が汚れることを気にせず聖剣が埋まっている付近の岩を退かしていく。

 どうしても動かせない岩は風魔法を応用して崩れないように動かしていき、レンを探すためにリルネスタは気分が悪くなりながらも魔力を注ぎ続けていた。

 そして岩を退かし初めてから3分位でレンの腹部が見えてきたので、リルネスタは涙を浮かべながらも笑顔になり、一生懸命岩を退かしてやっとのことでレンを岩の中から引きずり出すことに成功した。

「レン! レンッ! 大丈夫!? レンったら!」

 だがレンからの返事は返ってこない。
 なので胸に耳を置いてみるが、そこからは心臓の音が聞こえず、血色が悪くなっていることに気付く。

 このままでは危ないのは確かなので、リルネスタはどうすればいいか頭を悩ませて考える、考え込む。

 その結果、幼い頃に父親であるフェイデルが練習していた心臓マッサージと人工呼吸を思い出し、すぐさまその準備をする。

 微かな記憶を頼りに、まず手を編み、胸部の真ん中辺りに手を当て、深く沈むほど力強く早いペースで押しては戻すを繰り返す。

 次に人工呼吸だが、一瞬口元で躊躇するリルネスタだったものの、一刻を争う事態なので羞恥心を押し殺して口付けをする。

 その途中で頭を上向きにすることを思い出し、すぐさまレンの下顎を胸元と同じ高さになるまで上げ、もう一度口付けをして空気を送り込む。

 そして何度かしたら再び心臓マッサージに移行し、また人工呼吸を繰り返す。

 あまりにも夢中だったので何回心臓マッサージをして人工呼吸をしたかは分からない。しかしリルネスタはレンを救うため、自分に出来ることを出来る範囲で実行するしかなかった。

「お願い……目を覚ましてよ、レン!!」

 そう叫び、何度目かの人工呼吸をすると、レンの口が微かに動き出す。

 きっとリルネスタの叫びが届いたのだろう。先ほどまで虫の息だったレンは息を吹き返したかのように大きく咳き込んでいた。

 そのせいで体が跳ねて地面に痛々しく背中を打ってしまっていたので、すぐにリルネスタはレンの頭を自分の膝に乗せて太陽の日差しを遮るように影をつくり、顔を覗き込む。

 すると、一向に開こうとしなかった瞼が重々しく開かれる。瞳孔も動いており、状況を理解できていないのか目が右に行ったり左に行ったりと忙しく動き回っていた。

「リルネスタ……? 俺はいったい、なにを……?」

「レン……うぅ…………レンなんだよね? 生きてるんだよね?」

「なに言ってるんだ? この通り、喋ってるじゃないか」

「うぅ……いつものレンだ、良かった~!」

 気持ちが抑えきれなくなったのか、感極まってリルネスタは涙を流しながら体を前に倒してレンに抱きつく。

 だがその瞬間レンの体がビクンッと跳ねたので、リルネスタはハッと我を取り戻してすぐさまレンから離れていた。

「ご、ごめん! 痛かったでしょ!?」

「あ、あぁ。だが痛いってことは生きてる証拠だ……まぁ、死ぬほど痛いけどな」

「そうだよね……私、もうレンが目を覚ましてくれないと思って……心配したんだよ? 本当に、生きてて良かった…………」

「……そうか、心配かけてごめんな」

 自分の顔で流れて地面に落ちていくリルネスタの涙を手ですくい、レンは体を起こす。

 だがリルネスタはまだ動いてはいけないと判断してレンの肩を後ろから掴み、再び頭を膝の上に乗せるが、その勢いが強すぎてむしろレンにとってはそっちの方が痛かった。

「痛てぇ! っていうか、俺ならもう動けるから平気なんだが……」

「でも……まだ痛いんでしょ?」

「まぁ、正直人生で初めてといってもいいくらい痛いが、まだディオマインがいるだろ? って、どうやって俺を助けたんだ? ディオマインは?」

「それはね、あの不思議な黒いドラゴンが助けてくれたの」

「不思議な黒いドラゴン……?」

 リルネスタが指をさし、レンはその先を見る。
 するとそこには護衛クエストの時に泊まった停泊所周辺の森の中で見つけた、あの漆黒のドラゴンであった。

 まさかこんなところで再会できるとは思ってもみなかったのか、レンは体を起こして手を伸ばしていたが、その光景を見て体が固まってしまう。

 それはそのはず。なぜなら黒いドラゴンはレン達に視線を向けながらディオマインが動かないように上から拘束していたからだ。

「リルネスタ、少し前俺がドラゴンを見たって言ったよな? それが多分あいつだ」

「え、そうなの?」

「あぁ、だがなぜあいつは俺らを助けてくれたんだ? いや、ディオマインと縄張り争いをしてるようにも見えなくはない。謎だな……」

「そういえばさ、あのドラゴン、さっき喋ったんだよね。また来たか、二度はないと忠告したはずだ! って」

「しゃ、喋った? そんな、バカな」

 魔物が人語を喋るなんて聞いたことないし、見たこともない。

 一応ライオウガやライゴルグは人語を喋ることは出来るが、それは人化魔法を使って人間の姿になっているときだけだ。

 だがリルネスタの話が本当ならあのドラゴンはドラゴンの姿のまま人語を喋ったということになる。

 いくら長命で、人間よりも頭が良いといえど、それはありえないはずだとレンは疑心暗鬼な表情のままリルネスタの話に耳を傾ける。

 だがそんなレンも、すぐにリルネスタが言っていたことが事実であることを知る。

『グロォウ! グロォォオオォォウッ!!』

『喧しいのぉ。いくら貴様が騒いだところで、妾には勝てんと知っているはずじゃ!』

 何百キロは超えているであろうディオマインの巨体を二本の腕で持ち上げる黒いドラゴンは、口から黒い炎を吐いてディオマインの体を炙っていく。

 それによりディオマインはリルネスタの《ライトニングブラスト》を受けた時よりも脳に直接届くような絶叫をあげ、ボロボロになりながらも黒いドラゴンから離れ、金色の鱗粉を撒き散らす。

 そして再び襲いかかると思いきや、ディオマインは金色の鱗粉で新たな翼を生やしたと思えば、大きく翼を羽ばたかせて天空を舞い、北方面に飛び去ってしまった。

 そんな一部始終を眺めていたレンは、目の前で起きた超常現象を前にして驚きを隠せずにいた。

 あのレンでも苦戦したディオマインを圧倒した黒いドラゴンは、Sランクよりも遥かに上をいく強さを誇っているだろう。

 だがそれよりも、レンはリルネスタの言っていた通り黒いドラゴンが人語を喋ったことに、理解が追いつかないのかその場でキョトンと口を半開きにして黒いドラゴンを見つめていた。

「お、追わないのかな……?」

「追わなそうだな……別に殺すつもりはなかったのかもしれないな」

 黒いドラゴンはもうほぼ見えなくなってしまったディオマインの背中を見つめるだけで、追おうとする様子はなくただ空を仰ぎみていた。

 しかしディオマインが完全に見えなくなると突然ゆっくりと動き出し、レンとリルネスタを目で捉えながらゆっくりと四足歩行で接近していく。

 さすがに危険だと感じたレンは痛む体を引きずりながら立ち上がって聖剣を構えるが、足元は覚束無いわ手足は震えるわで後ろで杖を構えるリルネスタは二重の意味でハラハラとしていた。

「おい、もしお前が喋った人語が空耳じゃないなら、反応してほしい。俺らは敵じゃない、そしてお前の縄張りを荒らすつもりもない……ただ迷い込んだだけなんだ」

「そ、そうなんです! 私達は竜の山にあるアルケスっていう石を探しに来たんです! だから、その……見逃してくださいっ!」

 レンとリルネスタが黒いドラゴンに語りかける。

 だがそれに対する反応はなく、黒いドラゴンはレン達を見下ろしているだけでこれといった返事もしなければ動こうともしなかった。

 次第にレンの額から一筋の汗が流れ、リルネスタの目尻に涙が溜まっていく。

 そんな二人が面白おかしく見えたのか、黒いドラゴンは突然腹を抱え、高笑いをあげ始めた。

『あははは! なんと、お主らは妾の言葉が通じるというのじゃな? これは面白い。あの夢はやはり本物だったらしいのぉ。その証拠に、お主の右腕には夢で見た紋章がある。当たりじゃのぉ』

「夢、紋章……? なにか知っているのか……?」

『まぁ、多少はの。おっと、この姿だと恐れられてしまうのは当然じゃな。少し待て、今すぐ姿を変えるからの』

 と言い、なにをするのかと思えば黒いドラゴンは目を閉じて魔力を高めていく。

 すると足元に白い魔法陣が展開され、黒いドラゴンの体が白い光に包まれていく。それはどこかで見たことがあるような現象で、全長10メートルは容易に超えるであろう体がどんどん小さくなっていく。

 その光景を見てレンとリルネスタはあることに気付いたのか、驚きつつも興味津々な眼差しを向けていた。

『…………ふぅ。人化魔法使うのは久しぶりであったが、まだ使えるものじゃのぉ。って、いかんいかん、服が乱れておる。見苦しいものを見せてしまったのぉ』

 全身を包む白い光が落ち着くと、黒いドラゴンがいた場所には長身の和服を着た美女が腰よりも長い髪の毛を手ですくい上げてなびかせていた。

 その髪の毛は黒髪に見えたのだが、太陽に照らされたことにより少しだけ青みがかっていることが分かる。

 そんな美しさの塊のような美女を前に、レンとリルネスタは喋ることを忘れて素直に魅入ってしまっていた。

『む、どうしたのじゃ? なぜ喋らん。もっと驚くとか、なにかしてみせるのじゃ。つまらないのぉ』

「い、いや……すまん。少し言葉を失っていただけだ。気にしないでくれ」

『ふむ。まぁ、妾はこの世界で最も美しく、そして最も強いからの。理解しかねるが、この無駄に多い駄肉も人間の世界では需要があると聞いた。お主らが妾の虜になるのは仕方がないことじゃな』

「……意外と自信家なんだな」

『自信家? 違うの。妾は確信しているからこそ、こう豪語できるのじゃ。実際、高貴たる竜族の中で妾は黒竜姫と呼ばれているからの。もっと崇めてもよいのじゃぞ?』

 話せば話すほど傲慢というか、慢心というか。
 せっかくの美貌を持っているのに、性格のせいでだんだん残念になっていく自称黒竜姫を見てレンは笑みをこぼしていた。

 まるで警戒していたことがバカらしくなったかのように、レンは力なくその場に座り込んでしまった。

「レ、レン。どうしたの?」

「いや、ちょっと気が抜けただけだ。とりあえず、えーっと……黒竜姫? は、敵じゃないんだよな?」

『なぜ疑問形なのじゃ? まぁそこはいいとして、そのとおりじゃ。どちらかというと妾はお主らの味方に近い存在じゃ。そうでなければ助けるはずがないじゃろ? 妾は、勇者と大賢者に会いに来たのじゃ』

 それを聞き、レンとリルネスタは声を揃えて驚きの声をあげる。

 突如姿を現し、人語を喋ったと思えばディオマインを撃退した。しかもそこから人化魔法で人間の姿になり、『勇者と大賢者に会いに来た』と言う黒竜姫は、レン達を見て上品に笑っていた。

 いったい黒竜姫は何者なのか。
 そして目的はなんなのか。それを知るため、レンは黒竜姫と友好関係を築いた方がいいだろうと、心の中で決意していた。
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