Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。

石八

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元Sランクの俺、決闘を申し込まれる

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 ティエリナと二人で外出した次の日の朝。

「…………なんでここにいるんだ」

 宿のフカフカなベッドから大きなあくびをしながら起き上がるレンは、自分のベッドになぜかリルネスタがいることに気付く。

 だがまだ朝なので上手く頭が回らず、レンは動揺することなくベッドから降り、部屋のカーテンを開けて太陽の光を浴びながら背筋を伸ばす。

「ん~……? ふわぁ……」

 カーテンから差し込んだ太陽の光がちょうどリルネスタの目元を照らしたおかげで、レンと同じく大きなあくびをしてリルネスタが目を覚ます。

 そんなリルネスタはレンを見て慌てることはなく、むしろレンが寝ていたまだ温かいベッドの中央に潜り込み、二度寝をしようとする。

「おい、もう朝だぞ。起きろ」

「うわーん、まだ眠いよぉ」

「見れば分かる。ていうか、なんでここにリルネスタがいるんだ? リルネスタの部屋は隣だっただろ?」

「え~? ……なんでだっけ?」

 寝転んだまま首を傾げるリルネスタを見て、レンは頭に手を当てて小さなため息を吐く。

 そろそろ注意をした方が良さそうだが、リルネスタのまるで小動物のような愛くるしい動作に負け、レンは叱るに叱れなかった。

「あ、そうだ。確か昨日は帰るのが遅くなって……レンにただいまって言おうとしたらレンが寝てたんだよね」

「一応待ったつもりだぞ? でもあまりにも遅いから向こうで野宿でもするのかと思って寝てしまったんだ」

「あはは、まさか私もあそこまで遅くなるとは思わなかったよ」

「それで、俺にただいまって言おうとしたんだろ? でも俺は寝てた。ならリルネスタはどうしたんだ?」

「え~と……そ、それは…………」

 昨日のことを思い出したのか、あからさまに態度が急変して小さくなっていく。

 ぺたん座りをし、目をキョロキョロと泳がせながら両手の人差し指の先を合わせたり離したりを繰り返す。

 その動作はさながら物心を覚えたばかりの子供が親に隠し事をするときに見せる動作と同じであった。

「レンがベッドで寝てて、ちょっと声かけたら起きるかなって思ってベッドに座ったら……急に眠くなっちゃって」

「眠くなったならすぐ帰れる距離だろ?」

「そうなんだけど、なんかもういいかなって」

「いや、よくないだろ」

 脊髄反射でレンが手の甲をリルネスタに向けてツッコミをすると、それが面白かったのかリルネスタが突然吹き出して斜め下を向いてしまう。

 そのせいでレンの額に怒筋が浮かび、リルネスタの頭に思い切りチョップをしそうになるが、一度手を構えたところでレンは手を降ろす。

 どうせここで注意してもまた同じことを繰り返すだろう。それに気付いたのか、レンは呆れ半分の声を洩らしつつも、顔を洗うために洗面台へと向かう。

 そして洗面台にある鏡を見たレンは、どこか暗い表情になる。

「…………なんて顔してるんだ、俺は」

 鏡に映る自分の顔は、どこからどう見てもいつもの自分とは言えるものではなかった。

 ではなにがいつもの自分とは違うのか。それは小さなことに過ぎないが、目が少しばかり死んでいたのである。

 まるで昨日の出来事を悔やんでいるような、安堵しているような。そんな訳の分からない思考を張り巡らせたまま眠ってしまったので、自然と疲れが目に出てしまっているのだろう。

「昨日の俺はおかしかっただけだ。危うくいっときの感情に流されるところだった」

 洗面台に手を付き、レンな小さな笑い声を口から洩らしながら項垂れる。

「もう、昨日のことは忘れよう。いや……忘れるのは最後だけでいい。その前は絶対に忘れてはいけないな」

 洗面台にある蛇口を捻り、レンは勢いよく出てきた水を手で掬い、自分の顔全体にかけて顔を洗う。

 そして顔を上げると、先ほどの目の死んだレンはいなくなっており、いつもの目に活気があるレンに戻っていた。

「さて、今日からまたいつも通りの日常だ。早くギルドに行かないとな」

 朝といっても時間はかなり経過しているので、きっとギルドは既に人が多くなっているだろう。

 だが早く行って損することはない。なのでレンはタオルで顔を拭き、リルネスタの元へ向かう。

「ほら、空いたぞ。リルネスタも早く顔を洗うんだ」

「うん、分かった。今日も頑張るぞ~!」

 朝から元気なリルネスタは、一人で握り拳を天井に向け、気合を入れる。

 そのおかげか自然とレンは笑みをこぼしており、どこかやる気に満ち溢れた表情に変わっていた。

 そしてリルネスタを待つこと数分。
 一度リルネスタと別れたレンは、ベッドを整えてから冒険の準備をする。

 だがレンは知らなかった。
 これからリルネスタ絡みで面倒な事に巻き込まれるということを──



───────────



 ギルドに到着し、扉を押し開けたレンはある違和感を抱く。

 それは視線の多さである。だがその視線は自分には向けられてはいなかった。

 しかし明らかに自分の近くに向けられている視線ということは理解出来た。その視線の先にレンが目を向けると、そこにはあくびをしてレンの後ろに立つリルネスタがいた。

「ん? どうしたの?」

「なんか、見られてないか?」

「え、私? …………確かに、言われてみれば」

 鈍感なのか、そもそも興味無いのかは不明だが、リルネスタはレンに教えられてやっと自分に視線が向けられていることに気付く。

「なにかやらかしたんじゃないか?」

「えー、なにもやってないよ?」

「本当か? 昨日なにか目立つことをしたとか。なにかとんでもないミスをしたとか。少しは思い当たるものがあるんじゃないか?」

 レンにそう言われたリルネスタは、顎に指を置いて喉を唸らせる。

 だが考えても原因が分からないのか、しばらく考えたら顎から指を離し、難しい顔をしていた。

「昨日はむしろ活躍したんだよ? なんかスレイヴスネークがいなくなったせいで今まで隠れていたモンスターがいっぱい出てきたから、私はちゃんと倒したんだけどなぁ」

「いっぱいって、どれくらいだ?」

「んー……ごめん、忘れちゃった。でもでも、私はちゃんと後衛の魔法職の中で一番モンスターを倒したし、前衛の人達に支援魔法を付与して援護だってしてたんだよ? 悪いことなんてしてないと思うんだけどなぁ」

「確かに、むしろ活躍してるな。…………いや、待てよ」

 レンはリルネスタから視線を外し、もう一度ギルドを見渡す。

 そしてあることに気付く。
 それはリルネスタに視線を向けている者達は皆、リルネスタに好奇の目線を向けているということであった。

「なるほどな」

「え? え? なにか分かったの?」

「あぁ。これはこれで結構厄介だぞ。俺じゃなく、リルネスタにとってな」

 笑みを浮かべ、レンがリルネスタに語りかけるとリルネスタはキョトンとした表情になる。

 今リルネスタは、周りから好奇の目線を集めている。つまり、周りから認められている証拠なのだ。

 それは活躍したからこそであり、噂というものは簡単に広まっていく。これを好機と捉えるかは本人次第だが、過去にレンは同じことを経験したことがあるのでなんとも言えなかった。

「ほら、やっぱり来たぞ」

 リルネスタの肩に触れ、レンが親指を立てて接近してくる者達に向ける。

 その者達を見て、リルネスタは口を大きく開けて弾けるような笑顔になっていた。

「おはよう、リルネスタさん。僕達のことは覚えてるかな?」

「は、はい! 昨日一緒に森を調査した……えーと…………」

「はははっ、僕の名前はユーク。一応調査隊のリーダーで、Bランク冒険者さ。覚えてくれたかな?」

「ユ、ユークさんですね。覚えました!」

 リルネスタとユークのやり取りを見て、レンは疑問を抱く。

 それはレンとの対応の差だ。
 一応リルネスタも年上や初対面の人への対応は分かっているのだが、どこか分厚い壁を感じる。

 レンと話すとき、リルネスタは壁というものを作らず、むしろレンが無意識のうちに作っている壁の内側に入り込むほど積極的である。

 だが今のリルネスタはいつもと違う。
 ティエリナと話していたときもそうであったが、あまりにも敬語が目立って他人行儀過ぎるのだ。

「ところで……ユークさん達は私になにか用があるんですか?」

「あー、ごめんごめん。肝心なことを言い忘れてたね」

 ユークは後ろで待機する一名の女性と目配せし、小さく頷く。そしておもむろに自分の右手をリルネスタに差し出す。

 それを見て、リルネスタは訳が分からず首を傾げていた。だがレンはその差し出される手を見る前からあることを察していた。

 それは、ギルド恒例と言っても過言ではないほどありきたりな『勧誘』である。

「僕は──いや、僕達はね、リルネスタさんの才能に気付いた?だ。だから単刀直入に言うよ。是非僕達のパーティに入ってほしい」

『え、えぇっ!?』

 ギルドの中でもユークは有名なのか、リルネスタが驚きの声を上げる前にギルドの中がどよっとざわめく。

 まさか、Bランク冒険者のユークが自分達より遥かに下のランクのリルネスタに声をかけるなんてと。そんな顔が伺えた。

 中にはありえないと鼻で笑う者もいたが、昨日の活躍を知っているのか、ユークを見て納得している者もいた。

「え、えーと……」

「ごめん。急に来たら戸惑うよね。リルネスタさんのような素晴らしい才能の持ち主は早く勧誘しないと他のパーティに取られると思ってさ。だから今は保留して、また後日に答えを──」

「ごめんなさい! 私には無理ですっ!」

「…………え?」

 まさか断られるなんて思っていなかったのか、ユークは目を丸くして素っ頓狂な声を上げる。

 そしてその後を追うようにユークの後ろで待機してる女性がユークと同じような声を上げ、そこから更に連鎖して野次馬達が声を揃えて動揺し、ギルド内が大きく揺れる。

「り、理由を聞いてもいいかな?」

「わ、私にはレンがいるんです。私の力を認めてくれるのは嬉しいけど……レンがいるからダメなんです」

 一度頭を深々と下げたリルネスタは顔を上げ、レンを見てニコリと笑う。

「…………そのレンという男は、リルネスタさんの力に応えれる力の持ち主なのかい?」

「はいっ。むしろ、私の力以上に応えてくれる人です」

「そうか」

 声のトーンを下げて俯くユークは、足音を立てずレンに歩み寄る。

「キミのギルドランクは?」

「Eだ。まだ登録したばかりだからな。悪いが、期待に応えることはできない」

「キミはリルネスタさんの才能を知っているのか? 彼女の力は偉大だ。キミはその力を生かしきれるのかい? キミはその力に応えることができるのかい?」

「さぁ、どうだか」

 敵意というものはないが、明らかにユークからは対抗心が醸し出されていた。

 並の冒険者ならその剣幕に怯み、一歩後ずさるほどのものだろう。だがレンは怖じることなく、むしろ一歩前へ出て笑ってみせた。

「僕には、キミにリルネスタさんを生かしきれるとは思わない」

「そうか、でも俺はなにも言わないぞ。それはお前の価値観に過ぎないからな。思うのは勝手だ、否定はしない」

「…………さては、僕を舐めてるな? 確かに僕は体格が良いわけじゃないし、顔が濃いわけでもない。でも一応Bランクの看板を背負っているんだ」

「それはすごいじゃないか。俺もそんな看板を背負ってみたいものだな」

 レンはユークという嚙ませ犬ではない本物の『実力者』と話せて高揚していた。前出会ったディグルはBはBでも威圧感というものは全く感じられなかった。

 だが今目の前にいるユークという男は物静かな顔をしているが、レンを強く睨んでこれでとかと言うほど闘争心を溢れさせていた。

「Bの僕がEのキミにこんなことを言うのは少し気が引けるんだけどね。これも僕達のパーティを向上させるためだ。仕方ない」

 胸ポケットからギルドカードを取り出したユークは、それを得意気にレンに見せつける。

 それは冒険者が決めた『決闘』の合図であり、自分の実力を偽りなく示すギルドカードを相手に見せるということは、それは自分が相手より『強い』と見せつけると同じことであった。

「僕、ユークは……キミに。レンに決闘を申し込む」

 その言葉を聞き、ギルド内がさらにざわめく。
 決闘の申し出というものは本来同レベルかそれ以上の者にすることであった。

 だがユークはEランクという格下相手に決闘の申し出をしている。それほど、ユークはリルネスタを認めているということだ。

「その決闘、お前が勝ったらどうするんだ?」

「それはもちろん。僕が勝ったらキミとリルネスタさんは僕達のパーティに入ってもらう」

「……俺もなのか?」

「あぁ。だって、キミもいなかったらきっとリルネスタさんは動いてくれないだろ? だったら、キミも勧誘しようということだ」

「なるほどな」

 レンはユークの提案を聞き、小さく頷きながら不敵な笑みを浮かべる。

「そうだな。リルネスタには悪いが、その条件をのませてもらう。ならこっちの条件はただ一つ」

 後ろを振り向き、レンは心配そうにレンを見つめているリルネスタの顔を見て歯を見せながら笑ってみせる。

 すると不安が吹き飛んだのか、リルネスタの表情がぱぁっと明るくなり、心配ではなく期待の目が向けられた。

「お前がAランクになるまで、語尾に『にゃん』を付けるだ。破ったら回数毎に銀貨一枚俺に支払う。どうだ? 面白いだろ?」

 レンが笑いながら提案すると、ユークの表情が固まる。

 そしてその表情はだんだんと変貌していき、額には数え切れないほどの青筋が浮かんでいた。

「初めてだよ。ここまで僕をおちょくる人は」

「どうした? まさか、負けるのが怖いのか?」

「そんな低俗な煽りに乗るようで癪だが……いいだろう! その条件、聞き入れた! 決闘は今日の昼、ギルド内にある決闘場だ! 逃げるなよ!」

 それだけ言い残し、ユークは後ろで待機している女性を連れてギルドの奥へ消えていってしまう。

 そんな苛立ちを隠しきれないユークとは裏腹に、レンは久しぶりの決闘が楽しみで楽しみで仕方ないのか、手を力強く握ってリルネスタも見たことがない笑みを浮かべていた。
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