Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。

石八

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元Sランクの俺、リルネスタと協力する

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 自然がとても豊かで、観光地として知られている中で一二を争う美しさを誇るルドの渓谷。そんなものはどこにもなかった。

 今あるのは圧倒的な圧力と、絶望的な威圧を放つ二匹の魔物がいる地獄よりも悍(おぞ)ましい渓谷であった。

 一匹。レン達から見て右の山の山頂に降り立ったのは《ライオウガ》と呼ばれる魔物である。

 全身が金色の体毛に覆われ、稲妻が走ったような形をした三本の尻尾がそれぞれ別の意思を持っているかのように動いていた。

 鋭い眼光と凶悪な鉤爪。全長10メートルは易々と超えているその体の周りには、小さな雷を帯びた雨雲と雨が飛び交っていた。

 二匹。今度はレン達から見て左の山の山頂に降り立ったのは《ライゴルグ》と呼ばれる魔物である。

 ライオウガと対照的に全身が銀色の体毛を覆われ、風でなびくマフラーのような二本の尻尾は尻から後ろではなく、なぜか前へ向いていた。

 そしてなにより特徴的なのは、目をつぶっていることだ。なのでライオウガのように睨まれることはないのだが、どこか心を見透かされているようなそんな気がした。

 ライゴルグもライオウガと同じように全長が10メートルを易々と超えており、体の周りには小さな雷を帯びた雨雲と不可視の風が飛び交っていた。

『ガロォォオォォオオォォン!』

「──っ!」

 突然、ライオウガが天に向かって咆哮したと思えば、数え切れない数の雷が空に走り、ルドの渓谷へ降り注いでくる。

 それはまるでリルネスタが放った《ライトニングブラスト》をお返しとして放たれているような、そんな気がした。

「当ててこないのかな……?」

「分からない。だが俺たちを敵として見ているのは確かだ」

 レンは物静かなライゴルグには目を向けず、敵意と殺意を丸出しにしているライオウガを睨みつけて腰にぶら下げている聖剣の柄に手を伸ばす。

 だが、手が震えて上手く柄を掴むことができなかった。それは武者震いではなく、恐怖によるものであった。

「た、倒せるの……? あれって、いったいどれくらいの強さなんだろう……」

「とりあえず、AとかSとかそんな話じゃ済まされない強さなのは確実だ。あいつらにとって、俺らは道端に落ちてる小石程度にしか思ってないんだろうな」

「それなのに、なんでレンはそんなに落ち着いてるの……?」

「落ち着いてるわけないだろ。上手く口が動かせないから最低限のことしか言えないだけだ」

 リルネスタの前では平静を装ってはいるものの、先ほどから手の震えと冷や汗が止まらなかった。

 今まで数々の強敵を倒してきたが、ここまで絶対的な強者のオーラを放つ魔物は初めてなのだ。

「……リルネスタ」

「ど、どうしたの……?」

「俺は最善を尽くす。だが勝てる見込みはゼロに等しい。だから……その、あれだ。覚悟はしておけよ」

「っ!」

 静かなトーンで放たれたその言葉。それはもう助かることはできないという意味であった。

 だがレンはそれを直接言うことは避け、同じ意味合いだが少し回りくどい言い方をしてリルネスタに伝える。

「覚悟ってことは……」

「俺はもうそれ以上は言わない。自分で判断してくれ」

 まるでリルネスタに言葉を押し付けるようにレンは言い捨て、聖剣を鞘から抜いて戦闘態勢を整える。

 さすが熟練の冒険者と言うべきか、いついかなる時もレンの剣を構える姿勢は変わらなかった。

 両手で聖剣の柄を握り、腰を低く下げてどっしりと構える。そして剣先を敵の額に向け、瞬きせず相手の動きを観察する。

 その洗練された姿勢は、レンが独自で生み出したものだ。世間一般で言えばありきたりな戦闘態勢だが、レンは呼吸を乱さず一心にライオウガを睨みつけた。

「かかってこいよぉぉおぉ!!」

『ガロォオオォォオォォオォ!』

 レンが目を見開き、ライオウガに向かって吠えるとライオウガの周囲を漂う雨雲から稲妻が走り、体全体を包んでいく。

 そしてライオウガの体が真っ白に染まったと思えば、目にも留まらぬ速度でレンに向かって突進していた。

 その異常な速さに、リルネスタは声を失っていた。それはそのはず。突然ライオウガが眩い光を放ったので、本能的に瞬きをしたときには既にそこにはレンに向かって凶悪な鉤爪を振り下ろすライオウガの姿があったのだ。

 だが驚くべきところはそこだけではない。山頂から谷底までの距離は数百メートルあるのだが、ライオウガが攻撃を仕掛けたのは一瞬よりも早かった。

 それなのに、レンは剣を引き抜いてライオウガの一撃を受け止めていたのだ。その異様な光景に、リルネスタはその場で黙って見ていることしかできなかった。

「うらぁっ!」

『ガルッ!』

 レンが鉤爪を受け止めたまま滑るように懐へ潜り込み、胴体めがけて聖剣を切り返す。

 だがその攻撃はライオウガには届かず、あと数センチのところで躱されてしまう。レンの目には確実に攻撃が当たっていたのだが、それはライオウガの残像であり、当たったと錯覚してしまっていたのだ。

「光よ! 剣に纏いその真価を発揮せよ! 一閃──」

『ガルゥアァ!』

 瞬時にレンは聖剣を腰の横に持っていき、魔力を高めながら《一閃》を詠唱するが、詠唱し終える前にライオウガがレンに向かって突進を仕掛けたので、渾身の《一閃》は不発に終わる。

 そのことに対し静かに舌打ちをしつつも、レンはライオウガの意識を自分に集めて肉薄を繰り返していた。

「リルネスタ!」

「ま、魔法を撃てばいいの!?」

「いや、ダメだ! こいつは敵意を向けてくる者に対して攻撃を仕掛けている。だからリルネスタはそのまま遠くへ離れてろ!」

「やだよ! そんなことしたらレンが……!」

 リルネスタが悲痛の声を上げるものの、レンはライオウガの激しすぎる攻撃を受け止めるのが精一杯なので返答することができなかった。

 そんなレンを助けるためリルネスタが杖をライオウガに向けるが、ついさっきレンに言われたことを思い出してしまい、体が震えて上手く口が回らなかった。

 もしここで魔法を撃ったとして、意味がなかったらどうしよう。もし魔法を撃ったことで自分が攻撃の対象になったらどうしよう。

 あれだけ速く重い一撃を自分なんかが避けれるはずがない。でもこのままだとレンがライオウガの餌食になってしまう。そんな様々な悩みがリルネスタの脳内で入れ違っているのだ。

『ガロゥゥ……!』

「はぁ、はぁ……!」

 全力でぶつかり合った両者は一旦距離を取り、戦闘態勢を維持したまま両者睨み合う形になる。

 ライオウガはレンという自分の攻撃を幾度も防ぎきる者に興味津々なのか、周囲の雨雲から稲妻を走らせて興奮していた。

 それに対しレンはライオウガという異次元な強さを誇る魔物を前に、油断したら気絶してしまいそうな威圧感の中、自我を保つためあえて笑顔を作っていた。

『ガロォォオォオオォオオォン!』

「……? いったいなにを……?」

 突然ライオウガが腰を低くし、天に向かって吠えたと思えばレン達の周囲に小さな電気の玉が現れ、漂い始める。

 それを見て、レンはなにがなんだか分からなかった。だが後ろでそれを見ていたリルネスタはハッとなにかに気付き、レンの背中に抱きついていた。

「リルネスタ!? 今はそんなことしてる暇じゃ──」

「いいから! レンはじっとしてて!」

 リルネスタに叱られてしまい、仕方なくレンはリルネスタを振り払うことなくその場でされるがままになる。

 するとリルネスタの心音が背中を通じて伝わってくるのが分かる。それはとても早い心音であり、耳で聞こえるのではないかと錯覚してしまうくらいドキドキと脈打っていた。

「大地よ、障壁となりて我が身を守り給え! ガイアドームプロテクト!」

『ガロォオォォオォオオォンッ!!』

 唐突にリルネスタが地魔法の中で屈指の防御力を誇る《ガイアドームプロテクト》を詠唱したと思えば、その直後にライオウガの咆哮と稲妻が辺り一面に発生する。

 その稲妻は電気の玉と玉を繋ぎ、レン達を囲んで地面が揺れるほどの稲妻を発生させる。

 だがそれがレン達に当たる寸前、レンとリルネスタを囲うように黒い物質が地面から生え、ドーム状になって四方八方から襲いかかる稲妻を完全に無効化していく。

「んん~~~ッ!」

「リ、リルネスタ! 大丈夫か!?」

「わ、分からない……けど、なんとか耐えてみせるからレンは安心して……!」

 《ガイアドームプロテクト》は地中に眠る岩盤の一部を魔力によって抽出し、形状を変化させてドーム状の壁を作るというものだ。

 その防御性能は計り知れないものだが、その分魔力の消費量と魔力の繊細なコントロールが必要になるため、長時間使用するのはどんな熟練の魔法使いでも厳しいものであった。

 だがリルネスタは驚くことに一分以上 《ガイアドームプロテクト》を維持している。それは肉体的にも精神的にも厳しいことで、今も尚耐えているのが奇跡としか言いようがないことであった。

 しかしそれでもライオウガの攻撃が止むことはない。むしろどんどん威力が増していき、レンの丁度正面にある壁に小さなヒビが入り始めていた。

「くぅ……! もう、だめぇ…………!」

「…………っ! リルネスタっ!」

 膝から崩れ落ちそうになるリルネスタの背中に手を回し、レン自ら土台になってリルネスタを支える。

 傍から見ればレンがリルネスタに抱きついているように見えるが、レンはそんなこと気にせずリルネスタを強く抱き締めていた。

「レン……」

「頑張れ。大賢者のリルネスタなら、これくらい余裕だろ?」

「……! う、うん! スレイヴスネークのときは守ってもらったから、今度は私が守ってあげる!」

 リルネスタもレンを真似るように背中に手を回し、お互いに強く抱擁するような形になる。

 そんな中、リルネスタは羞恥することなく杖を地面に立て、目をつぶって精神統一を始める。

 そのおかげかは不明だが、レンの目の前に出来たヒビ割れが徐々に修復され、また見事な《ガイアドームプロテクト》へと姿を変えていた。

「……リルネスタ。さっきは覚悟しろって言っただろ?」

「う、うん」

「やっぱり、前言撤回するわ。二人で力を合わせてルドの村の人たちを安心させてやろうぜ」

「──っ! うん!」

 レンの一言がリルネスタを元気づけたのか、リルネスタは明るい表情になって更に強くレンを抱きしめる。

 それに対し若干照れくさそうにしていたレンであったが、あまり悪い気はしないと感じ、リルネスタの頭の上に手を置いていた。

「任せたぞ、リルネスタ」

「任せて!」

 さらにリルネスタは魔力を高め、外からの音が聞こえなくなるくらい分厚い《ガイアドームプロテクト》が完成する。

 そしてそのままの状態が3分以上続く。するとリルネスタはなにかを感じ取ったのか、いったん杖を自分の背に戻して両手を壁に向ける。

「はぁっ!」

 珍しくリルネスタが大きな声を出したと思えば、周囲を囲っていた《ガイアドームプロテクト》がバラバラに砕けていき地面に溶け込んでいく。

 そしてレンの目の前には雨雲を無くしたライオウガが佇んでいた。だがどこか疲れた様子で、肩を上下に動かしながらレン達を睨んでいた。

「よし、リルネスタ。立てるか?」

「……うん。立てるよ。ありがとう、レン」

 レンがリルネスタを離そうとするとリルネスタは若干寂しそうな表情を浮かべるが、すぐに笑顔になって杖を握りしめる。

 そして今度は一人ではなく、二人でライオウガに向き直った。

「勝負だよ!」

「ライオウガ!」

『ガロォォオォオオォォオン!』

 そして、レンとリルネスタ対ライオウガの第二回戦が始まるのであった。
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