Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。

石八

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元Sランクの俺、魔物を圧倒する

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 ラット大森林。そこは世界三大大森林の一つで、空を覆う草木が太陽の日差しを遮り、真昼でも薄暗いことで有名な森であった。

 そんな森の中を、1人の青年が腰にぶら下げた剣の柄を握りながら周囲を警戒して歩いている。

 天井から洩れる木洩れ日を頼りにしながら歩き続けるその青年──レンは、ポーチの中を確認し、木の陰に隠れて魔物が生息する地帯を注意深く目を凝らして眺めていた。

「さすがにまだここら辺には現れないか。小鳥も仲良くさえずっている。つまりもっと奥に進む必要があるな」

 基本的に、魔物が近くにいると周囲の空気は肌で感じられるくらい大きく変わる。

 その他にも、魔物の近くには小動物は決して姿を見せないなど冒険者が独自で発見した豆知識が多数存在するのだ。

 なのでそれを逆に考えると、小動物がいるところには魔物はいないということになる。

 それは決して確実ではなく、例外はあるもののイーテルウルフは潜伏を得意としないので、高いところから地上を見下ろす小鳥たちにはすぐにバレてしまい、逃げられてしまうのである。

 ということは、今レンがいる場所は比較的安全な場所であると言えるだろう。

「昨日使った対魔物用音波炸裂玉を使ってもいいけど、ちょっともったいないな。それに音を聞いて他の魔物がやってきたらそれはそれで面倒だ」

 一度ポーチから対魔物用音波炸裂玉を取り出したレンであったが、様々な思考を張り巡らせて結局対魔物用音波炸裂玉は使用せずポーチに戻してしまう。

 イーテルウルフは耳がいいため、対魔物用音波炸裂玉を使用すれば確かに音を聞いてやってくるだろう。

 だがそれは他の魔物も同じで、もしかしたら森の奥で眠っている厄介な魔物もおびき寄せてしまう可能性もある。

 そうなってしまうと苦戦は免れなくなってしまう。以前の力があればむしろ上等の域ではあるのだが、今は極力イーテルウルフ以外の魔物とは戦いたくはなかった。

「うーん。とりあえずここで待ってても埒が明かないな……先へ進んだ方がよさそうだ。……光よ、闇夜を照らせ。ライト」

 以前ガルドをナイトゴブリンから守ったときに使用した光魔法のライトを展開し、自分の頭上に漂わせてから先へ進む。

 別にライトを使用する必要はあまりないのだが、ライトは照明以外にも特定の魔物を遠ざける効果もあるため、魔物がいつ現れるか分からない場所では常に展開していて損はないだろう。

「それにしても、ここも懐かしいなぁ。以前はCランクの《グリーンサーペント》の討伐でここに来たんだっけ。もう二年前の出来事だけど、つい最近のように感じるな」

 あのときの戦闘はとても厳しいものであった。

 当時はまだパーティメンバーが自分とギリュウ、そしてラムザしかいなかったため回復に専念できず、苦戦したのである。

 しかもまだまだ若かったため3人とも死にかけたという、考えようによればトラウマになってもおかしくないような思い出であった。

「もし今グリーンサーペントが現れたらさすがにキツイな。まぁ、グリーンサーペントは夜行性だし、変なことしない限り目を覚ますことはないだろう。あのときは俺がミスして起こしちゃったんだっけか」

 そんな楽しかった思い出に浸りながらも、警戒を緩めず先へ進むレン。

 そしてある境界線を超えた瞬間、周囲にピリッとした空気が流れ始める。気付けば小鳥のさえずりも聞こえなくなっている。つまりこれは近くに魔物がいるという証拠であった。

「…………左右に1匹ずつか。残りの1匹はどこにいる? 近くにいるはずだが……」

 レンはその場で目を閉ざし、自分に向けられる殺気を感じ取り、その殺気の発生源をたどって魔物の位置を特定する。

 いくらはぐれていたとしても、狩りの方法は変わらない。イーテルウルフはどんな獲物であろうと "必ず" 挟み撃ちにして襲う習性があった。

 だがレンにとって、それはむしろありがたい習性であった。挟み撃ちにして襲うのがイーテルウルフの習性ならば、今の状況から判断して殺気を向けてくる魔物がイーテルウルフであることがほぼ確定したからである。

「さぁ、いつ来る? ここは邪魔なものがない平地。お前らも戦いやすいはずだぞ……」

 レンは木洩れ日が差している場所にゆっくりと移動し、聖剣を抜いて戦闘態勢に移行する。

 そしてそのまま待つこと数分。しびれを切らしたのか、先に動いたのはレンではなく魔物の方であった。

『グルゥアァ!』

『グルル……グルァ!』

 突如として、左右の草むらから黒い影が飛び出てくる。その黒い影はレンの予想通り、討伐対象であるイーテルウルフであった。

 そんな2匹のイーテルウルフは牙を剥き出しにし、レンを囲むようにジリジリとにじり寄ってくる。その動きはイーテルウルフが獲物を狙う前に行うルーティーンであった。

「やっと出てきたか……さぁ、どこからでもかかって来い」

 レンとイーテルウルフの距離は僅か6メートル。気を抜けば一瞬で詰められる距離だが、レンは焦ることなく待ちに徹する。

 自分から攻撃を仕掛けてもいいのだが、もしかしたらこの2匹は囮で3匹目が襲ってくるかもしれない。それに実は3匹ではなく4匹5匹居ましたという可能性も捨てきれないので、更に警戒を強める。

 今近くにいるイーテルウルフ以外の殺気は感じられない。他のイーテルウルフが周囲に潜んでいる気配もない。

 なのでレンはニヤリと笑う。右足を後ろへ引き、聖剣を顔の横へと流れるように運び、奇襲にも対処できるような姿勢へと体勢を変えていた。

『グルゥアァ!』

「っ! 弾けろ!」

 レンが一息つき瞬きをした瞬間。右で控えていたイーテルウルフは強靭な脚を巧みに利用し、確実に獲物を仕留めるためレンの首元目掛けて奇襲攻撃を仕掛ける。

 だがその攻撃はめていた。

 かつてディグルの一撃を予見し、受け止めたように。レンは頭上に展開しておいたライトを一瞬でイーテルウルフの眼前に移動させ、ライト内の魔力を外側に向け、破裂させることで眩い光を浴びせることに成功した。

『グルゥ!?』

「とりあえずお前はしばらく寝てな!」

 目潰しされ、怯んだイーテルウルフの首を下から蹴りあげ、数メートル奥まで吹き飛ばす。

 そしてすぐさまターゲットをもう片方に向け、聖剣を握り直し、聖剣の刃を地面と平行に構えた。

「光よ、つるぎに纏いその真価を発揮せよ。一閃いっせん!」

 レンが《一閃》と呼ばれる光魔法を覚えた剣士が使える剣技を詠唱すると、光り輝く聖剣が更に眩い光が包んでいき、剣の刃部分が純白色に染まる。

 そして腰を低くし振り抜くように聖剣を横に薙ぎ払うと、瞬く間にイーテルウルフは横から真っ二つに一刀両断され、ものの数秒で絶命した。

「……まだ遅いな。前はこの数倍は速かったぞ」

 遅い。この言葉を聞いてどれだけの人が驚き慄(おのの)くだろうか。

 レンが《一閃》と叫び、柄を握り返した刹那。イーテルウルフは断末魔をあげることなく上下が分断され、地面に崩れ落ちていく。そしてその後、まるで思いだしたかのように血が流れ始める。

 普通の冒険者なら、今の一撃を見るだけでレンの実力が分かるだろう。それでもレンは「まだ遅い」と呟いた。この言葉の意味、それは驚異たるものであった。

「ちっ、でもやっぱり倦怠感が襲ってくるな……。前なら何回も連発できたんだが……これも準備期間のデメリットか」

 自分の右肩を押さえ、苛立ちを覚えながら舌打ちをするレンは先ほど蹴り飛ばしたイーテルウルフを目で捉える。

 だがなにやら様子がおかしかった。目の前で仲間が瞬殺されたのに、どこか天井を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。

『ワオォォオォォオオォォン!』

「……? いきなりどうしたんだ? 仲間でも呼んでいるのか?」

 突然吠えだしたイーテルウルフ。レンはその意味が分からなかった。

 だがその意味はすぐに知ることになる。3匹いるはずのイーテルウルフの内1匹だけ姿を見せなかった。その理由は実に安直で、簡単なものであった。

『グラァア!』

 そう、最初からイーテルウルフは3匹潜んでいたのだ。そしてレンが対峙した2匹は囮で、本命は天井にある草木のカーペットの上で器用に音を立てず下の様子──つまり、獲物であるレンを観察していたのである。

 本来は草原に生息するイーテルウルフ。まさかこんな戦法をとってくるとは思わないだろうと、蹴り飛ばされたイーテルウルフはレンを見て「しめた」と鳴いていた。

 だがそのせいでレンの様子がおかしいことに気付けなかった。レンは目の前で一度鳴いたイーテルウルフを見下ろし、鼻で笑っていたのだ。

「いい作戦だが、お前のせいでバレちゃったな。お前らの敗因は作戦を隠しきれなかったことだ」

 前脚の凶悪な鉤爪をレンに向け、突き刺すように垂直落下する3匹目のイーテルウルフ。

 このイーテルウルフにはどんなビジョンが見えていたのだろうか。獲物の頭に鉤爪を突き刺したビジョンだろうか。はたまた慌てふためく獲物の首を掻っ切るビジョンだろうか。

 否。正解は目の前に接近してくる白く鋭い刃であった。

『キャインッ!?』

「あーぁ。俺はただ剣を上に掲げただけなのに、自分から刺さりに来たよ」

 刃渡りを伝い、腕に垂れてくる血を見ながらレンはそんなことを呟いていた。

 その言葉がイーテルウルフに伝わったかは不明だ。それでもただならぬ殺意と圧力を感じた最後のイーテルウルフは、自分だけでも助かるためにレンに背を向けて走り去ろうとする。

 だがその判断は間違いであった。いや、間違いというよりは、遅かっただけかもしれない。それでも気付いた時には自分の下半身はその場に置いてかれ、無様に土を舐めてしまっていた。

「やっぱり、この程度じゃぬるかったな。次からはもっと難しいクエストにしよう」

 そして最後のイーテルウルフもレンによって首を切り飛ばされ、呆気なく絶命する。

 ものの数分の出来事であったが、レンは剣に付着した血を払い捨ててその場で一呼吸つき、ポーチから水筒を取り出し喉を潤していた。

「えーと、確かイーテルウルフは耳と爪を切り取って持ち帰れば討伐の証になるんだよな。早速取り掛かるか」

 レンは周りに散らばっているイーテルウルフの亡骸を1箇所に集め、腰から革の嚢に収納されていたナイフを取り出し、慣れた手つきで耳と爪を切り取っていく。

 切り取った耳と爪はタオルで包み、ポーチの中へしまっておく。そしてすぐにギルドへ帰る準備に取り掛かると、どこからか悲鳴のような声が聞こえてくるのを耳にした。

「……ん? 今の声……気のせいか?」

 きっと気のせいだろう。おそらく疲れているので木々の揺れる音を声と間違ってしまったに違いないと決めつけ、レンは再び帰りの準備へ取り掛かろうとする。

 そのとき──

「──れか! 助けて!」

「っ! やっぱり気のせいじゃなかったのか!? それにこの声、結構近いな……!」

 迷っている暇はない。もしこの聞こえてきた女性の声が本物なら、魔物に襲われているか危ない土地に踏み入れてしまったかのどちらかだろう。

 どちらにせよ、聞こえてしまった救援要請を知らんぷりし、自分には関係ないと帰ることは正義感の強いレンにはできなかった。

「待ってろ、今助けに行くっ……!」

 間に合うか間に合わないかの問題ではない。

 今はただ助けを求める声を頼りに、レンは少しばかりぬかるんだ森の中を駆け抜けることに専念した。
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